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リハビリテーション計画書(別紙様式2-2 / 2-2-1)完全ガイド ── 経緯・記載要領・コミュニケーションツールとしての活用

リハビリテーション計画書(別紙様式2-2および2-2-1)はなぜ今の形になったのか。医療・介護の共通化の歴史的経緯を解説し、各項目に何をどう書くかを具体的に示します。さらに、この書式を多職種連携・本人家族との対話・医療から介護への橋渡しに活かすコミュニケーションツールとしての使い方を提案します。

📅 2026年4月22日 更新読了目安 23分

この記事のポイント

  • リハビリテーション計画書(別紙様式2-2 / 2-2-1)は、令和3年の改定で医療保険と介護保険の書式が共通化されたことで生まれた「橋渡しの書類」です
  • ICFの3層構造(心身機能・活動・参加)に基づいて設計されており、「その人の生活全体」を見渡す視点が組み込まれています
  • 各項目には「何を書くか」だけでなく「誰に向けて書くか」という意識が重要です
  • 書式を正しく使いこなすことで、多職種連携・本人家族との対話・医療から介護への円滑な移行を支えるコミュニケーションツールになります

はじめに── 「書類」ではなく「対話の道具」として

リハビリテーション計画書と聞くと、「書かなければいけない面倒な書類」という印象を持つ方も少なくないかもしれません。確かに記載項目は多く、評価のたびに更新が必要です。

しかし、この書式には「リハビリテーションに関わるすべての人が、同じ地図を見ながら進むための道具」という設計思想が込められています。

本記事では、まずこの書式がどのような経緯で現在の形になったのかを振り返り、各項目の記載要領を解説した上で、コミュニケーションツールとしてどう活かすかを考えていきます。

第1部:リハビリテーション計画書はなぜ今の形になったのか

二つの保険制度、二つの書式という問題

日本のリハビリテーションは、大きく医療保険介護保険の二つの制度のもとで提供されています。

医療保険では急性期・回復期のリハビリテーションが中心で、「リハビリテーション実施計画書(別紙様式21の6)」が使われていました。一方、介護保険では通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションで「リハビリテーション計画書(別紙様式2-2-1)」が使われていました。

問題は、この二つの書式がまったく異なる構成だったことです。

患者さんが回復期病院を退院して通所リハビリに移行する際、医療側の計画書と介護側の計画書で書式が異なるため、情報の引き継ぎに手間がかかり、重要な情報が抜け落ちるリスクがありました。これは現場のセラピストにとっても、なにより利用者にとっても、大きな負担でした。

令和3年── 医療と介護の「共通言語」の誕生

この問題に対して、厚生労働省は令和3年(2021年)3月の診療報酬改定で大きな一歩を踏み出しました。医療保険側の「別紙様式21の6」の内容を改定し、介護保険側の「別紙様式2-2-1」と実質的に同じ内容にしたのです。

この改定により、以下のことが実現しました。

  • 医療から介護へのリハビリテーション移行時に、同一の書式で情報提供ができるようになった
  • 介護側は、医療から受け取った別紙様式2-2-1をそのままリハビリテーション計画書として活用できるようになった
  • 利用者にとっては、どの段階でも同じフォーマットで自分のリハビリの状況を確認できるようになった

いわば、医療と介護の間に「共通言語」が生まれた瞬間でした。

ICFの思想が書式に反映されている

この計画書の構造を見ると、ICF(国際生活機能分類)の枠組みが色濃く反映されていることに気づきます。

ICFは、障害を「心身機能・構造」「活動」「参加」の3層で捉え、さらに「環境因子」「個人因子」の影響を考慮するモデルです。計画書の各セクションは、まさにこの3層に沿って配置されています。

計画書のセクションICFの対応領域
心身機能・構造心身機能・身体構造
活動(基本動作・ADL)活動
IADL・社会参加の状況参加
目標設定(短期・長期)3層すべてに対応

つまり、この計画書を丁寧に書くことは、ICFの視点でその人の生活全体を捉え直す作業にほかなりません。

令和6年改定── さらなる進化

令和6年(2024年)の介護報酬改定では、書式運用がさらに柔軟になりました。

  • 二つのパターンが導入されました。パターン1は栄養管理・口腔管理を含む一体的様式(別紙様式1-1〜1-4)、パターン2はリハビリテーション中心の様式(別紙様式2-2-1、2-2-2)です
  • 「同様の項目が記載されたものであれば、各事業所で活用されているもので差し支えない」とされ、標準様式への厳密な準拠は不要になりました
  • 訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションを併用する場合、同一の計画書を使用可能になりました(リハビリテーション会議での確認が条件)

