作業療法にも通じる人助けの奥義とは 人助けがテーマの漫画「スケットダンス」最終巻より

作業療法士の語る「リハビリテーション」はなかなか理解されないことが多いです。でも、同じ意味を「すっ」と言ってる漫画のセリフがあるのでご紹介します。

というわけで、この記事には、まんが「スケットダンス」最終巻の壮大なネタバレが含まれています。

もし、出来れば、このスケットダンスという漫画、素敵なので、一巻から、最終巻まで自分で読んで、噛み締めていただきたいので、読むつもりがある人は、そっとブラウザバックしてください。

前置き 実体験した過剰なお手伝い

まずは、作業療法の対象者の方と一緒に作業療法中に、とあるドクターの先生から、言われた衝撃的な一言の話から入りたいと思います。

その発言とは、

「なんでやってあげないの?やってあげる方が親切だよね」

という一言。

人助けに関する見解の相違を感じた瞬間でした。

その時は、戸惑いながら、「どうしようかな」と思いながら、リハビリテーションとはという話をその先生とすり合わせる作業をしました。

ぶっちゃけ、

先生それをやっちゃあ、リハビリテーションとしちゃあおしまいでしょう。

ということがありました。ご説明したら、納得はしていただけましたが、リハビリテーションに対する考え方なんてそんなもんだっていうのを、改めて確認することになりました。ごめんなさい、かなりぼかして書いてます。

しかし、リハビリテーションの現場を他職種が見た時に、

困ってるんだから、代わりにやってあげないの?

とか

ともすると、

なんで意地悪するのさ?

なんてニュアンスで、尋ねられることもあったりして、なかなかリハビリテーションとしての作業療法を語るのは難しいなと、常々感じております。

飢えてる人に食べ物を与えるのは正しいか

スケットダンスはもうしばらくお待ちください。

たとえ話をひとつ。

先ほどの話ですが、つまり、いち作業療法士としては、直接的な対処療法は、個人的には緊急的なもので、状態安定したらすぐにやめるべきと感じています。

とある小説に

『食べてない人に

「人はパンのみに生きるにあらず」

って言っても

うるせえ馬鹿ってなもんだろ』

という、一節がありまして、妙に気に入っているのですが、これは対処療法の重要性を端的に表現しています。対処療法は極めて有力な選択肢の一つです。

一方で、飢えてない人物にいつまでもパンを低コストで供給するのは違うだろ、って思うのです。それは、その人が、自分で自分の人生を管理する力を奪うことにつながるからです。

飢えている人には、自分でパン、もしくはそれに代わる食べ物を自らゲットする能力を身につけてもらうことが、その人の生活の豊かさを増やすことになります。

作業療法における支援の量も、評価の元に、適切な量と質で提供されないと、無用な依存を引き起こしてしまったり、逆に栄養失調を引き起こしてしまうことになります。

リハビリテーションとは、再構築である

そもそも作業療法は、リハビリテーションの分野の方法論の一つです。

ですから、リハビリテーションの枠組みの中で勝負しなければならないと思います。

つまり、その人の人生の復権に貢献しないことがらを、実行していてはそれはもはや作業療法とは呼べない、別の何かです。

その人の人生を再構築する手助けをするのが、リハビリテーションであり、作業療法です。

作業療法と人助け

繰り返しになりますが、作業療法士は、ある意味で人助けを行う仕事です。

当事者である作業療法の対象者が、主体的に選択、行動、決定が行えるよう支援するのが作業療法士という仕事だからです。

ですから、生活の再構築の支援を行う作業療法士は、支援とは何か、人助けとは何かを理解していなければなりませんし、それを対象者や家族、他職種と共有しておく必要があります。

漫画 「スケットダンス」最終巻における人助け

お待たせしました。スケットダンスです。この漫画のセリフが、リハビリテーションにおける人助けの根本を表現していると確信します。

ちなみに、スケットダンスという漫画は、主人公が、2人の仲間と協力しながら、いろんな問題に面白おかしく時にはシリアスに挑むなかでの、成長を描いた学園ものです。シリアス回は、いろいろと考えさせてくれる漫画だったので結構好きで、連載中から読んでおりました。

その中でも、特に感銘を受けたのが、最終巻で、主人公が自分の人助け観を語る場面でした。

©︎篠原健太/集英社

「理解者になること

乗り越えることは 変わることじゃなくていい

その人が 今いる位置を認めて 愛しいと思えるように

背中を押すこと」

初めて読んだ時に、ああ、その通りだな、と思いました。

この言葉は、相手を自らと対等な存在と感じられないと、なかなか理解されないという意味で、結構貴重なセリフだと思います。

このセリフは、まさに作業療法とか、リハビリテーションの理念そのまんまです。

人助けとは

「理解者になること

乗り越えることは 変わることじゃなくていい

その人が 今いる位置を認めて 愛しいと思えるように

背中を押すこと」

作業療法士にできる手助け

本人ができることを率直に応援することからブレなければ、ちゃんとした支援ができると思います。

そのほかのことは、必要ないかもしれません。

極論、方向性が正しいのであれば、直接的な介入がなくても、ちょっとした声かけを適切なタイミングで適切な量と質で行うことで、その人の支援が完結するかもしれません。

©︎篠原健太/集英社

いわゆる勇気づけってやつですね。

足りないのはもちろんいけないし、支援しすぎるのはもっとよくない。

だから作業療法士は、専門職なんですよね。

ほんとは、作業療法士なんていう職業がなくても、世の人がみんなそれに代わる行為を日々行うことができるのが一番望ましいと思ってます。

でも現実はそうじゃないから、その辺はわきまえて作業療法士として対象者の方にできることをやり過ぎないようにやっていくことが大切だなーと思ってます。

蛇足

最終巻で、主人公たちが文化祭の出し物を考えるシーンがあるのですが。そのシーンの思想はまさにユニバーサルデザイン。みんなが、個性を発揮して参加できるためにはどうしたらいいかと知恵をしぼる。このコストを現実では渋るんだよなあと、改めて痛感するいいお話です。

そのあとの、スイッチのあれこれとかも感動的なんで、ぜひ全巻読んでいただきたい。スケットダンス。

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