連載:AIの衝撃 その1 『AIが日常になる』

AIを前提とした日常生活が始まります。

そういう時代になり、これからやるべきことを学ぶ必要があります。

実はもうすぐそこにある AIの力を身近に感じるために

こんにちは、皆さん。ひろえもんです。

作業療法士です。今回の連載は、作業療法と、何の関係があるのだろうと思われる方もおられるかもしれません。しかし、これが関係が終わりで、これから作業療法とAIはその領域が多い域に重なってくるところがあると考えています。

「AI(人工知能)」というテーマについては、若干センシティブな面を含んでいると認めざるを得ません。何なら、人間の自尊心や存立意味のある作業と言う概念にさえ影響与えます。

しかし、この変化の波をポジティブに捉え、前向きに活用していくことがどうにも不可欠なスキルとなりそうです。

変わる社会の中で『生きづらさ』にAIが与えるインパクトは全ての人に影響を与えるものと考えます。必要以上に不安にならず、むしろ、前向きに生きるためのツールとして活用するための方法論にについて考えて行きたいと思っています。

さて、AIは、私たちの生活にどのような変化をもたらし、どれだけ便利な存在になっているかをご紹介します。

ここまで読んで下さった方の中には、もしかすると、AIと聞いて「なんだか難しそう」「ITには苦手意識があるから」と感じる方もいるかもしれません。しかし、ちょっと待って下さい。ついにオタクやギークだけが関心を持つものではなく、避けて通れないレベルまでAIが進化しました。私たちはもうすでに、普通にAIのある世界の中で生きています。ちょっと無自覚なだけです。それが今後徐々により広範に浸透していくであろう、とそういう話なのです。

これは希望でもあります。つまり、私たちがAIを学び、上手く付き合うことができれば、AIは私たちの生活をより便利で豊かにしてくれるツールであり、特別な知識やスキルがなくても簡単に利用することができる、『魔法の杖』となるでしょう。

これを書いている人について

申し遅れました。簡単に私自身の自己紹介をさせていただきます。私は『ひろえもん』と申します。作業療法士として、日々患者様、利用者様のさまざまな生活支援を行っております。私がAIに関心を寄せるようになったきっかけは、作業療法の自助具や環境調整としてAIがどのように活用できるかを考え始めたことです。一昨日のオープンAIのChatGPT4oを視覚障害者の方の周辺認識のツールとして利用できることには、大変感動しました。

また、私はAIやLLM(大規模言語モデル)に関する自身の学びを作成するために、https://otwiki.org において情報を発信してきました。私が学んできたことはhttps://otwiki.org/wiki/AI(人工知能)などのページに公開しています。ChatGPTやAIの基礎、attention論文のフォローアップなど、私がいままで作業療法の傍でAIに関する内容に触れてきた部分を誰しもに見ていただけるようにしています。

つまり、AIの専門家でもなんでもなく、世の中の凄い人たちが解説してくれた部分の追っかけをやってきたのが私です。つまり言うなれば、ちょっとだけ『コアなAIファン』、おっかけとでも言うべきでしょう。

本連載の目的地

ただ、ここ数日の動きには流石に危機感を持ちました。つまり、これからの生活支援を考える上で、AIの存在は絶対に無視できなくなるし、生活に前提として入り込んできます。ゆえに、職業として作業療法や作業療法士について考えるのであれば、真摯に色々な面で、AIを取り込んでいく動きが必要になるし、いまの「あってもなくてもいいやー」というスタンスから、『必須のものとなっていくであろう』という、強い意識で取り組む必要があるということです。

さて、本記事の目的は、AIの基本的な概念から日常生活や仕事での具体的な活用例までを分かりやすく解説し、ITアレルギーを持つ方でも興味を持っていただけるようにすることです。特に先日のオープンAI、そして、Googleの発表会を見ると、これからのAI時代を背景とした作業療法を、私たち作業療法士が提供することを考えると、作業療法士が環境調整等の場面ではAIについての学びを持つことが、半ば必須となると予測しています。そこで、AIがどのように私たちの生活をサポートし、より快適なものにしてくれるのかを一緒に見ていきましょう。