書式の「形」に縛られるのではなく、書式に込められた思想を理解して運用する方向へと舵が切られたと言えます。

第2部:各項目の記載要領── 何をどう書くか

ここからは、別紙様式2-2-1の主要項目について、何を書くか書く際のポイントを解説します。

基本情報

計画書の冒頭には、利用者の氏名・生年月日・要介護度・担当医・担当セラピスト(PT・OT・ST)・計画評価実施日などの基本情報を記載します。

ポイント:ここは「誰の」「いつの」「誰が作った」計画かを明示する部分です。特に評価実施日は、計画の「鮮度」を示す重要な情報です。初回はサービス開始後おおむね2週間以内、その後はおおむね3か月ごとに更新します。

本人の希望

「したい、またはできるようになりたい生活の希望等」を記載する欄です。

ポイント:この欄は計画書全体の出発点です。「一人でトイレに行きたい」「孫と公園に行きたい」「料理をまたしたい」など、本人の言葉をそのまま記載することが重要です。専門用語に翻訳する必要はありません。

本人が意思表示困難な場合は、家族が代弁することもできます。その際は「(家族の希望)」と明記して区別します。

この欄が空欄になっていたり、「リハビリを頑張りたい」のような漠然とした記載になっていると、計画全体の方向性が定まりません。具体的な生活場面に紐づいた希望を引き出す対話が求められます。

家族等の希望

本人とは別に、家族の希望を記載する欄です。

ポイント:本人の希望と家族の希望が一致しているとは限りません。例えば、本人は「家でゆっくり過ごしたい」と思っているのに、家族は「デイサービスに行ってほしい」と考えていることもあります。このズレを可視化すること自体が、計画書の重要な機能です。

健康状態・経過

原因疾患、発症日・受傷日、合併症、治療経過などを記載します。

ポイント:ここは医学的情報の要約です。ただし、単なる診断名の羅列ではなく、「その疾患がこの方の生活にどう影響しているか」という視点で書くと、後のセクションとの論理的なつながりが生まれます。

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)や認知症高齢者の日常生活自立度も記載します。これらは介護度との整合性を確認する際にも参照されます。

心身機能・構造

ICFの第1層に対応するセクションです。以下の項目について、現在の状況と活動への支障の有無を記載します。

項目記載内容の例
麻痺右片麻痺(Brunnstrom Stage上肢III、手指III、下肢IV)
筋力低下下肢筋力低下あり(MMT左下肢4、右下肢2)
関節可動域制限右肩関節屈曲90°(疼痛あり)
疼痛右肩・右膝に荷重時痛あり
感覚障害右上下肢表在覚鈍麻
高次脳機能障害注意障害(CAT:スコア低下)、左半側空間無視(BIT:カットオフ以下)
認知機能MMSE 22/30、HDS-R 20/30
嚥下機能嚥下障害なし/水分でムセあり
排尿・排便機能尿意あり、排便コントロール良好
褥瘡なし
コミュニケーション軽度の失語あり(聴理解は良好、表出に語想起困難)
服薬管理自己管理は困難(家族が管理)
バランス静的座位保持自立、動的座位要見守り

ポイント:数値で測れるものは数値で記載します(TUG、6分間歩行試験、握力など)。しかし、数値だけでは伝わらない臨床的な印象も大切です。例えば「MMSE 22点」だけではなく、「見当識と遅延再生で失点が集中」と書くことで、認知機能のどの側面に課題があるのかが具体的に伝わります。

活動(基本動作)

寝返り・起き上がり・座位保持・立ち上がり・移乗・歩行(屋内・屋外)・階段昇降などの基本動作について記載します。

多くの書式では、リハビリ開始時と現在の状況を並列で記載する形式になっています。これにより、変化の有無が一目でわかります。

ポイント:ここで重要なのは、「できる活動」と「している活動」の区別です。リハビリ室では一人で歩ける(できる活動)けれど、病棟や自宅では車椅子を使っている(している活動)ということは珍しくありません。この乖離が見えることで、支援の方向性が変わります。

