備忘録です。今後とも、いち作業療法士として実習生を指導させていただく機会があるので、OTSを指導する側のOTRとして言語化を試みます。
作業療法士の側に、確かな臨床技術と、「しょうがないやるかあ」くらいの最低限のモチベーションがあれば可能な方法だと思います。
まえがき
本当はちゃんと論文にして発表すればいいんでしょうけれど、面倒くさいのでネットでいいやと思いました。
ただし、自分なりに誠実に書いてます。
実習での体験はおそらく、実習生のその後の人生を大きく左右します。自分の一挙手一動が、実習生の考え方になんらかの影響を与えます。そのへんは、いち作業療法士として妥協してはいけないところだと思います。
実習生指導に死ぬほど悩んだ去年までの自分と、今回も悩むであろう今年の自分と、どうせこまることになる将来の自分と、悩みを同じくするみなさまへ、参考になりますようにという祈りを込めました。
特にコロナな日々で、なんでも密にならないように、負担が軽くなるようにという方向で物事がすすんでいくようですので、そのあたりも踏まえて実習指導していければいいなとおもっています。
筆者背景
ここに書いていくのは、もうおわかりのとおり、あくまで個人的体験談に基づく情報でn=1ですから、大したエビデンスにもなりません。
しかし、私の個人的な背景については多少説明が必要と思います。
作業療法.netの中の人、ぼくhiroemon。サラリーマンといいますか、一応組織に属して働いておりまして。いろんな案件が、天から降ってきます。
すると、時に実習生OTS指導のお鉢がまわってくるのであります。
近しい同僚には、こっそり申し上げるところなんですが、「正直、学生の実習ができるような人間ではない。」と生来の自分自身については評価を下します。
ですが、組織人の辛いところは、向いているいないにかかわらず好む、好まざるにかかわらず、実習指導をしないといけない時がくるのでございます。
なにより、学生は実習担当OTRを選べません。かわいそうに。私なんかのもとに回されて、という感じです。
本当に、日々作業療法士の卵たる、学生さん相手に一生懸命教育しようと試みる先生方には本当に頭が下がる思いです。学生時代の自分みたいな学生が来たら本当に困るなあと思うので、私に教育は無理と自負しております。無理というか。
「何がなんでも、教えてやりたいというモチベーションが低い」というのが正しいでしょうか。
ですが、一応、本人にやる気がある学生にはとことん報いてあげたいし、そうすることでOTSの成長が加速すればそれはやがて、その人が関わる患者様が高い質のサービスを提供されることにつながるし、ひいては作業療法自体の全体の質の向上につながると思っています。
作業療法士が、OTS実習生指導で特に困る状況の一般論
じゃあ、実習で作業療法士と学生とが、どんなことに困るのかということを考えて対処法も考えておけば、ある程度スムーズにこなせるのでは無いかと考えました。
上記のような感じで作業療法士として働くうちに実習生を指導する機会に恵まれることがあります。
作業療法士側が好む好まざるにかかわらず、です。
学生もいろんなひとが実習にきます。
実習をとおして成長したい人もいます。そうかと思えば、カリキュラムで仕方なくっていう人もいます。
特に、「できることなら、実習にはいきたくないけれど、合格、卒業はしたい。」という矛盾した感情図のOTSの指導はじつに大変ですね。いまの教育システム上、卒業には実習合格が必須です。
本人に実習での成長のモチベーションが全くなくて、かつ不合格を恐れて「失敗したくない」が先に立つから動けない、何か言えば言うほど、引き出そうとこちらが関わるほどに萎縮してしまうタイプの学生さん。
一般論として、作業療法士が実習場面でOTS指導する時にこまるのはこの手の学生さんだと思います。
決して素行不良というわけでも、不真面目と言うわけでもないけれど、エネルギー低めで挑戦が苦手で、動きが悪く、指導されたことを忘れがちで、処理できない課題も溜まりがち。
そういう人には指導する側の期待と要求との間のギャップでフラストレーション溜まりがち。
そういう構造が、作業療法士とOTSの間で、お互いこまるんだろうなあ、という仮定のもと、うまくいく方法を模索して、去年実践し、その結果がちゃんと出て、後のち本人に聞き取りもさせてもらえたので、一事例として報告します。
指導法は、いつでもだれでもどんな領域でもOTRがOTSの指導に使える方法が良い
