実習終了後のとある日。
自分の将来について、ぼんやりと秋空を見ながら考えていたHさん。
いつの間にか、秋は深まり、紅葉のシーズンも終わりに近づいていました。
自身が通う養成校のキャンパスの並木のイチョウの木の葉が色づいて、地面一面を黄色に染めている頃、なんとなーく勉強にやる気が出ないまま、Hさんは実習時の時のことを思い出していました。
このころのHさんは、OT業界の様子についてなんとなく考えることが増えていました。
もっとも、Hさんが実際に知っている情報といえば、実習先の病院・施設で実施されていたOTだけでしたが。
しかしながら、Hさんが何となく感じていたことは、身体障害領域の延長線上にある老人介護病棟ではなかなか、アクティビティを提供することって、いろんな制約があって難しいんだなあということ。
そして、アクティビティがOTの本質だと思ってたHさんは、ほかのなんやかんやも含めて、精神科領域での就職を考えていました。
精神疾患領域の就職活動って結構あとでも、全然まにあうよー、といろいろな先輩やツテからも聞いておりましたので、就職活動もそこまで真剣味を帯びたものではありませんでした。
なので、その時期は対して忙しい生活を送っていたわけではありませんでした。
が、あんまり国家試験対策の勉強をする気にもなりません。
この日も、 Hさんは
「さて、と。バイトにいってがっつり稼ぎますかね。」
などと考えながら、アルバイトに出かけていきました。
国家試験の勉強は効率的かつ短期間で終わらせてしまいたいと考えていたHさんは、その後も、 効率的な勉強法について模索はするものの、国家試験勉強をほとんどすることなく、バイトをしに出かけて行ったのでした。
そして、その日はがっつりと稼ぎました。
そんな日々が国家試験1か月半前まで続きました。
(その弐 へつづく)