活動(ADL)

ADLの評価は、Barthel Indexが標準項目として採用されています(医師間の合意があればFIMでの代替も可能)。

食事・車椅子からベッドへの移乗・整容・トイレ動作・入浴・歩行(車椅子)・階段昇降・更衣・排便コントロール・排尿コントロールの10項目について、自立度を点数化します。

ポイント:Barthel Indexは100点満点で評価しますが、合計点だけでは不十分です。同じ60点でも、「食事と整容は自立しているが移乗と入浴に全介助が必要」な方と、「すべての項目で部分的な介助が必要」な方では、支援内容がまったく異なります。項目ごとの内訳に注目して記載・解釈することが重要です。

活動(IADL)

IADLの評価には、Frenchay Activities Index(FAI)等が用いられます。食事の準備・洗濯・買い物・掃除・外出・趣味活動・交通機関の利用・旅行・庭仕事・家や車の整備・読書・仕事などについて記載します。

ポイント:IADLは、基本的ADLよりも「その人らしい生活」に直結する項目です。作業療法士にとっては特に重要なセクションで、ここに記載された情報が「本人の希望」の欄と論理的につながっているかどうかが、計画の質を左右します。

社会参加の状況

家庭内での役割・地域活動・就労状況・趣味活動への参加状況などを記載します。ICFの「参加」に対応する領域です。

ポイント:このセクションは、「社会とのつながり」という視点でその人の生活を捉える欄です。「特になし」と書いてしまいがちですが、たとえば「週に1回、娘が来訪して一緒にお茶を飲む」「月に1回、自治会の集まりに出席している」といった情報も立派な社会参加です。

目標設定(短期目標・長期目標)

リハビリテーションの目標を、短期(おおむね3か月)長期に分けて設定します。目標はICFの3層に対応した形で記載します。

短期目標の例長期目標の例
心身機能右下肢筋力をMMT3以上に改善歩行に必要な筋力・バランスの維持
活動屋内歩行を見守りで可能にする屋外を杖歩行で安全に移動できる
参加週2回の通所リハビリに参加する月1回の老人会に一人で参加できる

ポイント:目標は「本人の希望」から逆算して設定します。「本人の希望」に「孫と公園に行きたい」とあれば、それを実現するために必要な心身機能・活動・参加レベルを逆算し、段階的な目標として落とし込みます。

目標が本人の希望と無関係な「ROM維持」「筋力向上」だけになっている場合、計画全体の整合性に問題がある可能性があります。

リハビリテーションの方針・具体的支援内容

目標を達成するための具体的な方針とプログラム内容を記載します。解決すべき課題・期間・具体的支援内容・頻度・時間を明示します。

ポイント:ここでは「なぜこのプログラムを行うのか」の論理が見えることが大切です。「関節可動域訓練」ではなく、「更衣動作の自立に向けて、右肩関節の可動域拡大を図る」と書くことで、プログラムの意味が目標と結びつきます。

リハビリテーションの終了目安

リハビリテーションをいつ、どのような状態で終了するかの見通しを記載します。

ポイント:終了目安は「永久に続ける」でも「なるべく早く終了」でもなく、利用者の状態と目標達成度に基づいた合理的な見通しを示すものです。この欄があることで、リハビリテーションが漫然と続くことを防ぎ、定期的な振り返りを促す仕組みになっています。

本人・家族への説明と同意

計画内容を本人・家族に説明し、同意を得た旨を記載します。署名欄が設けられています。

ポイント:これは単なる形式的な手続きではありません。計画の内容を本人・家族と「共有する」場として位置づけることが重要です。説明の際には、専門用語をかみ砕き、「この計画に沿って、こういう生活を目指していきましょう」という対話が求められます。

第3部:コミュニケーションツールとしての活用

計画書の各項目の書き方を理解した上で、ここからは「書式をどうコミュニケーションに活かすか」という視点で考えます。

1. 多職種連携の「共通言語」として

リハビリテーションに関わる職種は多岐にわたります。医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ケアマネジャー、介護福祉士、社会福祉士──それぞれが異なる専門性と視点を持っています。

計画書は、これらの専門職が「同じ地図」を見るための道具です。

例えば、作業療法士が「IADL」の欄に「調理動作は片手でのカット動作に困難あり」と記載すると、看護師は「では病棟で片手用の自助具を使った食事準備を見守ろう」と考え、ケアマネジャーは「通所での調理活動を含むプログラムを検討しよう」と動くことができます。

