作業療法士(OTR)

「作業療法士(OTR)」とは、「作業療法をすることを仕事にする人」のことです。

作業療法士について、理解して頂くことで適切な場面でうまく作業療法士を活用できる人が増えれば良いです。作業療法士についての業界話も知ってる範囲で交えながら、より多くの方に作業療法士について知ってもらえるようにご紹介したいと思います。

作業療法については、次の記事を読んでいただければ幸いです。

作業療法とは

このサイトのミッション

作業療法士になる方法

作業療法士ってどんな人?

まず作業療法士(OTR)とは、以下のような存在です。

作業療法士(OTR)は、

リハビリテーション職

「やりたい」「こうなりたい」を支援する人

コラム なぜ作業療法士はOTR(オーティーアール)なのか?

作業療法士の略称として、OTR(オーティーアール)という言葉を使います。

これは、”Occupational Therapist Registered”の略語です。

直訳すると、「登録された作業療法士」となり、つまり作業療法士国家試験に合格して作業療法士名簿に登録された作業療法士の意味になります。

要するに、国家資格を持った作業療法士という意味です。

英語の文法的には、本来”Registered Occupational Therapist”が正しいのですが、ROTという英単語が存在し、

腐る、腐敗する、腐朽する、(道徳的に)腐敗する、だめになる、やせ衰える、元気がなくなる、冗談を言う

rotの意味 – 英和辞典 Weblio辞書

とにかくネガティブな意味の単語なので、よろしくないということで、OTRとなった経緯があります。

ちなみに、OTRの対となる単語であるOTS(オーティーエス)は、”Occupational Therapy Student”で作業療法学生、つまり「作業療法養成校の学生」という意味の言葉になります。

世の中を構成する人は、健康な人もそうでない人もいます。

健康でない人のいくらかは、色々な理由でやりたいこと・やらなければならないと感じていることをすることが難しい人がいます。

そうした人たちが抱える病気や怪我の後の様々な障害が、それらを困難にします。

しかし、たとえ障害があったとしても、もし、それらに対して適切な向き合い方を習得すること(リカバリーすること)ができれば、できないことが、できる、に変わります。あるいは、できないことを自然と受け止めて前に進むことができます。

そうすると、人生の幅は広がります。

その先に、生きる希望が生まれます。

作業療法士は、「作業療法」を用いて、このようなプロセスの先にある結果にコミットすることが、仕事です。

より具体的には、食事や移動といった日常生活動作(ADL)や、買い物、園芸や陶芸なども含めた幅広い「作業」・活動を通して、心身のリハビリテーションを行う仕事です。

作業療法の対象となるのは、骨折や脳卒中などの身体障害だけでなく、うつ病や統合失調症、アルコール依存症などの精神領域や、認知症や老年期障害、脳性マヒや知的障害、発達障害なども対象となります。

もともと作業療法士という仕事は、アメリカやカナダで確立しました。日本では、それらの作業療法先進国に学びながら、時に日本文化になじまない部分に苦慮しながらも、日本の作業療法士は日本の文化や歴史に根ざした作業療法を模索してきました。

昨今、社会の高齢化に伴って、認知症の方が増え、予防医学の重要性がますます高まる中で、福祉や地域医療の分野での作業療法士の職業的ニーズはますます高まってきています。

コラム 作業療法の対象者と「障害」の有無は無関係

作業療法士が仕事として関わらせて頂く方は、いわゆる「障害」とともに生きておられる方が多いですが、この「作業療法」の枠組みの本質は、障害の有無は関係ありません。作業療法は、障害の有無に関わらず人間の本質に根ざした、誰にとっても有益な枠組みの中で実施されます。

例えば、予防の観点において「作業療法」ができることはたくさんあります。

その時点において、作業療法の対象となる方は「障害」をお持ちではありません。

翻って、「障害」をお持ちの方に対して有効なのみならず、(抽象的な次元の話にはなるけれども)すべての人にとって価値のあることが、作業として提供されることが重要です。そのような作業が、「障害」の有無に関わらず、人と人を結びつけることに寄与する「作業療法」の基盤となります。

