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作業療法における理論の重要性

投稿者:ひろえもん 最終更新日時:2017年9月28日 21:41

理論のない作業療法は、骨格のない人間みたいなもんで、奇妙奇天烈なものに見えます。

自分が愛用している教科書の文章を一部引用・編集して、作業療法の理論の重要性を再確認します。

理論の役割

理論の役割をK・LReed(リード,1998)8)とR、J、Miller(ミラ ー,1988)ら9)を参考にまとめると次の4項目になる。

①作業療法のユニークな知識体系を確立し,作業療法アプローチの独自性を示す

人間の活動のすべてを「遂行領域,performance area」として包含するものは、作業療法のほかにない.

また固有の文化や環境のなかで,ライフサイクルに応じて「遂行の背景(performance context)」,

個人の作業遂行(occupational performance) 能力を改善向上させるために,「遂行要素,performancecomponents 」

を分析研究し,厳密な評価と治療法の確立を試みているのは作業療法の独自性といえる.

独自性がある限り,競争の激しいヘルスケア分野で生き残れる可能性がある

②理論は作業療法の守備範囲を明確にする

守備範囲は社会情勢の変化に応じて変化する.

守備範囲とは作業療法士が専門とする領野を指す.

理論は作業療法士がどのような価値観と信念に基づいて,何に焦点を当て治療援助を行おうとしているのかを明確にする.

理論は新しい知識技術を吸収し,政治社会文化の変化とも連動して定期的に更新されうる.

なぜなら作業療法は人々の生活への適応に主眼を置いているため特にこれらの変化に敏感だからである.

③理論は実践に妥当性を与え,その手引きとなる

理論は問題設定と問題解決のための鍵となる.

理論は眼前の事象に名前をつけるためのことばや概念を与え,概念間の論理的関係をわかりやすく説明してくれる.

「なぜ作業療法が障害の改善と生活 への適応を可能にするのか」

を実践と検証を通して明示することで,作業療法の妥当性を証明してくれる.

また直感や予感を,体系的に組織化され研究可能な概念や変数に変えてくれる.

④理論は診療報酬を正当化する

治療の妥当性は診療報酬と直接的に結びつく.

厳しい医療経済のなかで診療報酬を得られるか否かは,専門職の存立を左右する.

治療理由の説明は理論を通して行われ,効果の証明は研究を通して行われる。

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第1巻 「作業療法概論」[改訂第2版]より引用

理論の重要性

どうでしょう。

現在でも、通用する内容だと思いませんか。

特に重要なのが、②と③だと個人的には思っています。

というのも、②は連携において必要ですよね。ここは任せてください。ここはしっかりと結果を出して見せます、という宣言をほかの人にすることによって、作業療法士を周囲の人が使いやすくなるし、作業療法士も動きがとりやすくなるし。作業療法の対象者の方への説明もスムーズになるから導入しやすいですよね。

③は、自分がやっていることがきちんと論理的に説明できるのかということが、治療の質に大きく左右しますよね。同じような事例に出会ったときに、よりすばやくより効果的に、さらによりよい治療を行うことができるかどうかは、自分の臨床経験を論理的に整理できているかどうかが大きいです。

理論なんてなくても、臨床はできると思ってる人にこそ、もう一度自分がどの理論の枠の中で仕事をしているのかという論理的な説明を試みてもらいたい。

上記の4つの理論の役割を踏まえてなお、理論を軽んじる作業療法士がいるとするならば、悲しいですね。

    
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