書式の項目が「翻訳装置」の役割を果たすのです。

具体的な活用の工夫としては、次のようなことが考えられます。

  • リハビリテーション会議で計画書を画面共有しながら議論する:全員が同じ情報を見ることで、認識のズレを防ぐことができます
  • 前回の計画書と並べて変化を確認する:「前回と比べて心身機能はこう変わった、活動はこう変わった」と構造的に伝えることで、変化の方向性が明確になります
  • 「本人の希望」を会議の冒頭で読み上げる:すべての議論が「この方は何を望んでいるのか」から始まるようになります

2. 本人・家族との対話の「設計図」として

計画書を本人・家族に説明する場面は、リハビリテーションの内容を「翻訳」する貴重な機会です。

多くの利用者やご家族は、「リハビリ」と聞くと「身体を動かす訓練」をイメージします。しかし、計画書の構造を一緒に見ることで、リハビリテーションには心身機能だけでなく活動や参加という視点があること、そしてご本人の「したい生活」を中心に計画が組まれていることを伝えることができます。

対話の工夫としては、次のようなことが考えられます。

  • 「本人の希望」の欄を一緒に書く:「何がしたいですか」「どんな生活が理想ですか」という対話から始めることで、リハビリテーションが「されるもの」から「一緒に作るもの」に変わります
  • 目標の3層構造を図解する:「身体の状態→できること→暮らしの中でやりたいこと、の3段階で考えています」と説明すると、全体像が伝わりやすくなります
  • Barthel Indexの項目を「生活のチェックリスト」として共有する:「食事・トイレ・入浴・着替え……それぞれについて、今こんな状況です」と一つひとつ確認することで、ご家族も「何ができて、何に助けがいるのか」を具体的に理解できます

3. 医療から介護への「橋渡し」として

令和3年の共通化により、この書式は医療と介護の間をつなぐ「パスポート」としての機能を持つようになりました。

回復期リハビリテーション病棟を退院する際、医療側で作成された別紙様式2-2-1がそのまま介護側に引き継がれます。介護側は、この計画書をもとにサービスを開始し、自施設での評価と合わせて計画を更新していきます。

この仕組みにより、以下のことが可能になります。

  • 「退院前の情報」と「退院後の情報」が同じ枠組みで比較できる
  • 医療側のセラピストが重視していた課題を、介護側のセラピストが見落としなく引き継ぐことができる
  • 利用者にとって、制度が変わっても「自分のリハビリの地図」は一貫しているという安心感がある

4. 「自分の仕事を言語化する」ツールとして

最後に、計画書はセラピスト自身にとっても重要な振り返りの道具です。

日々の臨床は忙しく、つい「目の前のプログラムをこなす」ことに意識が向きがちです。しかし、3か月ごとに計画書を更新する際には、必然的に「この3か月で何が変わったのか」「目標に近づいているのか」「計画の方向性に修正が必要か」を立ち止まって考えることになります。

計画書は、「自分がなぜこの支援をしているのか」を定期的に言語化する仕組みだと捉えることもできるのです。

特に作業療法士にとっては、「本人の希望」「活動」「IADL」「社会参加」のセクションが、作業療法の核心である「その人にとって意味のある作業」を記述する場になります。ここに血の通った記載ができるかどうかが、計画書の質を大きく左右します。

おわりに── 書式を超えて

リハビリテーション計画書は、制度上の要件を満たすための書類ではありますが、それだけではありません。

ICFという国際的な枠組みに基づき、医療と介護の壁を越えて共通化され、本人の希望を出発点に据えたこの書式には、「その人の生活全体を、関わるすべての人で支える」という理念が凝縮されています。

一枚の紙(あるいは一つの画面)の上に、その人の身体の状態、できること、したいこと、目指す先が整理されている。そしてそれを、本人も家族も、医師もセラピストもケアマネジャーも、同じ目線で見ることができる。

これほど強力なコミュニケーションツールを、私たちはすでに手にしているのです。

大切なのは、「書かなければいけないから書く」のではなく、「伝えたいことがあるから書く」という意識の転換です。その意識があれば、計画書の一つひとつの項目が、専門職としての思考の深さと、利用者への敬意を映し出すものになるはずです。

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