まだご覧になって無い方は、記事の末尾に動画のURLを掲載しますので、ぜひご覧になってください。ヤバいです。ヤバいですから。

ということで、連載の目的地としては、作業療法士のみならず、生活にAIをどう生かしていくかという視点がだいじだよね、ということを主なテーマとしつつ、『AIが日常になる』という社会の激変で健康を損なわずにいきていくこと、またその支援の方法について知ることを目指したいと思います。ですので、作業療法士のみならず、AIの登場で、これからの私たちの生活がどのように変わっていくのか、漠然と、不安になっている方のお役に立てる内容になっていくと思います。

連載初回は、AIとはなんぞや?と、日常化しつつある現状について見ていきましょう。

そもそもAIの基本とは?

AIという概念が、とても多くの対象を刺すようになったと感じます。その分、なるべくシンプルにAIの概念を捉えることの重要性はますます高まっています。

とても簡単に言えば、AI、つまり人工知能は、コンピュータが人間のように考え、学び、判断する技術です。より詳しくいえば、AIは、大量のデータを解析し、そのデータからパターンを提示します。そしてもう既に、私たちの社会では、こうしたAIの仕組みで生成されたサービスは、さまざまな分野での問題解決に役立てられはじめています。

では、どのような問題解決で、すでに役立てられているのでしょうか?ということで、これまでのAI活用の具体的な場面を、おさらいしてみたいとおもいます。

AIの具体的な利用例

とはいえ、サービスは挙げればキリがないです。小さいきぼで使われるAIも増えているそうです。今日のところは、ざっくりと、大きな括りで見てみましょう。

すでに思っている以上にAIが生活の中の景色になっていて、ハッとすることもあると思います。

日常生活での利用例

スマートフォンのアシスタント

これは、もう既に使われている方も多いでしょう。 AIはスマートフォンに搭載された音声アシスタント(例えばSiriやGoogleアシスタント)を通じて、私たちの生活をサポートしてくれます。たとえば、天気予報を尋ねたり、タイマーをセットしたり、メッセージを送信するなど、音声だけで多くのことができます。

今や当たり前と思う方も多いでしょうが、周囲の雑音や環境音に左右されず、安定したクオリティで人にモノを頼むようにして、機械に入力ができる、というのは本当に革命的でした。

オンラインショッピングのレコメンド機能

Amazonなど、オンラインショップで『あなたにおすすめの商品です』と提案されますね。 このような場面でAIは、あなたの過去の購入履歴や閲覧履歴を元に、おすすめの商品を表示します。これにより、あなたは欲しいものが見つけやすくなり、知らず知らずのうちにお買い物の金額が増えます。

自動翻訳アプリ

論文を格段に読みやすくなり、必要に応じて文章を書く時にも使えます。deepl翻訳が登場した時、Googleなどの既存大手ITの翻訳サイトを遥かに凌ぐ精度で翻訳ができることが、当時は大変な話題になりました。今や、普通に使われますね。 これはすごいインパクトで、旅行先や外国語の資料を読む際だけでなく、母語でない言語を使う必要に迫られた時にも、瞬時にテキストを翻訳し、言語の壁を越える手助けをしてくれます。

本当に格段に調査に必要な時間が激減しました。

仕事、業務での利用例

データ入力の自動化

AIは、定型的なデータ入力作業を自動化することで、時間と労力を大幅に削減できます。これにより、従業員はより重要な業務に集中できるようになります。

「そんなの今までのプログラミングでもやってたですやん?」と言われるかもしれませんが、より曖昧な課題に対応でき、プログラミングの必要がなくなってきています。本質的なワークフローの理解があれば、自動化を行うためのハードルやコストが格段に低下したと言えるでしょう。

