続・生保患者診たくないんで、内科医やめる。と言う増田。

以前こちらで取り上げた、お医者様の増田の続編がありましたのでご紹介いたします。

患者様に対して、医者をはじめとした医療職は基本的に攻撃的な態度を取ることはありません。

その人が、いくら社会的に間違った行動をとったとしても、それをことさらに取り上げることは、しないことが多いはずです。

ひどい人の場合には、きちんと警察に通報するようなマニュアルもあったりしますが、それが活用される状況というのは極めてまれだと思います。基本的には、通報まで行かずに、病院側で対応することになるのでしょう。

そして、そういった状況が社会的に公表されないでいると、結局現場が疲弊してしまうのでは無いかと、この記事を読んで感じました。

以前にも書きましたが、本当は医療的な措置が必要なのではなくて、他の何かを求めて生活保護の方は病院を受診することが多いのだと思います。

それに対する対応を、行政主導でもなんでも構わないので、とにかく誰かがやっていかないと、一生懸命働いている人が働く気をなくしてしまいます。

これは、社会的な損失だと、自分は考えます。

よく言われるのが、医者を一人育てるまでに必要になっている社会的なコストですが、実際には医者の資格をとってからの経験や、学習などそういった面も考慮すると、1人の有能な人間がその現場で働けなくなると言うことは、非常に大きな損失だと、自分は思います。

他の医療の職種にしてもそうです。医療スタッフは、基本的に患者様と問題を起こすような発言をすることがなく、患者様によっては、どうしてもそのような医療スタッフに依存してしまう方もいらっしゃいます。そういった特性を、きちんと見抜いて、治療的に応用するということができればそれが最善なのですが、なかなかそこまで実践できる人はいないのでは無いでしょうか。また、そういった高度な対応を行うためには、気持ち的にも体力的にも余裕が必要で、日常的に激務の中で働いているような、人間にはなかなかイレギュラーというか、普段行っていることと違うことをいきなりやるエネルギーは無いのではないかと思います。

つまい、そういった対応を専門的に行ってくれるような職種がいると、全体の構造としては安定するのではないかと言うことです。そして、OTは結構そういうところが得意なのではないかと、個人的には思うのです。

その人を全体的にじっくりと評価して、ICFに基づいて瞬間的な判断をして、相手と関わるというのには相当な熟練が必要だと思います。こういったことが、日常的に行われているOTは、生活保護の人が抱える心理的、あるいは、習慣的な問題にも結構アプローチが行える強みがあるのでは無いかと思います。

以下、元の文章より引用です。

http://anond.hatelabo.jp/20121123003130

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■続・生保患者診たくないんで、内科医やめる。
http://anond.hatelabo.jp/20121121194852
の元増田です。思いのほか反響があり、びっくり。
個別の質問には答えないけど、いくつか代表的な意見に関して補足を。

タイトルについて

「色々あって内科医やめる、つうか生保うざい」とでもしたほうが正確だろうね。
どうあれ、これまで俺が感じてきたモヤモヤの多くにからむのが生保患者問題であり、辞めるにあたっても最後に背中を押したのは間違いない。

非医師だろという意見に対して

これでどうかな。http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3652048.jpg.html
テキスト類は職場じゃなく家に転がってたやつだから、ちょっと古いね。
まあ別に謝る必要ないです。ていうかこっちがすまんね。ディテールをぼかし、抽象化して書いたのは俺なんで。

創作、釣りだろという意見に対して

これは証拠出すの無理。まさか一件一件カルテの中身を張るわけにいかないし。m3.comであったね、医療訴訟のカルテを掲示して問題になったことが。
ところで、福祉事務所に生保の行動を通報するためにカルテを抽出することは問題なのかな?俺が今考えてることなんだけど。

なんで患者の保険の種類が分かるの?

これは電子カルテ化されてるので簡単。数秒もかからない。例えばスズキさんで検索するとこうなる。
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3652050.jpg.html
何個か代表的な苗字でやってみたけど、生保は地域住民に占める割合とそう変わらない。
紙カルテの病院ならば、表紙(1号用紙とよぶ)に保険の種類が書いてある。そして、紙だろうが電子だろうが危ない患者の見分けはつくようになっている。
紙の場合は表紙の隅を塗るとかね(例:赤は要注意、黒はブラックリスト)。最近病院で俺の扱い違わね?と思ったら自分のカルテ表紙をよく見るとよい。

この文章主観だよね?

その通り。生保の受診行動についてきちっとしたデータを出すなら、保険の種類をマスクした上で、マナーやら服薬コンプライアンス、
アドヒアランスを定量化して、保険その他患者属性と一緒に多変量解析なんかしてみるといいのかな。それを多施設で。ちょっと無理な気もする。
この文章はほとんどが俺の主観にすぎない。でも医療関係者なら大なり小なり感じてることだと思うんで、近くにいたら尋ねてみるといいかもね。

科を変わるのがそんなに簡単なわけがないだろ?