細かい条件が変わるとできない指導方法なんて正直臨床しながら取り組むのは無理ですし、そのせいで発生したOTR側のストレスがOTSにいくとナンセンスです。
ですから、実習生のタイプによって指導法を変えるとかそんなめんどくさいことはできないので、指導法はだれにでも使えるものでなければならないとおもいました。
今回備忘録として残すやり方は、実際去年と今年と、その前とで実習指導のやり方は自分の中では、一貫させてますし、学生から特にそれで困るということも聞かないので、それでいいのだと思います。なによりちゃんと結果が出てます。結果については後述します。
そもそも論として、やる気が全くないOTS実習生を早めに評価、特定する
作業療法士って真面目なひとが多いので、なんともできないこともなんとかしたいと祈りがちです。
しかし、作業療法士が実習指導のモチベーションをへし折られないためには、「全くやる気がないOTS実習生の指導はしない、諦める」の線引きが大事かなと思います。実習という、目の前に貢献すべき患者様がいるような状況にもかかわらず、まったくやる気を示せない人がOTRになっても将来の患者様が困るだけなので、冷静にバッサリやるべきです。
このやる気がないというのは、本人のメリットになる要素への改善を要求に対し、改善の動きが全くみられないことです。全くみられないというのは、文字通りゼロです。改善の要求は極めて具体的でなければなりません。しかも、本人の最大努力の1〜2割くらいの力でできるものである必要があると思います。要するに割と簡単にできることを、全くやらないのであれば、やる気がないとみなすという簡単な理屈です。
我慢して最低でも2週間は様子を見たいですが、それでも上記の条件で指示を出して、行動変化が現れてこないOTSは、作業療法士に向いていません。さっさと実習中止にして、学校に送り返します。
なんとかしたいと願っても、作業療法士が臨床の場でそのような学生を相手にするのは、相当の教育的知識技術が必要です。いち作業療法士には正直臨床やりながらの二足は相当難易度高いです。
改めて、実習生OTSの実習に向けてのやる気の有無の確認方法です。
詳しくは、後述する「改善のやり方」について、きっちりと具体的に実習生OTSに説明をしておきます。マニュアルとして手渡します。いつでもその気があれば参照して、最悪、手続きで思考ゼロでもできるレベルで、動きが見られない時に「できない」という言い訳を封じるよう、「やらない」が明確となる形で渡します。
そうすれば、判別が非常に簡単になりますので、あとは説明マニュアル化した内容をを取り組む気があるかどうか、能力の有無の影響を極限まで減らした状態の課題を渡します。それでもなお、変化に向けた行動が全くできない場合には、やる気がないのだ、と判定します。とにかく、課題は実習生OTSにとって非常に簡単で「できない」のではなく「やらない、やっていないのだ」ということが明らかになるように構造化します。
いち作業療法士として、業務と並行して指導・育成できるOTS量には、どれだけ最低限の指導法でと言っても、限りがありますので指導不能の判断はしょうがないと思います。さすがにやる気ゼロの学生さんはやりようがないです。賛否あると思いますが、本当は臨床に費やすべき時間や労力をボランティアで策以上、コストパフォーマンスの良い学生に労力は温存しておくべきという考え方です。
学生の側としても、引導は実習終了ギリギリになって渡されるよりも早めのほうが納得できるのでは無いかと思います。
OTS実習生に改善の行動が見られるが、一切結果につながらない上に同じようなミスを繰り返す、学習に困難さを認める場合
作業療法士の側が何度言っても、同じミスは繰り返すわ結果にはつながらないわ、となると本人のやる気を疑うのは致し方ないと思います。が、上記のようにちゃんとやる気の有無は判別してあげるべきと思います。やる気はあってアクション起こすことができるけどうまくやるだけの学習スキルが乏しい場合もあります。やる気があるなら、実習はできるとみなします。
たとえ、実習指導側の作業療法士の言うことがうまく理解できず、誤解してしまい「わかりました」がそうでなく、同じ失敗を何度も繰り返し、根本的に解決に至れない枝葉の部分にとんでもなくたくさんの時間を費やしてしまうOTS実習生だったとしましょう。
だとしても、改善しようとして起こすアクションがあるならば、うまくできないだけでやる気はあるのだと判断して、やり方を教えるなどしてハードルを下げます。
