この記事のポイント
- 東日本大震災で障害者の死亡率は住民全体の約2倍。災害時の「情報・移動・環境変化」が命に関わる
- 2021年の災害対策基本法改正で「個別避難計画」の作成が市町村の努力義務に
- 障害の種別ごとに必要な備えは異なる。身体・知的・精神・発達障害それぞれのポイントを解説
- 作業療法士は災害支援チーム(JRAT)の一員として、避難生活の「活動と参加」を支える
はじめに ── 災害と障害者の「見えないリスク」
災害が起きたとき、障害のある方は特に大きなリスクにさらされます。東日本大震災では、障害のある方の死亡率は住民全体の約2倍でした。
障害のある方が災害時に直面する壁は大きく3つあります。
- 情報の壁 — 防災無線が聞こえない、避難経路の表示が見えないなど
- 移動の壁 — がれきの中を車いすで移動できない、パニックで動けなくなるなど
- 環境変化の壁 — 避難所の雑踏や騒音がつらい、生活リズムが崩れて体調が悪化するなど
これらのリスクは、事前の備えで大きく減らすことができます。
個別避難計画をつくる
個別避難計画とは
個別避難計画とは、災害時に「誰が」「どうやって」「どこに」避難を手伝うかをあらかじめ決めておく計画です。2021年の法改正で、市町村が作成を進めることになりました。
計画づくりの3ステップ
障害種別ごとの備え
障害の種類によって、必要な備えは異なります。ご本人の特性に合わせて確認しましょう。
福祉避難所の仕組み
福祉避難所とは
福祉避難所とは、障害のある方や高齢者などが安心して過ごせるように整備された避難所です。バリアフリー環境や専門スタッフの配置が特徴です。
事前に場所を確認しておきましょう
お住まいの自治体で福祉避難所がどこにあるか、市区町村の防災担当課や障害福祉課に問い合わせておきましょう。
OTが災害支援で果たす役割
災害が起きたとき、作業療法士はリハビリの専門チームの一員として被災地で支援を行います。避難所での生活不活発病の予防や、失われた福祉用具の手配、避難所のバリアフリー化などを行います。
今日からできる防災チェックリスト
最後に、障害のある方とご家族が今すぐ確認できるチェックリストを掲載します。一度にすべてを揃える必要はありません。できるところから一つずつ取り組んでみてください。
基本の備え(全障害共通)
障害特性に応じた追加の備え
まとめ
- 障害のある方は災害時に大きなリスクにさらされますが、事前の備えで大きく減らすことができます
- 個別避難計画をつくり、「誰が」「どうやって」「どこに」避難するかを決めておきましょう
- 障害の特性に合わせた持ち出し品の準備が大切です
- 完璧を目指す必要はありません。まずは医療・福祉情報カードの作成から始めましょう
- 医療・福祉情報カードを作成しましょう。障害名・薬・かかりつけ医・緊急連絡先をカード1枚にまとめます
- ハザードマップを家族全員で確認し、避難経路を一度実際に歩いてみましょう
- 非常持出袋にご本人が安心できるもの(お気に入りのタオルなど)も入れておきましょう
- 内閣府「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」(2021年改定)
- 内閣府「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」(2021年改定)
- 内閣府「個別避難計画作成ガイドライン」(2021年)
- NHK「障害者と東日本大震災」調査報告(2012年)
- 日本作業療法士協会「災害支援活動指針」
- JRAT(大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会)活動報告
- 障害者権利条約 第11条「危険な状況及び人道上の緊急事態」
- 日本障害フォーラム「障害者の防災対策とまちづくりに関する提言」(2019年)