この記事のポイント
- 3Dプリンターで個人の手に合わせたオーダーメイドの自助具が安価に制作できるようになっています
- OTが対象者の生活ニーズを評価し、3Dプリンターで自助具を設計・制作する事例が増えています
- データ共有サイトの活用でゼロから設計する必要がなく、導入コストも年々低下しています
「ちょうどいい道具」がない問題
自助具(生活を助ける道具)は、市販品ではぴったり合わないことがあります。
手の大きさや握力は一人ひとり違うので、「ちょうどいい道具」がないというお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
最近は3Dプリンターを使って、その人だけのオーダーメイドの自助具を作ることができるようになっています。
3Dプリンターの基本
3Dプリンターは、パソコンで設計したデータをもとに、プラスチックの素材を積み重ねて立体物を作る装置です。
- 1個あたりの素材費は数十〜数百円程度と安価
- 1〜数時間で完成する
- 何度でもやり直せるので、使いやすさを追求できる
最近は家庭用の3Dプリンターも手頃な価格になっており、技術のハードルも下がっています。
OTが3Dプリントする自助具の例
3Dプリンターで作れる自助具には、さまざまなものがあります。
- 食事: スプーンの柄を太くするグリップ、お皿を固定するホルダー
- 身支度: 片手でボタンを留める道具、歯ブラシを握りやすくするホルダー
- 趣味: トランプを片手で持てるスタンド、ペンを握りやすくするグリップ
- 日常: 鍵を回しやすくするレバー、スマートフォンのスタンド
日常生活で「ここが不便」と感じることがあれば、担当のOTに伝えてみてください。3Dプリンターを使える施設であれば、あなただけのオーダーメイドの道具を作ってもらえるかもしれません。
データ共有サイトの活用
自助具の設計データは、インターネット上で無料で共有されています。世界中のOTやエンジニアが設計したデータをダウンロードして使うことができます。
つまり、ゼロから設計する必要がなく、既存のデータを少し調整するだけでオーダーメイドの自助具を作ることができるのです。
導入コスト
3Dプリンターの価格は年々下がっており、家庭用でも3万円程度から購入できるようになっています。
1個あたりの素材費は数十〜数百円程度なので、既製品の自助具を買うよりも安く済むことが多いです。
法的注意点 ── 製造物責任を理解する
3Dプリンターで作った自助具を安全に使うための注意点があります。
- 体重を支える用途には使わない: プラスチック製のため、強い力がかかる用途には向きません
- 定期的に点検する: ひび割れや変形がないか確認しましょう
- 使い方を守る: OTから説明された使い方を守ってください
- 不具合があればすぐ相談: 壊れた場合はすぐに担当のOTに連絡してください
OTとデジタルファブリケーションの未来
3Dプリンターの技術は進歩を続けており、今後はさらに精密で使いやすい自助具が作れるようになっていくでしょう。
「こんな道具があったら便利なのに」と思うことがあれば、ぜひ担当のOTに相談してみてください。技術の進歩により、一人ひとりに合ったオーダーメイドの道具がより身近なものになっています。
まとめ ── 3DプリンターとOT
- 3Dプリンターで個人に合わせたオーダーメイドの自助具が安価に制作できます
- データ共有サイトを活用すれば、ゼロから設計する必要はありません
- 導入コストは5万円程度から。素材費は1個あたり数十〜数百円です
- 耐荷重が必要な用途には使用せず、定期点検を行うなど安全管理が不可欠です
- 「その人に合った道具を提供する」というOTの専門性を強化するツールです
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士(OTR)
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
運営者プロフィールを見る →