誰がすぐいっぱしに働くと言ったか。修練を最初からやり直すという意味だ。
俺はまだ若手だしね。認定医とって、自分の外来持って数年。専門分野は勘弁してくれ。身バレしてしまう。
転科すると給料はまた修練医レベルに落ちてしまうが、これまでの業務で感じた苦痛に比べたら大したことはない。

その病院だけ辞めれば?内科諦める必要なくね?

当直や救急のない病院に行けばいいのか。そうもいかない。俺は今、大学医局の所属だ。
大学医局が用意する民間病院のポストは中核病院がほとんどだ。当直や救急のない病院などない。つまり悪質生保の来襲も避けられない。
そして若手ごときが医局人事に逆らって関連病院を辞めるといったら、それは医局を辞めるってこと。
いや実際もう辞めると言ってきたんだけど。院長よりも教授に事情を説明するのが大変だったな。
さて、今後医局人事外の病院に就職しても、それなりの病院で修業しようと思ったら生保周りのいざこざは避けられない。
こんな生活を50や60になるまで続けられる?続けてなんになる?と思った時に、足が前に進まなかった。
かといって検診医・バイト医になって内科っぽいことを続ける、というのも先が暗いと思った。
自我崩壊せずに生きていくためには、もっと自分に合った分野でキャリア構築を最初からやり直すしかない。
科が変わると、元の内科仲間の前では働きにくいかもしれないって?他の地方に行けばなんということはない。
俺、地元を離れた出身大学になんとなく残ってしまったクチなんで、単に戻ればいいだけなんだ。
もう言っちゃうと、放射線診断医になることにした。地元の病院に今度専門医になった同期がいて、「うちで修業しろよ」と誘ってくれてる。
元々学生の時から画像診断と内科で進路悩んでたしね。
そうそう、臨床検査科についてだけど、技師だけじゃなくて医師もいるよ。少ないけど。
病理と臨床検査は、どっちもずっと大学べったりじゃないと修練できないから、やめた。

生保って病院経営的には優良顧客では?

そうだとしても、彼らの素行がスタッフの士気に与える影響の方が問題で、生保患者の多量取り込みは中長期的には予後不良であると考える。
あと、勤務医は自分の病院が経営的にヤバイことに関しては無関心。事務がどう思ってるかは知らんけど。
部長クラスになると「おたくの部門回転率低いよ」みたいな突き上げがあるが、本質的に、勤務医には病院そのものに対する忠誠心はない。
望む医療を実現したいとか、先輩のようになりたいとか、偉くなりたいとか金が欲しいとか、自分自身の価値観に拠って立つ人がほとんど。
どうせ医局人事で転々とする身だしね。究極、働こうと思ったらどこでも働けるし。「逆に考えるんだ、病院がつぶれちゃってもいいやと考えるんだ」
一般の患者には気の毒なことになるけど、日本はまだ病院多いからなんとかなるだろう。

お前も食わせてもらってる立場だよね?

まず税金で食ってると思ったら間違いで、病院の収入イコール人件費のメインは健保から。
社会保険も広義の税と解釈しても、保険診療があるおかげで国際水準より安く医療を提供できて(させられて)いる。
だから感謝しろと増長するつもりはないが、逆立ちしても食わせてもらっているという意識にはならない。
現行の保険制度が崩壊したほうが病院の儲けは増えるよ。施設間の格差は広がるだろうけど、全体として医療費が増える。
そこのところ、心に留めておいてほしい。

生保患者なら慎ましくしろというのか

まあその通りっていうか、当たり前だと思うのよ。せめて普通にしろと。
俺は五体満足だし普通に教育受けて医者にもなれて、友達もいるし二親揃って元気だ。自分が幸運なほうだと自覚している。
これがもし困窮した身になったら、生まれた環境が悪かったら、と想像すれば、そりゃ助け合いは大事ってことくらい分かる。
そんな時に生保みたいな制度があったら、ああ、ありがたいなあって思うだろうよ。でも現状の生保患者の態度は、何ですかあれ。

自身の労働環境問題と生保問題を混同している

そうかもね。内科だけでなく、この国で前線部門で医者やるには色んな問題があるって、働いて分かった。
日本では一次救急が機能しておらず、二次救急病院で〇.一~二.五次救急まで対応していること。
本来は精神救急主体の症例まで一般病院に運ばれてしまうこと。薬出すだけ出して救急対応しないクリニックの存在。
応召義務の理不尽さ。当直明けで普通に働かされてること。これらはそれぞれに解決しなければならない問題であると思った。
でも俺は頑張ってたよ。誰かのために役立ちたいと本気で思ってた。嬉しい経験も、充実感も使命感をおぼえることも一杯あった。
その裏で、いつも生保患者様がボディーブローを一発ずつくれていった。今じゃもう、何をしてもあいつらの顔がちらつくんだ。
俺は最前線ではもうやっていけない。ここからは俺じゃない誰かが頑張ってください。全ての善良な国民の健康を祈ってます。


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