メールの仕分けや自動応答

これが必要な人は少ないかもしれませんが、個人事業主や少数精鋭法人にとっては、重要なソリューションで、結構なインパクトです。 顧客からの大量のメールを処理するのは大変です。ところが、AIが自動でメールを仕分けたり、簡単な返信を行ったりすることで、業務の効率化が図れます。

予定管理やリマインダーの設定

AIはスケジュール管理にも役立ちます。予定を登録すると、適当にしてくれます。適切なタイミングでリマインダーを通知してくれ、情報共有を促してくれます。

重要な会議やタスクを忘れずに済みます。報連相を助けてくれてます。ホントに。

健康管理の利用例

この辺から生活にグッと踏み込んできてます。

健康アプリ

だんだん人間の日常に踏み込んだ内容になってきました。 例えば、「痩せたい」と思っても、意志の力に頼るダイエットは長持ちしません。経験がおありでしょう。そこで、AIを搭載した健康アプリは、日々の運動量や食事内容を記録し、健康管理をサポートしてくれます。目標達成に向けたアドバイスも提供してくれるので、モチベーションを維持しやすくなります。

メディカルアシスタント

ここまでくるとなかなかリスキーに思われます。しかし実際にそれで、治療に繋がることもあるようです。

このサービスでは、体調が悪いとき、症状を入力すると、AIが考えられる病気や対策を提案してくれます。これにより、病院に行くべきかどうかの判断をサポートしてくれます。

上手く使えば、お医者様の負担も減らせるのでは、と期待されています。

AIの安全性と簡単さ

このようにすでに生活の中で、多方面で実用化に向けたプロジェクトが走っており、安定して実用されているサービスも増えています。

じゃあ、セキュリティがどうなの?と気になる方は鋭い。そこは注意しないといけないところです。プライバシーも。

プライバシーとセキュリティ

AIを使う上で心配されることの一つがプライバシーとセキュリティの問題です。しかし、多くのAIツールはデータの保護に厳格な基準を設けており、安全に利用することができます。

逆にいえば、どのような業者がどのような利用規約で発行しているサービスなのかは、理解した上で使う必要がある、ということです。

ITリテラシーの不要さ

AIはコマンド入力やプログラミングが必要なコンピュータより格段に簡単に使えます。

英語では、口で話して伝えるだけで、意図した結果を出力してくれます。 このように、AIツールは直感的に操作できるように設計されているため、特別なITスキルがなくても簡単に使えます。これはとても歓迎すべきことで、デジタル格差が叫ばれて久しいですが、その特効薬となるでしょう。

AIを用いることで直感的かつ動的かつ感動的なサービスを作り出すことができるので、簡単な説明で、初めての方でもすぐに活用できるようになるのが大きな魅力です。

では、実際につかってみよう

ここまでAIの基本とその具体的な利用例についてご紹介しました。実際に使えるサービスが気になってる人も多いと思います。実際にAIツールを使う際の具体的な手順や、おすすめのツールについて詳しく解説します。

皆さんもぜひ、AIの便利さを実感してみてください。

初心者へおすすめのAIツール

ここでは、初心者にも使いやすいおすすめのAIツールを四つ紹介します。後半ふたつはあえて馴染みがないかもしれないものを取り上げてます。

とりあえず使ってみてください。サービスの存在自体を、今まで全く知らなくてもすぐに使える、ということが実感できると思います。

1. Googleアシスタント

ネット環境があれば、無料でとりあえず使えます。 Androidスマホの方は多分スマホにアプリが入っているのではないでしょうか?

iPhoneだったりで、インストールされていなければ、アプリをダウンロードしてみましょう。

https://assistant.google.com/intl/ja_jp/platforms/phones

Googleアシスタントは、スマートフォンやスマートスピーカーで利用できる音声アシスタントです。質問に答えたり、リマインダーを設定したり、音楽を再生するなど、さまざまな機能を音声だけで操作できます。

