ラポール形成のため「聞く力」を鍛えるためのポイントです。
なるほどなあと思いましたので、共有する記事です。
こちらのサイトから転載させていただきました。
こういう系の記事はよくあるんですが、読むたびになるほどなあと思うのは、きっと何も成長していない証で(空笑)。
作業療法士に必要な「聞く力」
作業療法士の仕事は、主に「評価」「介入」の繰り返しによって行われます。
その両方に、「聞く力」は重要です。
なぜなら、「評価」は文字どおり、作業療法対象者の方から話を聞くことによって情報を聴取するというプロセスが重要であるからで、「介入」を実行しながらその妥当性や感触を確かめるには、対象者の主観の聴取が必要が不可欠だからです。
で、その「聞く力」は、先天的な要素のみで形作られているわけではないので、練習すれば身につけることができるということです。
さて、では、どんな風にすれば身につくのか、そして、きちんと話してもらうためにはどんなことをやってはいけないのか。
それを確認して、日々の作業療法の実践に活かしたいわけです。
聞くのがうまい人の3つの特徴
では、話を聞くのがうまい人はどんな人か。
以下のような特徴があるそうです。
人の話を聴くのが上手い人はどうやってるか
- 相手が話し中だと相槌しかうたない
- 相手が話さないときは相手にまた質問する
- 目を見て話すが目ではなく鼻を見てる(そのほうが疲れにくいから)
一つずつみていきましょう。
1相手が話し中だと相槌しか打たない
要するに、自分の言葉で、相手の話を遮らないということです。それと同時に、相手に自分が相手の話に注意を傾けているというメッセージを発信するために相槌は非常に有効な方法であるということですね。
相手の話がワンセンテンス終わるまで、余計なことを言わない、じっくり聞く姿勢をもつというのは、作業療法士として、高齢者の方に関わったり、精神疾患のある方と一緒になんらかの活動をしているときに強く感じるところです。
相手の話を遮ることなく、きちんと聞いていることによって、相手は、自分が尊重されているという体験をし、そこに信頼関係が生まれる可能性があります。
自尊感情が傷ついている方や、心理的な傷を負っている方には、作業療法士が支持的な存在であることを表明する非言語的な手法として非常に重要です。
2相手が話さない時には相手にまた質問する
的確な質問には、相手の発言を注意深く聞いて、自分と相手の関係性を踏まえた上で発言をすることが求められます。
相手の発言を注意深く聞くということは、一言も聞き漏らさないということではなく、相手が重要だと思っている内容と、そうでないと考えている内容を判別しながら話を聞くということです。
それによって、作業療法士は、相手の趣味や嗜好、重要視していることやりたいと考えていること、価値観などに少しずつ近くことができます。
踏み込んで良い適正な距離感を示しながら、ここでも相手に興味を持っていること、自分が支持的な存在であることを示唆しながら、相手を尊重した質問を行うことが非常に大切です。
3目をみて話すが、鼻をみる
これは作業療法士としての業務経験上、かなり有効です。
対象者の方の目を見つめるというのは、よほど関係性ができていない限り、治療的に応用するのはかなり難しいです。相手の目を見つめ続けることには、親愛の情や攻撃の意思など、方向性の全く異なる様々なメッセージが含まれるからです。
とはいえ、きちんと相手に注意を払っていることを、態度で示すことも重要なので、その間をとって、相手の鼻とか目の少し下をみることによって、視線の拍子をずらすことは、意識できるできないに関わらず、相手の無用な緊張を退ける意味でそれなりに効果があります。
なお、自分は関係性ができてきたら、普段は、横並びになって目線の先を共有するようにして、相手と見つめ合うような状況ができないようにしています。意識的に。
その方が、同じ目線で、話を聞けるような、そういう気がしているからです。
とはいえ、最初から横並びで話を聞くのもなれなれしいでしょうから、関係性の構築過程にはこのような方法も大切ではないかと思います。
話を聞く時に、しない5つのこと
逆に話を聞く時にこれはやってはいけないということも紹介されていたので見ていきましょう。
人の話を聴くのが上手くなるためにやってはいけないこと
- 相手が話してるのを遮(さえぎ)らない
- 相手が何を認めて欲しいのか考えない
- 姿勢をのけぞらない(基本姿勢は少しまえ)
- 基本、正面に座らない
- 押し付けない(僕はこう思うけどどう思う?みたいなのがいい)
1相手の話を遮らない
相手の話を遮ると、ひょっとすると相手が、もっと大切なことを話そうと思っていたとしたら、その機会を奪うことになります。
そういう機会を奪う相手に、世の中の人は何度も話してみようと思える人ばかりではありません。
作業療法士は、すべての人から、なるべくうまく話を聞く技術が必要です。
実際の臨床では時間の都合もあるでしょうから、相手の言うことを遮らなければならないこともあるかもしれません。その時には、相手の発言を自分なりに咀嚼して「〜と言うことですね」と確認する形で遮ると、相手は自分の発言を遮られてもそこまでマイナスの印象を抱くことはないかと思います。
