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高次脳機能障害のある家族との暮らし方ガイド

脳の病気やけがのあと、記憶・注意・感情のコントロールが難しくなることがあります。症状ごとに家庭でできる対応の工夫をわかりやすく紹介します。

📅 2026年3月5日 更新読了目安 21分

この記事のポイント

  • 高次脳機能障害の各症状が「生活のどの場面で困るか」を具体的に解説
  • 症状ごとに家庭で実践できる環境調整と対応の工夫を紹介
  • 職場・学校への理解の求め方と、家族のセルフケアについても触れる

高次脳機能障害ってどんな障害?

高次脳機能障害は、脳卒中や交通事故などで脳にダメージを受けたあと、記憶力・注意力・判断力・感情のコントロールなどがうまくいかなくなることです。

見た目には変化がないため、「見えない障害」と呼ばれています。「もう元気そうだよね」と周りから言われることも多く、家族としてはつらい場面があるかもしれません。

この記事では、症状ごとに生活のどんな場面で困るかと、家庭でできる工夫をわかりやすくまとめています。

注意力が続かない・気が散りやすいとき、どうすればいい?

注意障害があると、周りの音や物が気になって集中が難しくなります。「話を聞いていない」のではなく、たくさんの情報が同時に入ってきてしまう状態です。

こんなことで困っていませんか?
  • 料理中に火をつけっぱなし別のことが気になって忘れてしまう
  • テレビがついていると会話ができない音が気になって話に集中できない
  • 買い物でリストにないものを買う目に入ったものに注意が向いてしまう
家庭でできる工夫
  • テレビを消してから話しかける周りの音を減らすだけで集中しやすくなります
  • タイマーをセットする火を使うときや作業の区切りに使うと安心です
  • 一つずつお願いする「あれもこれも」ではなく、一つ終わってから次のことを頼みましょう

何度も同じことを聞かれる…記憶の問題にどう対応する?

記憶の障害があると、新しいことが覚えにくくなります。薬を飲んだかどうか、今日の予定、さっき話したことなどを忘れてしまうことがあります。

こんなことで困っていませんか?
  • 薬を飲んだか覚えていない1日に何度も「薬飲んだっけ?」と聞く
  • 予定を忘れてしまう通院日や約束を忘れる
  • 同じ質問を繰り返すご本人にとっては毎回「初めての質問」なのです
家庭でできる工夫
  • 薬カレンダーを使う曜日・時間ごとにセットすれば、飲んだかどうかが一目でわかります
  • スマホのアラームで予定を通知通院日や大事な予定を音で教えてくれます
  • 物の置き場所を決める鍵・財布・メガネなどは「いつもここ」と決めましょう
  • ホワイトボードに今日の予定を書くリビングに貼っておくと、何度でも確認できます

大切なこと: 同じ質問をされたとき、「さっき言ったでしょ」と言いたくなるかもしれません。でも、ご本人にとっては初めて聞いていることと同じです。メモやホワイトボードを「一緒に見る」習慣をつけると、お互いのストレスが減ります。

段取りが苦手になった…どうサポートすればいい?

遂行機能の障害があると、計画を立てたり、順番どおりに物事を進めたりすることが難しくなります。「やる気がない」のではなく、「どこから手をつけていいかわからない」状態です。

こんなことで困っていませんか?
  • 料理の手順がわからなくなる複数の作業を同時にこなせない
  • 掃除に取りかかれないどこから始めればいいか決められない
  • 予定の優先順位がつけられない何を先にすべきかわからない
家庭でできる工夫
  • 手順書を貼っておく「朝の支度」など、毎日やることの手順をリストにします
  • チェックリストを用意する終わったら✓を入れると達成感につながります
  • やることを小さく分ける「掃除して」ではなく「まず床のものを拾って」と1つずつ伝えましょう

急に怒りだす・衝動的な行動…どう受け止めればいい?

感情のコントロールが難しくなるのも、脳の障害の症状の一つです。ご本人の「性格が変わった」のではなく、脳の損傷によって感情のブレーキがかかりにくくなっているのです。

こんなことで困っていませんか?
  • ちょっとしたことで激怒するリモコンが見つからないだけで怒鳴ることがある
  • 衝動的な買い物や食べ過ぎ我慢することが難しくなっている
  • 本人が「自分は問題ない」と言う自覚がないのも症状の一つです
家庭でできる工夫
  • 怒りが出たら距離を取る別の部屋に移動して5〜10分待ちましょう。無理に話し合わなくて大丈夫です
  • きっかけを知っておく疲れているとき、お腹が空いているときなど、怒りが出やすい場面を覚えておきましょう
  • こまめに休憩を入れる疲れがたまる前に休むと、感情が不安定になりにくくなります

「自分は大丈夫」と言い張る場合: 無理に説得せず、具体的な出来事をやさしく伝えるようにしましょう。担当の作業療法士や主治医から説明してもらうと、受け入れやすいことがあります。

職場・学校に理解してもらうために

高次脳機能障害は「見えない障害」だからこそ、周囲への説明が重要です。

担当の作業療法士に頼むと、ご本人の特性と対応法をまとめた「生活のしおり」を作ってもらえることがあります。これを職場や学校に渡すと、説明がスムーズになります。

伝えるとよいポイント
  • 具体的にどんな場面で困るか
  • どんな配慮があると助かるか(メモを取る時間をもらう、指示は1つずつもらうなど)
  • できること・得意なことは何か

家族自身を守るために

高次脳機能障害のある家族を支え続けることは、長期戦です。

家族の心のケア
  • 「以前のあの人に戻ってほしい」という気持ちと、現実の間で揺れるのは自然なことです
  • 完璧な対応を目指す必要はありません
  • 家族会やピアサポートで、同じ経験をした人と話すことが大きな支えになります

家族の共倒れ防止ガイドも参考にしてください。

ポイント
  • 高次脳機能障害は「見えない障害」。外見ではわからない困難があります
  • 症状ごとに家庭での工夫(タイマー、メモ、手順書など)で生活しやすくなります
  • ご本人の行動は「わざと」ではなく「脳の障害のため」です
  • 家族自身の休息も大切です。一人で抱え込まないでください
ご家庭でできること

回復は年単位で続きます。「良くなった」「戻った」と思っても、新しい場面で困ることが出てくることがあります。それは後退ではなく、新しい課題が見えたということです。

OTは、その都度あなたとご家族に合わせた対応法を一緒に考えます。困ったことがあれば、いつでも相談してください。


免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。

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