決して、就職して使い物になるレベルまで育てることは、実習指導者の責務ではないと思います。本人に要求できる能力の量があまり多くないのに、あれもこれもと要求しても、OTS実習生の中には、おそらく何も積み重なりません。
実習を指導する作業療法士の側が要求ハードルを高いままにしてほうっておくと、実習生OTSはストレスが高い状況のままになってしまいますし、作業療法士のほうも無駄にイライラしてしまいます。
作業療法士は、そうした学習に困難さを抱えるOTSに対して多くを求めることは諦めましょう。どうせ、OTRの側にもともと大して教えるモチベーションは大きくなんてないんですから。それよりは、下記の大方針に基づいて各実習生の身の丈に応じた指導を行うべきと考えます。
大方針 背中で語って、学生に生じた疑問に答える時のみ、言葉で説明
やる気のある学生も、やる気のない学生もいます。
私のように、臨床に対するモチベーションと比べると比較的やる気のない作業療法士もいます。
では学生とOTRの一番の違いは何かというと、成長の方法と、その源となる「改善のやり方」について知っているということです。実習生OTSを指導する時に、作業療法士がやるべきことはただ一つです。それは、作業療法士になってからも、患者様にとって優秀な作業療法士という方向性に向かって成長するための「改善のやり方」とその哲学と方法について教えてあげることが一番だと思ってます。
ですが、本心といたしましては、恵まれるというよりもお鉢が回ってきたのでしゃあねえという感じです。あんまりモチベーション高くないので、ふだんから実習生さんが来た時のために準備をあれこれして備えるタイプじゃないんですよ、ごめんなさいね。
ですが、学生さんにおかれましては、どんな人間が実習指導につくかによってその後の人生が大きく変わってくるっていうのは正直あると思います。つまり、実習が自信を形成する土台となるかどうかによって、実習生やOTSであった人が、OTRとなったその後、作業療法を好きになって頑張れるかというところに大いに影響することは間違い無いと思います。
働く作業療法士のやってることをまずはそのままOTS実習生に見せる
指導する側の作業療法士がちゃんと働いていれば、それをみせるだけでよいのです。ぐだぐだと能書きを垂れる必要もありませんし、たれたところでうまくいきません。
経験の量に違いがあることを抜きにして、作業療法士がOTSにあれこれ説明してもどうせOTS実習生は消化できないからです。自分が普段やっていることを、そのまま見せるだけなら時間も手間も必要ありません。
これなら、身体障害、精神障害、老年期、発達、就労、行政、どこであっても関係ありません。作業療法士の側はちゃんと仕事をして、その仕事内容を見せるだけ。
この段階は、言葉がいらないので簡単だと思います。
実習指導作業療法士は自分の臨床を見せた後に質問があれば、背景とエビデンスを説明する
その後、実践に関して実習生OTSから質問があった時のみ、実践や介入、さらにはその背景について言語化したものを渡します。
とはいえ、指導する側の作業療法士の側としても、いつも考えてることだったりすでに知っていることだったり勉強済みのことを、聞かれた範囲で一問一答型で答えるだけなので簡単だし、簡潔です。
なおかつ、作業療法士側が説明することは、学生本人の興味関心気づき疑問をベースにしてすでに引っ掛かりがあるところの周辺についての情報なので、OTS本人の中に残りやすいのでコストパフォーマンスが良いのが最大の魅力です。実習指導で大切なのは、実習が終了したときに学生の中にどれだけの学びが残っているかで判定されるべきだと思うからです。
要するに普段の臨床の流れと同じ流れで実習指導するだけ → 簡単
実際問題エビデンスや根拠、確からしさに基づく作業療法は、普段から作業療法士ならみんなやっていますし、説明責任によって患者様相手に説明もします。そもそも、作業療法士は、今現在患者様に対して自分がやってる治療介入アプローチがどうしてそのようなものを選択しているか、なぜそれを選び取っているのかについての根拠に基づく臨床、評価介入を普段から仕事として実践しています。
ですから、あとは簡単で、実際にやって見せて、「なにか聞きたいことありますか」で、質問あれば答えるしなければそれで終わりです。作業療法士側はOTS実習生本人の質問、疑問が解決するように自分の意見を正解では無く一つの意見であることを明示した上で伝えます。もしも、質問がなければ、それ以上こちらから「質問はないのか」と問う必要もないと思います。
