本文へスキップ
作業療法.net
家族支援#家族支援#作業療法#リハビリ

脳卒中のリハビリは何をするの?── 発症から自宅復帰までの全体像

脳卒中のリハビリはいつ始まり、どこで何をするのか。3つの段階で作業療法士が行うことをわかりやすくまとめました。

📅 2026年5月22日 更新読了目安 17分

この記事のポイント

  • 脳卒中のリハビリは発症直後から始まり、急性期・回復期・生活期の3段階で進みます
  • 作業療法士は「生活に戻ること」を目標に、食事・着替え・トイレなどの日常動作の回復を支援します
  • 発症後6ヶ月がゴールではありません。生活期のリハビリで回復が続く方は多くいます

脳卒中とは ── まず全体像を知る

脳卒中とは、脳の血管に起こるトラブルの総称です。大きく3つのタイプがあります。

  • 脳梗塞: 脳の血管が詰まる(全体の約75%)
  • 脳出血: 脳の血管が破れる(約20%)
  • くも膜下出血: 脳を包む膜の下で出血する(約5%)

いずれも突然起こり、手足の麻痺や言葉の障害などの後遺症が残ることがあります。リハビリは発症直後から始まり、3つの段階を経て進みます。「いつ、どこで、何をするのか」を知っておくと、先の見通しが持てて安心です。

急性期(発症〜約2週間)── 「一日でも早く」が鍵

発症直後からリハビリは始まります

「まだ安静にしていたほうがいいのでは?」と心配になるかもしれません。しかし現在の医療では、発症後24〜72時間以内にリハビリを始めるのが標準です。

作業療法士(OT)はベッドサイドで以下のことを行います。

  • 体を起こす練習: ベッドの角度を上げるところから始め、少しずつ座れるようにします
  • 関節が固まるのを防ぐ: 手足を動かして、筋肉や関節が衰えるのを予防します
  • 今できることの確認: 食事・着替え・トイレなどがどこまでできるかを確認します

面会時にできること

急性期は患者さんも不安が大きい時期です。面会では特別なことをしなくて大丈夫です。そばにいること、声をかけること、それだけで十分です。リハビリの妨げにならない範囲で、手を握ったり、好きな音楽をイヤホンで聞かせたりするのもよいでしょう。

ご家庭でできること

担当のOTに「家での生活の様子」を伝えてください。利き手はどちらか、家のトイレに手すりはあるか、玄関に段差はあるかなど、退院後の生活を見据えた情報がリハビリの計画に役立ちます。メモにまとめておくとスムーズです。

回復期(約2週間〜6ヶ月)── 集中的なリハビリの時期

「できること」が増えていく時期

回復期リハビリテーション病棟(回復期リハビリ病棟)に転院すると、1日最大3時間のリハビリを受けることができます。OTが行うのは主に以下のことです。

  • 日常動作の練習: 食事、着替え、トイレ、入浴など、生活に必要な動作を繰り返し練習します
  • 手の動きの回復: 麻痺のある手を使う練習をします。箸を使う、ボタンを留めるなどの細かい動作も含みます
  • 考える力の訓練: 注意力や記憶力に問題がある場合、日常生活の中で工夫する方法を一緒に考えます
  • 退院準備: 自宅に帰るための準備を行います。家の中の段差をなくす工夫や、自助具の提案もします

回復のスピードは人それぞれ

「隣のベッドの方はもう歩けるのに…」と比べてしまうこともあるかもしれません。しかし、脳卒中の回復のスピードは、損傷の場所や大きさ、年齢、体力などによって一人ひとり異なります。焦らず、ご本人のペースを見守ることが大切です。

ご家庭でできること

OTから教わった介助方法を、面会時や外泊訓練で実践してみてください。「ズボンは麻痺のない側から脱ぐ」「靴は座って履く」など、退院後の生活に直結するコツがたくさんあります。わからないことはOTに遠慮なく質問してください。

生活期(退院後)── 暮らしの中でリハビリは続く

退院がゴールではありません

退院後も、リハビリは形を変えて続きます。

  • 訪問リハビリ: OTが自宅に来てくれます。実際の台所で料理の練習をしたり、お風呂の入り方を確認したり、生活そのものがリハビリになります
  • デイケア(通所リハビリ): 施設に通って、リハビリや体操を行います。同じ境遇の方との交流も大切な機会です
  • 住宅改修: 介護保険を使って、手すりの設置や段差の解消ができます(上限20万円、自己負担1〜3割)
  • 社会参加: 趣味の再開、地域活動への参加、復職など、その方らしい生活を取り戻すための支援を受けられます
ご家庭でできること

ご本人が「自分でできること」は、時間がかかっても見守ってあげてください。つい手を出したくなりますが、自分でやることがリハビリになります。一方で、疲れが見えたら無理をさせないことも大切です。「やりすぎ」も「やらなすぎ」も避け、OTと相談しながら適切なバランスを見つけましょう。

「6ヶ月」がゴールではない ── 回復はいつまで続くのか

「6ヶ月でリハビリは終わり」と聞いたことがあるかもしれません。確かに、脳の回復が最も進むのは発症後3〜6ヶ月です。しかし、6ヶ月を過ぎたら何も良くならないわけではありません

  • 生活の中で新しいやり方を覚えることで、できることは増え続けます
  • 住宅改修や道具の工夫で、活動の幅は広がります
  • 趣味や外出の機会が増えることで、気持ちも前向きになります

大切なのは、「6ヶ月で終わり」と思い込まないことです。退院後もOTに相談しながら、生活の質を高めていくことができます。

過度な期待と過度な諦めの両方に注意

「元通りに戻る」ことだけを目標にすると、思うように回復が進まないときにつらくなります。一方で、「もう良くならない」と諦めてしまうと、本来得られるはずの回復の機会を逃してしまいます。OTと一緒に、現実的で前向きな目標を設定していくことが大切です。

各段階のまとめ

1

急性期(発症〜約2週間)

  1. 1早期離床・関節が固まるのを防ぐ
  2. 2日常動作の評価
  3. 3回復期リハビリ病棟への転院準備
2

回復期(約2週間〜6ヶ月)

  1. 41日最大3時間の集中リハビリ
  2. 5食事・着替え・入浴などの日常動作の練習
  3. 6退院に向けた家屋評価・住宅改修の提案
3

生活期(退院後)

  1. 7訪問リハビリ・デイケアの利用
  2. 8住宅改修・福祉用具の活用
  3. 9趣味や社会活動への復帰支援

ポイント

免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。

関連記事