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障害のある家族と一緒に備える防災チェックリスト

災害時に障害のある方が直面する困難と、家族で今すぐできる備えをわかりやすくまとめました。個別避難計画の作り方や福祉避難所の利用方法もご紹介します。

📅 2026年5月16日 公開読了目安 25分

この記事のポイント

  • 東日本大震災で障害者の死亡率は住民全体の約2倍。災害時の「情報・移動・環境変化」が命に関わる
  • 2021年の災害対策基本法改正で「個別避難計画」の作成が市町村の努力義務に
  • 障害の種別ごとに必要な備えは異なる。身体・知的・精神・発達障害それぞれのポイントを解説
  • 作業療法士は災害支援チーム(JRAT)の一員として、避難生活の「活動と参加」を支える

はじめに ── 災害と障害者の「見えないリスク」

災害が起きたとき、障害のある方は特に大きなリスクにさらされます。東日本大震災では、障害のある方の死亡率は住民全体の約2倍でした。

障害のある方が災害時に直面する壁は大きく3つあります。

災害時に直面する3つの壁
  • 情報の壁防災無線が聞こえない、避難経路の表示が見えないなど
  • 移動の壁がれきの中を車いすで移動できない、パニックで動けなくなるなど
  • 環境変化の壁避難所の雑踏や騒音がつらい、生活リズムが崩れて体調が悪化するなど

これらのリスクは、事前の備えで大きく減らすことができます

個別避難計画をつくる

個別避難計画とは

個別避難計画とは、災害時に「誰が」「どうやって」「どこに」避難を手伝うかをあらかじめ決めておく計画です。2021年の法改正で、市町村が作成を進めることになりました。

計画づくりの3ステップ

1

1. 情報を整理する

ご本人の障害の特徴、必要な薬や医療機器、コミュニケーション方法を書き出します。ハザードマップも確認しましょう。

2

2. 支援者を決める

近所の方や民生委員など、避難を手伝ってくれる人を複数確保します。連絡方法も決めておきましょう。

3

3. 計画を作成・共有する

市町村の窓口で書式をもらい記入します。ご家族・支援者全員で内容を共有し、年1回は見直しましょう。

障害種別ごとの備え

障害の種類によって、必要な備えは異なります。ご本人の特性に合わせて確認しましょう。

1

身体障害のある方

車いすの代替移動手段、医療機器のバッテリー、福祉用具の情報カードを準備しましょう。

2

知的障害のある方

写真付きの避難手順カード、安心できるグッズ、ヘルプカードを準備しましょう。できれば避難所の事前見学も。

3

精神障害のある方

1週間分の薬の備蓄、お薬手帳のコピー、主治医の連絡カード、耳栓やアイマスクを準備しましょう。

4

発達障害のある方

イヤーマフなどの感覚過敏対策グッズ、スケジュールボード、「地震が来たらどうする」の練習をしておきましょう。

福祉避難所の仕組み

福祉避難所とは

福祉避難所とは、障害のある方や高齢者などが安心して過ごせるように整備された避難所です。バリアフリー環境や専門スタッフの配置が特徴です。

事前に場所を確認しておきましょう

お住まいの自治体で福祉避難所がどこにあるか、市区町村の防災担当課や障害福祉課に問い合わせておきましょう。

OTが災害支援で果たす役割

災害が起きたとき、作業療法士はリハビリの専門チームの一員として被災地で支援を行います。避難所での生活不活発病の予防や、失われた福祉用具の手配、避難所のバリアフリー化などを行います。

今日からできる防災チェックリスト

最後に、障害のある方とご家族が今すぐ確認できるチェックリストを掲載します。一度にすべてを揃える必要はありません。できるところから一つずつ取り組んでみてください。

基本の備え(全障害共通)

1

非常持出袋の準備

水・食料(3日分)、懐中電灯、携帯ラジオ、モバイルバッテリー、現金(小銭含む)を用意する

2

医療・福祉情報カード

障害名、服用中の薬、かかりつけ医、緊急連絡先、障害特性と配慮事項をカード1枚にまとめる

3

お薬手帳のコピー

原本とは別に、コピーまたはスマートフォンの写真を保存しておく

4

ハザードマップの確認

自宅周辺の浸水域・土砂災害警戒区域・避難所の位置を家族全員で確認する

5

個別避難計画の作成

市町村の窓口に相談し、支援者・避難経路・避難先を明文化した計画を作成する

6

避難訓練への参加

地域の防災訓練に参加し、実際に避難経路を歩いてみる。支援者と一緒に行うことが理想的

障害特性に応じた追加の備え

1

福祉用具の代替手段

車いすや補装具が使えなくなった場合の移動方法を支援者と確認しておく

2

コミュニケーション手段

筆談ボード、コミュニケーションカード、文字盤など、言語的コミュニケーションが困難な場合の代替手段を用意する

3

感覚過敏への対策グッズ

イヤーマフ、アイマスク、安心毛布など、避難所の環境刺激を軽減するアイテムを備える

4

ヘルプマーク・ヘルプカード

外見からはわからない障害がある方は、ヘルプマークを携帯し、周囲に支援の必要性を伝えられるようにする

まとめ

ポイント
  • 障害のある方は災害時に大きなリスクにさらされますが、事前の備えで大きく減らすことができます
  • 個別避難計画をつくり、「誰が」「どうやって」「どこに」避難するかを決めておきましょう
  • 障害の特性に合わせた持ち出し品の準備が大切です
  • 完璧を目指す必要はありません。まずは医療・福祉情報カードの作成から始めましょう
ご家庭でできること
  • 医療・福祉情報カードを作成しましょう。障害名・薬・かかりつけ医・緊急連絡先をカード1枚にまとめます
  • ハザードマップを家族全員で確認し、避難経路を一度実際に歩いてみましょう
  • 非常持出袋にご本人が安心できるもの(お気に入りのタオルなど)も入れておきましょう
参考文献・ガイドライン
  • 内閣府「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」(2021年改定)
  • 内閣府「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」(2021年改定)
  • 内閣府「個別避難計画作成ガイドライン」(2021年)
  • NHK「障害者と東日本大震災」調査報告(2012年)
  • 日本作業療法士協会「災害支援活動指針」
  • JRAT(大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会)活動報告
  • 障害者権利条約 第11条「危険な状況及び人道上の緊急事態」
  • 日本障害フォーラム「障害者の防災対策とまちづくりに関する提言」(2019年)

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