メリットは違いに、短時間、軽負担で実習指導が可能になる
この実習方法は、OTS実習生側に、臨床場面を五感を通して具体的に体験をしてもらいます。その体験を自分で言語化してもらうことで、OTS側の学習を効率化するのが狙いです。それが、本人疑問をもとにして説明する理由です。
実際、その方が、短時間で済みます。今時の潮流にも合致していてそのあたりの整合性も問題ありません。
やる気や能力のある人への個別フォローも十分可能
また、本人の興味関心モチベーションの高さ、技量能力に応じて量や密度を調整しながら本人に情報を渡すことが可能になるので、説明する側のOTRとしても、非常にやりやすいです。負担軽減が時代の流れとはいえ、やる気のある人の学習機会が奪われるのもかわいそうなので、その余地も残せるということでこのやり方が良いと思っています。
実習も臨床も長距離走であることを学生には伝える
ただし、大切なことは、学生に短期的なハイパフォーマンスをもとめてはいけないし、実際にそこは求めないことを言語化して伝えることです。
本人の疑問を主軸とした実習指導は実際やってみると、やる気やモチベーションを刺激しやすい手法ですが、その反面息切れを起こしてしまいかねないほどの頑張りを引き出してしまうこともあります。
本来実習とは、あくまで、今後の作業療法士人生を、OTS本人とその顧客である患者様にとって有利となるように行動できるその基礎づくりのための貴重な体験となるべきものが実習だと思います。
ですので、実習のパフォーマンスに全力投球して、振り返りの余力が残っていないようでは話になりません。
そのことについては、実習の始めに言語化して伝えるようにしています。いくらその瞬間のパフォーマンスが高かろうと、積み重ねる余力が残っていなければ、長期的には、低いパフォーマンスを着実に積み重ねる人の長期的成長に必ず追い越される日がきます。
作業療法士が実習生OTSに実習中で指導のポイントにすべき3つのこと
すでに臨床経験がある作業療法士が実習中のOTSに実習指導をするうえで大切にするべきは、3つのポイントで説明できます。
①短期的パフォーマンスよりも長期的な成長が重要であることへの理解
②持続可能性な成長に必要な自発性とモチベーションを高める方法をつかませること
③成長のサイクルの回し方についてやらせて体感させること
以上3つです。
①については、既に上記で述べたとおりで、積み重ね続けるほうが長期的なパフォーマンスは絶対に高いですので、着実に積み重ねることが大切と理解を促します。
②については、人から言われなくても自分で動き出せるようになるための方法をつかみましょうということで、そうするために必要な自己内省を求めます。
③については、本人の言葉でPDCAをやらせます。
めちゃくちゃ優秀なOTSの場合にのみ 完全アクティブラーンニング
要するに、本人の自律思考能力の強化の比重を極端に高めます。
即戦力育成モードとでもいいましょうか。
具体的には評価から、介入までのプロセスを完全に自己決定させます。
つまり指導者であるはずのOTRは、ほとんど説明指導しません。
何も教えない。
聞き役に徹する。
肯定と否定の代わりにこちらは、問いかけを投げ返す。方向性に関するヒントになりうる問いを投げ掛け続けるのみ。
不安定で曖昧な状況下のなかで、少しずつ曖昧さを仮定仮説に基づく実践によって取り除き、その結果さらに積み重ねた実践のみが教師という極めて実践的な内容です。
議論と反芻と推敲によってトライアンドエラーで車輪の再発明を行う感じです。
普段自分がやっている頭の中と行動原理を習熟してもらうことをイメージした内容です。
ですが、そもそもこれが実践できる大人って、そんなに多くないかなと思います。
能力云々ではなく、実践し続けることがしんどいからです。答えが明確になるかどうかわからない状況下で常自分を鼓舞し続けて取り組み続けるのは、自分自身との対話が欠かせません。
楽に生きることを肯定される世の中においては、なかなか難しいのではと思いますので、後輩にすらあまり勧めませんし、自分もメンタル落ちてる時にはしんどすぎてできません。
まして、自分の意思決定と指導者からのプレッシャーを混同しやすい実習という状況下においては、アクティブラーンニング的に勧めるには、学生が潰れないよう実習指導者側のOTRに相当な配慮が必要になると思います。