いち作業療法士としては、このような意味において、すべての人にとって有効なものを「作業」として扱いたいと常々思うところです。

作業療法士の社会的地位の根拠

現代の日本おける作業療法士は、国家資格となっています。

それは、「理学療法士及び作業療法士法」で規定されています。

この法律の中で作業療法士は

1.厚生大臣の免許を受けるものであること

2.その名称を独占的に使用することが出来るものであること

3.医師の指示のもとでその業務を行うものであること

が明記されています。

つまり、作業療法士として資格を活かすためには、医師の指示が必ず必要であり、日本の法律の下では、医師の指示のないものについては作業療法を標榜することができません。

つまり、「作業療法士」を名乗って働くためには、医師と一緒に働く必要があるということです。現在のところ事実上、開業権はありません。

作業療法士の仕事

簡単のため、ここでは臨床における作業療法士の仕事の一面を紹介します。

対象となる方のリハビリテーションを目的として、そのために必要な戦略を提供し成果を出すことが、作業療法士の仕事です。

具体的には、

1.対象者のいまの状態を把握し(評価)、

2.ゴールに向けた活動の提供法などを考案・提案し(プログラム・治療計画立案)、

3.実際に対象者の方に関わりながら必要に応じて活動の調整や変更などを行いながら手技の実践を行います(介入)

その専門性は、「作業療法対象者に対する、適切な治療プログラムの組み立てと実践」にあると言えます。この専門性は、対象者の生活を見据えたものでなければなりません。

作業療法士の数

毎年5000人程度が新たに作業療法士の資格を取得しています。

また、日本には約8万人の作業療法士がいます。

(出典:学童保育に作業療法士がやって来た

コラム 作業療法士の男女比

女性比率が6〜7割と男性と比べて高くなっています。

作業療法士の職場

作業療法士が働く場所には、以下のような場所があります。どの領域においても、他の領域とのクロスオーバーが必要になり、どんな現場でもシームレスに連携できる作業療法士が良い作業療法士です。

①制度区分

医療、保健、福祉、教育、行政、地域医療

なお、作業療法士の数がいちばん多いのは、医療です。

これはとりあえず、病院勤めからキャリアをスタートさせる作業療法士が多いからと推測されます。

作業療法士が働いているところ(アメリカと日本の比較)

1-1 アメリカ 日本
病院 27% 73%
特別支援学校 20% 0.2%
老人保健施設 19% 16%
開業 11% 0%
在宅医療 5% ?%

(出典:学童保育に作業療法士がやって来た

日本の開業が0%なのは、日本の作業療法士には開業権が無いからです。

コラム 良い病院・施設を判断するには?

職員に対する研修会の補助の有無やその力の入れ具合を見ましょう。

これは間違いないです。

病院・施設によっては、そうした研修にお金を出してくれるところもあるのですが、そういう病院は「人的投資」「長期的視野」を持った良い病院であるといえます。

職員さんに、「研修とかあるんですか?大変ですね」と聞けば簡単にわかります。

②発症時期区分

急性期、亜急性期、回復期、維持期、終末期

③領域区分

身体障害領域、精神障害領域、老年期障害領域、小児発達領域

 

作業療法士(OTR)の就職は比較的簡単

現在、日本では作業療法士が足りません。

作業療法士の求人を検索すれば、いろいろな職場が作業療法士を募集しています。

「少なくとも今後段階の世代が、天寿を全うされるその日まで需要は高止まり。」とは、とある専門家の言葉ですが、それからしても、「作業療法士になりたいと思って頑張った」のに、就職できないということはあり得ないでしょう。

作業療法士になりたい人にとっては、比較的良い環境かもしれません。

コラム 作業療法士になることを「国家資格だから」を理由に決めないで

作業療法士になることを考えるときに、安定した就労環境かどうかを判断基準にしない方が良いです。ぶっちゃけた話をすると、需要はあっても続けられない人が一定数います。(どこかで聞いたことがある話だと思いませんか?)