同様の場面で、相槌の代わりに、おうむ返しなどを活用すると、相手が考えながら喋る間を確保する効果も期待できるので、結構有効と思います。
2相手が何を認めて欲しいのか考えない
相手が大切にしていることを見極めようとしないままに、表面的に返答をしていても、結局関係性は深まらないし、「ああこの人は話を聞いてくれないのだな」と期待されることもなくなります。
期待してもらえない作業療法士ができる仕事はたかが知れています。
相手が、大切にしているもの、ことは、尊重する頭を常に持って作業療法士として仕事をしていきたいものです。
3姿勢を仰け反らない
これはもう、態度が横柄に見えると言うことと、話をしている本人からすると話半分に聞かれているなと言う印象を与えるからです。
作業療法士としては、治療的なメリットは何も感じられないので、対象者の方の話を聞く時には絶対にやめましょう。ありえません。
4基本正面に座らない
面接法などで教科書にも載っている通りで、お互いに無用な緊張を強いることになります。
正面に座ることで、対人緊張が高い人は、話もできなくなりますし、自分が話したいことや話している内容に集中できなくなります。
治療過程がスムーズに進まなくなることは、対象者の方が同じ時間で享受できる治療の量に如実に影響しますので、いち作業療法士としては重要な視点だと思います。
5押し付けない
「〜した方がいいよ」
などと言われて、そうですね!
と言える素直な人は世の中の人間の1割以下です。
表面的な話ではなく、深層心理の話です。
人のアドバイスを素直に聞けるように人間はできていません。
ですから、相手に直接的に指示的内容や、命令などを出すことはその後の自律的な行動パターンの形成に悪影響を与えます。
短期的には効果がありそうですが、長期的には実は効果の低い方法論であると言うのが作業療法士をしていて感じる実感です。
ではどうするかというと、質問で代用するのです。
誤解を恐れずにいえば、質問によって自分の口で指示したい方向に誘導します。質問によって相手が「本当はこうした方がいいと思ってるんだけども」と感じている部分を刺激して、その答えを自分の口から発言させるのです。
その日1日では効果が感じられないかも知れませんが、週単位月単位では、雲泥の差が出てきます。嘘だと思ったら、やってみてください。あっさり差が出て驚くと思います。
ポイントまとめ
この記事に書いているのは、「どう振る舞ったら相手は話をしやすくなるかなあ」と言う、あくまで一般論です。
もちろん、作業療法含む接客業においては個人によって対応の仕方を変えなくちゃいけないというのは当たり前です。しかし、一般的にはこうするといいよっていうのがわかっていると、作業療法士という自由度の高い仕事においては、いくらか気持ち的に楽です。
自分の中に、ポイントとして意識できているだけでも、自分の聞き方が問題ないかというところがチェックできるので、自分の臨床態度にも自身が持てるようになるかと思います。
上記の中で、自分が有効だと思うテクニックとしては、相手の話をきちんと聞いているということが伝わるような質問に添えて、提案や、発言ができると強いなあとよく感じます。
それに加えて、話している本人が時系列に沿って、あーだーこーだと、少しまとまりなく話していることを、びしっと要点を押さえて、その話をまとめて「あなたはこう感じたんだね」と、混乱しかけた本人の弁をまとめてうまく理解できるような、手助けとなるような形で共感が取れると間違いないです。
だって自分だってそういう人に話を聞いて欲しいですもの。
「ああ、この人は自分の話を聞いてくれて、わかってくれて、しかも共感の態度まで示してくれるんだ!」
という気になれば、やっぱり、自分はその人に対して悪い感情を抱くことはまずないと思うし、むしろ間違いなくその人とより親しくなりたいと思う、それが人間というものでしょう。
作業療法士としてはその辺をうまく、対象者の方の治療効果が最大化できるように使いこなしていきたいものです。
臨床では、作業療法士の共感的態度はとても大事
あとは、上にも書いてあるように、相手を否定しないというのも難しいけれど、非常に重要だなぁと思います。
相手がいうことが間違っている場合にも、それを否定しないでまず、いったん自分が引き受けるというか、相手が言っていることをそのまま繰り返したりして、相手が自分の言っていることを客観的にとらえることができるようなそういった手助けができることが、とても大切だとおもいます。
まずは味方であるということを認識してもらわないと、効果的な作業療法は始めようがありませんからね。
相手を否定しない態度は、作業療法士が味方であることを示し得る
終わりに
インテーク面接や、あるいは、作業の最中などに、会話を円滑に行うための「聞く力」という技術は必須だと思います。
最終的に、特に意識しなくても、あらゆる人とスムーズに会話ができるようになったらいいですね。
まとめ
作業療法士の「聞く力」は臨床力に直結する
ポイントを抑えれば「聞く力」は向上する
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