特に、学生が一人しかいない実習の時には精神的孤立感を深めてしまうリスクあると考えます。要注意です。
学生事例と結果
昨年までに受け持たせていただいたとある方ですが、上記までの方法で、実習指導を行いました。
見学実習と本人質問への回答から開始して、どの程度実習を進めるかは実習生OTSの自主性にまかせました。
たまたま、やる気と能力が非常に高い方でしたので、こちらが学生さんと関わらせていただく時間も質問量の増加や、質問の質の深さが増すに伴って自然と長くなりましたが、学生さんの主体性と能動性とモチベーションは比較的高く推移し続けたかと思います。必要以上に、こちらから与えないことは、教わる側の成長を促進することもあるなということを学びました。
教えたい欲求に任せて教えると、本来の意味で助長してしまう、かえって成長速度を低下させることにつながるのだと、そう教えてもらったように思います。
最終的には、アクティブラーンニングできる方でしたので、実習も終盤の頃、介入とレポートを考える段階に差し掛かった時には、こちらは問いかけを投げる程度で、自分で関わりその体験をもとに自分で考えて評価してもらい、その評価をもとに既存知識から仮説推論を行ってもらい、それらが正しいという仮定のもと介入をおこなってもらい、結果から有効性の判定までしてもらうという、今考えると鬼のような内容の実習でした。
もちろん、学生さんの失敗の全責任は、指導者作業療法士である自分にあるのでそのあたりの意味でも自分自身の成長にとってもよかったと感じています。
おかげさまで、無事に実習終了となり、無事卒業試験も合格し、国家試験も合格し、コロナの中でも無事に働いておられるとのことですが、正直どう思ってたのか実習終了してしばらくしてから(つまり、利害関係がなくなってから)聞いてみました。
曰く「実習の時には、自分で判断しなければならず、結果確信が持てずに困った」一方「今確かに経験が役に立つ場面も多く、肯定はできる」というありがたいお言葉をいただきました。
一銭の得にもならないのに、こうして教えてくださったことが、まずうれしかったですね。もう少し頑張ろうと思いました。
実習生OTS本人の学習効果は高い
この情報過多社会において、臨床に出てからも役立つというのはなぜでしょうか。
間違いなくそれが本人が自分で体験し、そのなかでのひっかかりを疑問という形で言葉にして発信し、そこから深まった情報をもとに行動する、その結果をもとに評価を再構成する、あるいは継続の判断をする、という改善のやり方を実践したからだと思います。
こちらが答えを提示して、トップダウンで行うだけでは、誤りなし学習だけでは、就職後の臨床の場面での役立ち度合いはあまり高くなかったのではないかと思います。
注意すべき点
同時に、いくら優秀でやる気があって実習生OTSがアクティブラーンニング的な学習スタイルができるからといって、正解不正解を全く示さないというのはやはりやりすぎだったのでは、とずっと悶々としていました。思い切って聞いてみると、じっさいそういうお言葉を頂いたので、本人の成長を阻害しない程度にもうちょっと確信の持てる要素をなんらかの形で手渡すのが心理的負担を軽減する上で大切だなあと思いました。
実習生OTSへの指導で大切にしたいことは自己教育への自発性を身につけさせること
実習中にたくさんのことを教えるよりも、自分なりに一人で勝手に成長していく方法を身につけてもらえればいいと、そう思っています。
実習中にたくさん食べさせても、自分一人で調達できるようにしておかないと結局痩せ細っていってしまう、そんなイメージです。
魚をあたえるより、取り方を教えろっていう話があったのではなかったでしょうか。それはきっと作業療法士が取り組むべき作業療法の本質の一つだと思います。
そのためには、それなりに自分自身のことを知り、見つめ直して貰う必要があるんですが、なんだかかなり長くなったので、それはまたの機会に譲ろうと思います。
そのための必要最低限の要素が、この文章の冒頭の実習生OTS本人が自分自身に行動を強いれるだけのやる気なのではと思っています。
まとめ
実習指導は本人が自分で頑張れたら評価する
それでいいし、それだけでいいと思います。
作業療法士も実習生もラクに効果的な実習ライフを
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