使い方は簡単。アクセスして、使ってみるだけです。

2. Microsoft ExcelのAI機能

最近AIが搭載され、話題になりました。 対応するバージョンのExcelには、AIを用いた様々な、データの自動分析や予測機能が搭載されています。

https://copilot.cloud.microsoft/ja-JP/copilot-excel

これにより、たとえば、入力済みの数値やデータのパターンを見つけ出したり、適切なグラフや統計情報の処理についての提案をおこなったり、ユーザーの決定に基づいて関数の組み合わせなどを自動生成することで、データ解析が簡単に行えます。

3. MyFitnessPal

健康管理アプリケーションです。ダウンロードして使ってみて下さい。食品をスキャンする仕組みにAIが使われています。

https://www.myfitnesspal.com/ja

この健康管理アプリは、食事の記録や運動の追跡にAIを活用しています。食事内容を入力すると、自動的に栄養情報を計算し、健康管理をサポートします。

4. Otter.ai

Otter.aiは、会話の自動文字起こしツールです。英語限定だけどね。英語大事。

http://otter.ai/

じゃあこれを、日本人がどうやって使うかというと、例えば、英語話者のYouTubeチャンネルの音声をコレで文字起こしして、deeplで翻訳すれば、英語が全く聞き取れない日本人でも動画内の会話の意味を理解することができます。すごい。

かつては文字起こしは、デジタル内職の定番でしたが、英語圏ではAIの仕事に取って代わられました。精度がよく、複数人の声を聞き分けて文字に起こすことができます。

こうしたアプリケーションは、例えば、リアルタイムで会議やインタビューの音声を録音し、テキストに変換されます。これにより、記録や共有が非常に簡単になり、業務や意思決定をスピーディーに行うことができます。

まとめ

AIの進歩は本当に、驚きですよね。知ってる方にとっては当たり前だったのかもしれませんが、身近で使えるものだけでも、すでにこれだけ便利なものがあります。これはほんとうに、驚くべきことです。

そして、今後もっともっと増えるでしょう。

今回はあくまで簡単なさわりだけの紹介となりましたが、AIは、私たちの生活をより便利で効率的にしてくれる強力なツールです。私たちがAIについて、学び、よりよく使うことができれば、日常生活や仕事、健康管理など、さまざまな場面でAIを活用することで、時間と労力を節約し、これまでとは、比較にならない低コストで成果を得ることができます。

また、人とコンピューターの関係において、これまでになく特徴的な点として、特別なITスキルがなくても、直感的に使えるツールが多く存在するため、誰でも簡単にAIの恩恵を享受することができます。この点でAIをうまく使うことができれば、人の生活は格段に快適で便利なものとなる可能性があります。作業療法士としては、ぜひ環境調整の1部分としてAIの活用も選択肢の1つとしていきたいものです。

この記事を通じて、AIの基本的な仕組みや具体的な利用例、そして導入方法について理解していただけたかと思います。これを機に、ぜひAIツールを試してみて、その便利さを実感してみてください。そして作業療法の一環としてAIを活用してみたり、対象者の方に必要な環境調整を行う上でのツールの1つとできるように使いこなせることを目指してください。

今後の連載について

特別な法規制等がない限り、間違いなく、今後もAIの進化は続きます。最新の技術やツールに関する情報をキャッチアップしながら、作業療法士としては、対象者の方へより快適で効率的な生活を送るための支援ができるための強力なツールとしてAIを活用できることが、今後の社会文化資本を踏まえて作業療法士として活躍していく上での1つのスキルになると私は確信しています。

なお、基本的に2日に一度の頻度で、19時に更新予定です。それくらいのスピードじゃないと追いつかないという危機感があります。

次回内容

次回ではAIについての仕組みを踏まえてAIを安全に使うために必要なセキュリティーの視点についてより詳しく見ていければと思っています。

2024年5月17日更新予定です。

更新しました!!

連載:AIの衝撃 その2『AIとリテラシーとセキュリティ』前編 – 作業療法.net

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