ご紹介する内容については、年明け前からの情報になるのであらかじめご容赦いただきたいと思いますが、この内容は、いち作業療法士としましては「そりゃそうだ。の一言に尽きます。あくまで、いち作業療法士の意見ですが。世の中が変化しても、人間が大きく変わるわけではないというところがポイントです。
WHO国(世界保健機関)が国際疾病分類(ICD-11)でゲーム依存症を精神疾患へ認定へ
現代病とも言える、ゲーム依存症がついに、世界の保健政策の総本山であるWHOに公式認定されるに至りました。
問題意識を国際団体が公式に認めるというのは、トップダウン的な影響力を考えると非常に意義があると言えます。
コラム 依存症の影響
アルコール、薬物、ニコチン、などなど、依存の対象になるものによって、色々な種類の依存症が存在しています。
生活全体の時間やお金というリソースのうち、その大部分を依存先へ投下し、生活が崩壊するのが依存症と言えるでしょう。
病名は付いていなくても、なんらかの依存がある方も多いです。生活の偏りとでもいいましょうか。
個人的には、社会が依存症の方を支援するという姿勢で臨むなら、依存症というもの全般を問題視するべきと思ってるので、今回の認定は好ましく思います。
コンピュータゲーム依存症とは
認定基準は、以下のような感じだそうです。
ゲームにあまりに多くの時間を費やし、これが「生活の他の関心事より優先する場合」依存症とする。
https://jp.sputniknews.com/science/201712234410308/より
コンピュータゲーム依存症と診断されたら
こんな感じみたいです。
依存症を完治するためには1年間にわたって医師の監視下に置かれねばならない
https://jp.sputniknews.com/science/201712234410308/より
効果的なシステムを構築してくことが大事でしょうね。
コラム 依存症で困るのは誰か
依存症で困るのは誰でしょうか。
もちろん、依存で、本人が困ることもあります。
しかし、本人以外の人が困ることも多いのです。
本人の生活バランスの崩れが周囲の人間や、コミュニティの崩壊をもたらすことも少なくなく、本人は全く困っていなくて、周囲が困ってるということもあります。
もし、依存症の本人の判断、決定、行動の自由を尊重するのであれば、完全放置で自己責任という話になります。
しかし、法律などで保護の必要性が認められれば本人のそうした権利を周囲が適切に制限することを、今の世の中は認めています。
依存症も、結局は自己管理の障害と言えます。
ご本人が自己管理ができるまで、周囲をどう支えるか、それまで本人の権利はどの程度までの制限が許されるのか。
結構その辺の運用は、よく言えば柔軟、悪く言えば適当なのかもしれません。
また、ICFで言えば、「参加」の障害ということになると思います。そういう目線で言えば、作業療法士としては困ってるよねと思うんですけど、そこを本人とすり合わせるのは本当に大変ですし、根気と覚悟がいりますね。
作業療法とパソコンゲーム依存症
依存症治療で作業療法士が一番よく関わるのは、アルコールと、その他の薬物依存ではないでしょうか。ちゃんとした統計データは探してないですが、自分の身の回りで言えばそういう感じです。
しかし、引きこもりの人は、パソコンインターネットスマホになるんじゃないかという人が多いです。
「本人の意思決定の自由なんだからほっとけば」
という目もありましょう。
本人が困ってないなら、いいじゃないかというのは最もな意見です。
しかし、上記のコラムにも書いたように、本人の「参加」が制限された状態ってどうなのという建前と、周囲の人間やら行政への負担を考えるといつか支援が途絶えて生活ができなくなってしまうというリスクを考えると、どう考えてもそのままでいいとは思えないのです。
引きこもりの人の中には、生活保護で、四六時中ネットゲームに勤しんでいる人もいますが、一生そのまま生活できる保証はないわけです。
日本の生活保護の質は今後上向く可能性はなく、むしろ下降傾向でしょうから、本人の意思決定だからと放置しておくと、いずれ対処できない問題として立ち現れてくる可能性が高いです。
そこに対して、作業療法士はアウトリーチ型の関わりを行ったり、就労支援などの枠組みで関わっていくことができれば良いと思います。
とりあえず自分に出来ることはネットでの情報発信
とは言え、パソコンゲームに熱中している人たちの傾向として、生の人間と関わるよりも、インターネット上のコンテンツの方がストレスなく摂取出来るよっ、っていう人も多いです。
リアルな人間が、密に関わる前に、ネット上で「つなぎ」になるようなコンテンツがあれば、色々捗るのかなと思います。
ですので、個人的には頑張って情報発信していきたいと思います。
そうやって、人と繋がりたいと思ってくれる依存症の人がいればいいなと思います。
参考資料
ねほりんぱほりん ”ネトゲ廃人”
NHKの尖った番組の一つである、「ねほりんぱほりん」に、ネットゲーム依存症な人が登場したことがあります。
あくまで頂点の人の例ですが、こういう人もいるよ、ということでズルズルとネットゲームを続けるから一概に悪いということもありません。
ただし、頂点に立たなければ彼のような生活はできないことを考えると現実的ではないですね。
©︎NHK
WHOの定義だと完全に生活は崩壊していると言って差し支えないと思います。
NHK公式のテキストで読めます。読んでみてください。
スプートニク日本
https://jp.sputniknews.com/science/201712234410308/
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