この記事のポイント
- レビー小体型認知症はアルツハイマー型とは異なる特徴(幻視・パーキンソン症状・認知の変動)があります
- 幻視は「見える」ことが本人にとってのリアルです。否定せず、安心感を与える対応が大切です
- 症状が日によって大きく変動するため、「良い日」と「悪い日」の波に振り回されない心構えが必要です
アルツハイマー型とは違う認知症
レビー小体型認知症は、アルツハイマー型とは違う特徴を持つ認知症です。
- 幻視: いないはずの人や動物が見える
- パーキンソン症状: 動きがゆっくりになる、体が固くなる、小刻みに歩く
- 調子の波が大きい: 日によって「しっかりしている日」と「ぼんやりしている日」の差が激しい
この3つの特徴を知っておくだけで、日々の対応が変わってきます。
幻視への対応 ── 否定しない、安心させる
「知らない人がいる」「虫がいる」──ご本人にとって、これは本当に見えているのです。
対応のポイント
- 「いないよ」と否定しない
- 「怖いですね」と気持ちに寄り添う
- 「お茶を飲みましょう」と別のことに誘う
- 部屋を明るくする
幻視が出やすい環境
- 薄暗い部屋(影が人影に見える)
- 壁のシミや模様(虫や顔に見える)
- 鏡(映った自分を他人だと思う)
部屋を明るく保つことで、幻視が減る場合があります。特に夕方〜夜間は早めに照明をつけ、影ができにくい間接照明を併用してみてください。壁のシミや模様が気になる場合は、ポスターやカレンダーで隠すのも一つの方法です。
パーキンソン症状への対応 ── 転倒を防ぎ、動きやすさを保つ
動きがゆっくりになり、転びやすくなるのがパーキンソン症状です。転倒を防ぐ工夫が重要です。
転倒予防の工夫
- 廊下やリビングに物を置かない
- 手すりをつける: 廊下、トイレ、浴室
- 段差をなくす
- 滑りにくい靴を選ぶ
足がすくんで動けないとき
- 床にテープで線を引く: 線をまたぐように歩くと足が出やすくなります
- 「いち、に」とリズムをつけて声をかける
- 方向転換はゆっくり大回り
足がすくんでいるときに背中を押すのは危険です。焦らず待ってあげてください。
認知機能の変動への対応 ── 「波」を理解する
「さっきまでしっかりしていたのに、急にぼんやりする」。この波の大きさがレビー小体型認知症の大きな特徴です。
- 調子の良い時間帯を見つける: 午前中が良い方が多いです
- 大事なことは良い時間帯に: 通院やお風呂は調子の良いときに
- 調子が悪いときは無理しない: 安全に休める環境をつくる
- 記録をつける: 何時頃に調子が良い・悪いかをメモしておく
「昨日できたのに今日できない」のは、ご本人の怠けではありません。病気の特徴なのです。
その他の注意すべき症状
眠っている間に暴れる
夢を見ているときに手足を動かしたり、大声を出したりすることがあります。
- ベッドの周囲に物を置かない
- 低いベッドに変えるか、床にマットを敷く
立ちくらみ・便秘
急に立つとめまいがしやすくなります。立ち上がりはゆっくりを習慣にしてください。便秘にもなりやすいので、水分と食物繊維を意識しましょう。
お薬に注意
レビー小体型認知症の方は、一部のお薬に過敏に反応することがあります。他の病院でお薬をもらうときは、必ずレビー小体型認知症であることを伝えてください。
注意
レビー小体型認知症の方に抗精神病薬(統合失調症の薬など)を使用すると、重篤な副作用が出ることがあります。他の医療機関を受診する際は、必ず「レビー小体型認知症」であることをお伝えください。お薬手帳を常に持ち歩きましょう。
作業療法士に相談できること
OTに相談すると、以下のような支援を受けられます。
- ご本人の調子の波を分析し、活動のスケジュールを提案
- 転倒しにくい環境の工夫を一緒に考える
- 幻視が出にくい部屋づくりのアドバイス
- 介護の方法を具体的に教えてもらえる
ご家族の方へ ── 大切なポイントのまとめ
- 幻視は本人にとってのリアルです。否定せず、気持ちに寄り添いましょう
- 転倒予防のために手すり・段差解消・床材の見直しを行いましょう
- 認知機能の変動は病気の特徴です。調子の良い時間帯を活用してください
- 立ち上がりはゆっくり。立ちくらみに注意しましょう
- 他の病院を受診する際は、必ずレビー小体型認知症であることを伝えてください
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
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