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離れて暮らす親が心配なとき ── 見守りの始め方ガイド

一人暮らしの高齢のご家族が心配な方へ。対面・電話・センサーなど見守りの方法と、地域包括支援センターの使い方をわかりやすくまとめました。

📅 2026年5月6日 更新読了目安 25分

この記事のポイント

  • 65歳以上の一人暮らし高齢者は約700万人を超え、今後も増加が見込まれています
  • 見守りには対面・電話・ICT・センサーなど複数の手段があり、組み合わせて使うことが大切です
  • 作業療法士は「自立を損なわない見守り」を設計する専門家として、過干渉にならない仕組みづくりを提案できます
  • 地域包括支援センターは見守りの相談窓口として無料で利用でき、早めの相談がカギになります

増え続ける高齢者の一人暮らし

65歳以上で一人暮らしをしている方は約742万人。5人に1人の割合です。

一人暮らし=危険ではありません。自分のペースで元気に暮らしている方はたくさんいます。ただし、体や心に変化が出てきたとき、その変化に気づく仕組みがあるかどうかが大切です。

見守りの4つの手段

見守りには大きく4つの方法があります。それぞれに得意なことがありますので、組み合わせて使うのがおすすめです。

  • 対面の訪問:表情や家の様子を直接確認できます。「お茶を飲みに寄る」など自然な形がベストです
  • 電話・ビデオ通話:手軽に始められます。ただし「元気なふり」をされることもあるので、他の手段と組み合わせましょう
  • 見守りサービス(ICT):緊急通報ボタン、見守りアプリ、スマートスピーカーなど。自治体の補助がある場合も
  • センサー型:人感センサーやドア開閉センサーで、生活リズムの変化に気づけます。プライバシーを守りながら24時間見守れます

どれか一つで完璧にはなりません。複数を組み合わせることで安心感が高まります。

作業療法士が考える「自立を損なわない見守り」

見守りは「監視」ではない

心配するあまり、毎日何度も電話をかけたり、何でも管理しようとしたりしていませんか? 過度な干渉は、ご本人の自尊心や「自分でやろう」という意欲を奪ってしまうことがあります。

見守りの目的は「監視」ではなく、ご本人が自分らしく暮らし続けるための安全網をつくることです。

IADLの変化に着目する

帰省したときにチェックしていただきたいポイントがあります。

  • 冷蔵庫:同じ食材が大量にある、賞味期限切れが増えていませんか?
  • お金の管理:公共料金の未払い、同じものの重複購入はありませんか?
  • お薬:薬が余っていたり、飲み忘れが目立ったりしませんか?
  • 外出:以前より家にこもりがちになっていませんか?

こうした「小さな変化」は、生活を回す力が低下しているサインかもしれません。早めに気づくことが大切です。

見守りの「段階設計」という考え方

見守りの仕組みは、最初からすべてを揃える必要はありません。親御さんの状態に合わせて段階的に整えていきましょう。

  • 第1段階:定期的な電話やビデオ通話で様子を確認する
  • 第2段階:見守りセンサーや緊急通報システムを導入する
  • 第3段階:介護保険サービスや訪問リハビリを利用する

少しずつ仕組みを整えることで、ご本人の自立を尊重しながら安全を確保できます。

地域包括支援センターを活用する

地域包括支援センターは、高齢者の暮らしに関する無料の相談窓口です。介護保険をまだ使っていなくても相談できます。

「まだ早い」と思ったときが、相談のベストタイミングです。元気なうちにつながっておくと、いざというときにスムーズにサービスを利用できます。

「市区町村名 + 地域包括支援センター」で検索すると、お住まいの地域の窓口が見つかります。

家族の心構え ── 「ちょうどいい距離感」を探る

完璧な見守りは存在しない

見守りの仕組みをどれだけ整えても、すべてのリスクをゼロにすることはできません。100点の見守りではなく、70点でも続けられる見守りを目指しましょう。

親の意思を尊重する

見守りの仕組みを導入するときは、ご本人の気持ちを大切にしてください。一方的に「監視する」のではなく、「一緒に安心の仕組みを考える」というスタンスが大切です。

  • 「何かあったときにすぐ助けに行けるようにしたい」
  • 「離れていても安心できるように、一緒に考えよう」

ご本人が「見守られている」ではなく「つながっている」と感じられる仕組みが理想です。

家族自身のケアも忘れずに

離れて暮らす親を心配し続けるのは、ご家族にとっても大きなストレスです。ご自身の生活の質を保つことも、見守りを続けるためにはとても大切です。

つらいと感じたら、地域包括支援センターや家族の会など、ご自身の相談先も活用してください。

ポイント
  • 一人暮らし=危険ではなく、変化に気づく仕組みがあるかどうかが大切です
  • 見守りの方法は複数あり、組み合わせて使うと効果的です
  • 地域包括支援センターへの相談は「まだ早い」と思ったときがベストタイミングです
  • 100点ではなく70点でも続けられる見守りを目指しましょう
ご家庭でできること
  • 帰省時に冷蔵庫の中、お薬の管理状況、郵便物の溜まり具合をさりげなくチェックしてみてください
  • 親御さんのお住まいの地域包括支援センターの連絡先を調べて、ご自身の携帯電話に登録しておきましょう
  • まずは週1回の電話やビデオ通話から始めて、必要に応じて見守りサービスを段階的に追加していくのがおすすめです

参考文献

  • 内閣府「令和5年版高齢社会白書」
  • 厚生労働省「地域包括ケアシステムの実現に向けて」
  • Peres K, et al. (2008). Disability screening in older adults: does the choice of instrument matter? Journal of the American Geriatrics Society, 56(6), 1037-1042.
  • 日本作業療法士協会「地域包括ケアシステムにおける作業療法士の役割」
  • 総務省「令和4年通信利用動向調査」

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