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認知症の方の日中の過ごし方 ── 意味のある活動の見つけ方

認知症のご家族が日中を穏やかに過ごすための活動の選び方を、作業療法士がわかりやすく解説します。本人の歴史や好みに基づいた具体的なアイデアを紹介。

📅 2026年9月20日 公開読了目安 13分

この記事のポイント

  • 認知症の方にとって「何もすることがない」状態はBPSD(行動・心理症状)を悪化させる要因になります
  • 「意味のある活動」とは本人の人生の歴史や好みに基づいた、その人らしい活動のことです
  • 完成度や成果ではなく、活動の「過程」を楽しむことが大切です

「何もしないで座っている」は安静ではありません

認知症のご家族が一日中テレビの前に座っている、何もせずにぼんやりしている。「静かだからいいか」と思うかもしれません。

しかし実は、「何もすることがない」状態が続くと、不安や焦り、徘徊などの症状が出やすくなることがわかっています。

作業療法士(OT)は、ご本人にとって「意味のある活動」を見つけ、暮らしの中に取り入れるお手伝いをする専門家です。

「意味のある活動」とは何か

「意味のある活動」とは、ご本人の人生の歴史や好みに合った活動のことです。

  • 元教師だった方 → 文字を書く、本を整理する
  • 料理が得意だった方 → 野菜の皮むき、味見をする
  • 園芸が好きだった方 → 花の水やり、土に触れる
  • 几帳面な方 → タオルをたたむ、食器を並べる

大切なのは、上手にできるかどうかではありません。活動に参加している「過程」そのものに意味があります。タオルがきれいにたためなくても、「たたもうとする行為」がご本人の役割になるのです。

活動を見つけるための3つの視点

視点1: 人生の歴史をたどる

ご本人が若い頃に好きだったこと、得意だったことを思い出してみてください。

  • 若い頃に夢中になったことは?
  • お仕事で得意だったことは?
  • ご家庭でどんな役割を担っていましたか?
  • 季節ごとの楽しみは何でしたか?

こうした記憶の中に、今の活動のヒントがあります。

視点2: 「できる」レベルに合わせる

活動は、ご本人の「今できるレベル」に合わせることが大切です。

  • 初期: 簡単な料理、園芸、手芸など手順のある活動
  • 中期: 野菜を洗う、タオルをたたむなどシンプルな活動
  • 後期: 音楽を聴く、手触りのよいものに触れるなどの感覚的な活動

「できない」体験をさせないことがポイントです。「ちょっと手伝ってもらえますか」と頼む形にすると、ご本人の自信を守れます。

視点3: 生活の中に自然に組み込む

特別な時間をつくる必要はありません。毎日の生活の中に自然に組み込むのがコツです。

  • 朝食後に新聞を開く(読めなくても「習慣」が心地よさにつながります)
  • 洗濯物を一緒にたたむ
  • 「お箸を並べてもらえますか」と声をかける
  • 散歩の途中で季節の花を眺める
ご家庭でできること

「やりましょう」と指示するのではなく、「手伝ってもらえますか」「一緒にやりませんか」と声をかけてみてください。ご本人が「役に立っている」と感じられる言い方が効果的です。断られたら無理強いせず、時間を置いてまた声をかけてみましょう。

活動の具体例

家のことを一緒にする

  • タオルや衣類をたたむ
  • テーブルを拭く
  • 食器を並べる
  • 野菜の皮むき

楽しみ・趣味の活動

  • 塗り絵、貼り絵
  • 花の水やり
  • 音楽を聴く、一緒に歌う
  • 昔の写真アルバムを一緒に見る

心地よい刺激(症状が進んだ方にも)

  • ハンドマッサージ
  • 好きな香りを楽しむ
  • 肌触りのよいものに触れる
  • 窓を開けて風を感じる

やってはいけない関わり方

注意

以下の関わり方は、ご本人の自尊心を傷つけ、逆効果になることがあります。

  • テスト的な質問: 「これ何かわかる?」「今日は何曜日?」と試すような聞き方
  • 子ども扱い: 幼児向けの教材や、明らかに簡単すぎる活動の提供
  • 失敗の指摘: 「違うでしょ」「それじゃダメ」という声かけ
  • 強制: 「やりなさい」「座っていなさい」と無理に活動させること

作業療法士に相談するメリット

「何をさせたらいいかわからない」と感じたら、OTに相談してみてください。

  • ご本人の「できること」を見つけ、それに合った活動を提案します
  • 活動の声かけの仕方を具体的にアドバイスします
  • ご自宅の環境を見て、安全に活動できる工夫を提案します

デイサービスや訪問リハビリにOTがいることが多いので、担当のケアマネジャーに相談してみてください。


ポイント

ご家族の方へ ── 大切なポイントのまとめ

  • 「何もしない」状態が続くと、不安や焦りなどの症状が悪化しやすくなります
  • ご本人の人生の歴史や好みに合った活動を選ぶことが大切です
  • 完成度ではなく「過程」を大切にしてください。たたむ行為自体に意味があります
  • 「手伝ってもらえますか」と声をかけ、役割を感じてもらう工夫をしましょう
  • 何をさせたらいいかわからないときは、作業療法士に相談してみてください

免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。

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