繰り返しますが、日本では、作業療法士が足りません。

作業療法士の資格をとることは、医療介護、福祉の現場で働く時には非常に有利です。まず間違いなく、今後人材不足なので職場には困りません。

ここは揺らぎません。

ですが、それを理由に作業療法士になった人は、資格を取得することをゴールになってしまい、就職後、職業人としてあまり幸せにはなれません。まず仕事に対するモチベーションが続きません。なぜなら、きちんと「作業療法士」としての職務を遂行しようとすると資格を取得してからの方が、労力的にも精神的にも大変で、資格を活用して「楽に」働くということは、残念ながらありえないからです。

まして、経営者サイドから見ると、作業療法士を置いて、何かをさせれば、施設や組織は収益をあげることができますから、利益確保の観点からもいて欲しい存在なのは間違いありません。それゆえに、利益をあげるための手段として見られることが多いのもまた事実です。

そのような目で、経営者や周囲から見られ続けると、リハビリテーション職としてのアイデンティティーは間違いなく揺らぎます。作業療法士として責任を持ってやらなければならないことと、周囲から要求されることの間に大きなギャップが横たわっているのですから。

ですから、自分が本当に、「やりたい」「できる」を支援したいのかという点を強く問うてから、作業療法士になることを決めて欲しいと思います。

作業療法士になるための道筋については、下記を参考にしてください。

作業療法士のキャリア

日本の作業療法をリードしてきた、作業療法士のキャリアについてご紹介します。

まず、日本作業療法士協会にて中核的役割を果たしている諸先輩方のキャリアを見ていると、臨床で結果を出して、養成校で教鞭とっておられる先生が多いです。(本職しながら日本作業療法士協会の仕事しようと思ったら、どうしても学校の先生じゃないと回らないってのもあるかもしれません。)

そのほかのキャリアタイプで、作業療法をリードする先輩方は、自分で自分の会社や事業体を設立して、先進的な取り組みを実践して社会に問うておいでです。

後者の起業型作業療法士が増えると、日本の作業療法はますます発展していくでしょう。

補足として、日本作業療法士協会の独自のキャリアパスには、専門作業療法士という資格と認定作業療法士という資格があります。自分の知っている範囲では、大学の先生が持っていますが、臨床している人はあんまり持っていない印象です。資格を持っていることによるメリットがあまり感じられないことがその理由のようです。

なお、日本作業療法士協会の理事の方にも、有資格者出ない方もおられることからも推して知るべしと思います。つまり大変雑に総括すると、日本作業療法士協会のキャリア制度は、制度としては失敗しています。

しかし、この制度のコンセプトは、社会に対して作業療法士の質を保証しようというところにあり、このコンセプト自体は非常に重要なものです。

作業療法士は、こうした資格制度を積極的に活用すると同時に、自分で自分のできることや社会に対して貢献できることを発信し、示していくことが今後ますます必要になります。

そうでなければ、いつまでたっても社会に対して「作業療法士ってどんなことができるのか」ということが伝わりません。

どんなキャリアを歩むにしろ、自分の仕事の成果はきちんと自分で表現することが非常に重要な世の中になってきています。

地域とこれからの作業療法士

これからの作業療法士は、地域に根ざして働けることが大切です。

なぜなら、作業療法士がコミットする結果は、対象者の方の生活の改善だからです。

生活は地域にこそあります。

地域の生活にこそ、広がりがあります。

地域での生活をコーディネートするためには、

繋がりを構築する力と

実行をマネジメントする力が必要です。

また、現状の制約の外側に新しい仕組みを構築するクリエィティビティが必要です。

そうした要素を最も効果的に発揮できるのは、既存の仕組みや枠組みにとらわれないで、システムを成り立たせるだけの経営力も必要になります。

作業療法士養成校で得られる学びは、これからの作業療法士にとって必要な要素のほんの一部分にしか過ぎないので、卒後教育や自学自習がとても大切になります。

同時に、低コストで作業療法士が学びを深めることができる学習環境の構築も待った無しです。

コラム 作業療法士の勉強 実は資格を取ってからが、本当の始まり!?

「作業療法」を実践しようとすると、資格を取得するための勉強では全く情報量が足りません。

足りない部分に関しては、卒業後に各自が各々で補う必要があります。

勉強会は色々な団体が色々にやってくださっているので心配ないと思います。

自分で、そこに自分で出向いていかないと、アップデートの激しい業界なのですぐに時代遅れになります。