この記事のポイント
- 金銭管理の困難さは、認知機能の低下や衝動性など、さまざまな障害の特性によって生じます
- 日常生活自立支援事業や成年後見制度など、金銭管理を支える公的制度があります
- 環境調整とキャッシュレス決済の活用で、安全に金銭管理を続ける仕組みをつくれます
お金の管理 ── 見えにくい「生活の困りごと」
ご家族のお金の管理が心配になることはありませんか。
- 必要のないものをたくさん買ってしまう
- 支払いの計算が難しくなった
- 通帳や現金の管理ができなくなった
- 振り込め詐欺などに騙されそうで心配
こうした問題は、認知症や脳の病気、精神疾患などにより脳の機能が変化することで起こります。本人の「わがまま」や「だらしなさ」ではありません。
なぜ金銭管理が難しくなるのか
お金の管理が難しくなる原因はさまざまです。
- 認知症: 計算が難しくなる、同じものを何度も買ってしまう
- 脳の病気: 判断力が低下し、必要のない契約をしてしまう
- 精神疾患: 気分が高まって衝動的に買い物をしてしまう
- 身体の障害: ATMの操作や硬貨の扱いが難しくなる
どの原因であっても、適切な支援と工夫によって安全にお金を管理する方法があります。
金銭管理を支える公的制度
お金の管理を支えてくれる公的な制度があります。
日常生活自立支援事業
お住まいの地域の社会福祉協議会に相談すると、預金の引き出しや公共料金の支払いなどを手伝ってもらえるサービスがあります。
- 利用料は1回1,000〜1,500円程度
- まずはお住まいの社会福祉協議会に電話してみてください
成年後見制度
判断能力が低下した方の財産を法的に守る制度です。
- 家庭裁判所が「後見人」を選び、財産管理や契約を代わりに行います
- 不当な契約や詐欺から守ってもらえます
- お近くの地域包括支援センターや家庭裁判所に相談できます
「どの制度が合っているかわからない」という場合は、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談してみてください。無料で、状況に合った制度を紹介してもらえます。
日常の工夫 ── 安全に管理するための環境調整
日常生活の中で、お金を安全に管理するための工夫を紹介します。
- 1日の予算を決める: 財布に入れる現金を1日分にする
- 買い物リストを作る: リストにないものは買わないルールに
- キャッシュレス決済: 硬貨の計算が不要になりますが、使いすぎに注意。プリペイド式がおすすめです
- 通帳や印鑑の保管: 本人の了解を得て、安全な場所に保管する
- 引き出し上限の設定: 銀行に相談して、1日の引き出し上限額を低めに設定する
ネットショッピングで衝動買いが増えている場合は、クレジットカード情報の削除や、利用限度額の引き下げを検討してください。家族がログイン情報を共有してもらい、利用状況を確認できるようにするのも一つの方法です。
家族の関わり方
ご家族がお金の管理に関わる際の大切なポイントがあります。
- すべてを取り上げない: 自分でできることは本人に任せましょう。自尊心を守ることが大切です
- 一緒に管理する: 完全に代わりにやるのではなく、一緒に確認する形がおすすめです
- 本人の気持ちを聞く: お金の使い方にはその人の価値観があります。「無駄遣い」と決めつけないようにしましょう
- 自分の負担も大切に: 一人で抱え込まず、制度や専門家を頼ってください
注意
お金のトラブル(高額な契約、不審な電話、通帳の紛失など)が起きた場合は、すぐに消費生活センター(局番なし188)に相談してください。
まとめ ── お金の管理を安心して続けるために
- 金銭管理の困難さは、認知機能の低下や衝動性など、障害の特性によるものです
- 日常生活自立支援事業や成年後見制度など、公的な支援制度を活用しましょう
- 1日の予算を決める、買い物リストを作るなど、日常の工夫も効果的です
- 本人の自尊心と意思を尊重しながら、安全を確保するバランスが大切です
- 困ったときは地域包括支援センターや社会福祉協議会に相談してください
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士(OTR)
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
運営者プロフィールを見る →