名大と東大、「能面」が多様な表情に見えるのは「情動キメラ」が理由と解明【能面と表情認知】

臨床の現場で、マスクをするか否かということが議論されることがあると思います。基本的に、衛生面に気を付けるのであればマスクをするべきであるのですが、一方、マスクをするとその人の表情がよくわからなかったりすることがあると思います。自分は、ある患者様が「看護士さんはみんなおんなじ顔しとるように見えるわぁ」とおっしゃっておられのを存じております。

このことには、記事中の以下のような要素が関連しているかもしれません。

名古屋大学(名大)と東京大学は、古典芸能で使う「能面」が多様な表情を見る側に想起させるのは、能面の各顔パーツが異なる情動を表現している「情動キメラ」であることが原因であり、こうした「情動キメラ」からの表情判断は、主に口の形状に基づいてなされることを示したと発表した。

つまり、人の感情を読み取るときには、実は口の形状が結構重要な働きをしてるんじゃないの?って言うことだと思うのです。

自分はかなりの漫画好きで、いい年こいていまだにコンビニで漫画雑誌を買ったりしてしまう様な人間なのですが、漫画的な表現でも口の形が変わるだけで、そのキャラクターから読み手が受ける印象というのは大きく変わるのではないかなぁと思います。

で、今回、その表情認知と、能面がどのように関係するのかという話になるわけですが、再び記事から引用させていただくと、

しかし、実際に上演される能の舞台では、木彫りの面であり形状が変化しないはずの能面がさまざまな表情をしているように見えるのは、見たことがある人ならわかることだろう。表情がないはずの能面から表情を読み取るのはどのようなメカニズムなのか、能面を使った表情認知メカニズムの研究は、表情認知の根源を探るのに適しているという。

とのことです。つまり、能面を使うと、人間の表情をそのまま使うよりも変数が限定できるので実験が行いやすいということですね。まさに、小、中学生の理科の時に習った、「対照実験」というやつがしやすいということですね。

この研究の中で、自分が面白いと思ったのは、次の部分です。

能の世界においては、能面を上下方向に傾かせることで表情を変化させている。「喜び」を表現する時には能面をわずかに上に傾かせ(「照らす」と呼ばれる所作)、「悲しみ」を表現する時には能面を下に傾かせる(「曇らす」と呼ばれる所作)。

ところが、これまでに上下方向に傾きを変化させて能面の印象を評価させた研究で、上向きの能面は「悲しみ」と判断される割合が高く、下向きの能面も逆の「喜び」と判断される割合が高いことが判明していた。研究グループが、能に親しんでいない大学生に能面の表情を評定させたところ、情動を逆に判断してしまう結果となったのである。

な、なんだってー!!

自分が能面から受ける印象が、実は、伝統的な能のルールの刷り込みによる結果だったとは。驚きました。で、今回の実験では、上下方向に傾きを変えた能面は、何の表情を示しているのかを調べるため、上方向・下方向に傾けられた能面の表情と、喜び・悲しみの表情に共通点があるかどうかをしらべたとのことです。

このあと、本文では何やら、能の成り立ちや、能の創始者の意図の考察などに派生していってなかなか興味深いです。

で、ここまでながながと書いてきたのですが、自分は、マスクつける派か、着けない派かでいえば、マスク着けたくない派ですね。やっぱり、自分の表情が隠れてしまうことによって、相手が受け取る情報や刺激が減少してしまうのは、それはそれでもったいないなと思うからです。最近では、惣菜店で、透明なマスクを使用しているところもありますし、医療の現場でも、ああいった感じの表情と衛生の両方がきちんと両立できるような素敵な製品が出てこないかなぁ、なんて思ってる今日この頃です。

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