この記事のポイント
- 関節リウマチでは「関節保護の7原則」を日常動作に取り入れることで、痛みと変形の進行を抑えられる
- 家事・料理・着替え・入浴のそれぞれで、関節への負担を減らす具体的な工夫がある
- 自助具やスプリントの活用、作業療法士のリハビリ計画が生活の質を大きく向上させる
関節リウマチとはどのような病気か
関節リウマチは、免疫の異常で関節に炎症が続く病気です。日本では約60〜80万人の方がかかっており、30〜50歳代の女性に多くみられます。
お薬の治療は大きく進歩していますが、日常生活での関節への負担を減らす工夫も同じくらい大切です。作業療法士は、関節を守りながらやりたいことを続ける方法を一緒に考えてくれます。
関節保護の7原則
日常生活で関節を守るための7つのポイントがあります。すべてを覚える必要はありませんが、意識するだけで負担が減ります。
- 力を分散させる:指先だけでなく、手のひら全体で物を持つ
- 大きな関節を使う:指先より手首や肘を使う。ドアは前腕で押す
- 変形が進む方向に力をかけない:蛇口は小指側でなく親指側に回す
- 同じ姿勢を30分以上続けない:こまめに姿勢を変える
- 痛みを無視しない:痛みが出たらやり方を変えるか休む
- 安定した姿勢で作業する:座れる場面ではなるべく座る
- 便利な道具を使う:道具に頼ることは「関節を守る積極的な選択」です
日常生活の場面別 ── 関節を守る工夫
家事(掃除・洗濯)
家事はやり方と道具を変えるだけで、関節への負担が大幅に減ります。
- 掃除:重い掃除機→軽量スティック型やロボット掃除機に。雑巾→床拭きシートに
- 洗濯:洗濯バサミ→挟む力が弱くても使えるユニバーサルピンチに
- 食器洗い:食洗機の導入、または太い柄のスポンジを使う
- 布団:軽量布団に変更。ベッドの導入も検討
家事は一気にやらず、1日の中で分散させるのが関節を守るコツです。
料理
料理の工夫をいくつかご紹介します。
- 包丁:太い柄の包丁やフードプロセッサーを活用
- 瓶のフタ:ラバー付きオープナーで楽に開けられます
- 鍋:軽量の片手鍋や電子レンジ調理に切り替え
- 立ち仕事:キッチンに椅子を置き、座りながら作業
着替え
- ボタン:マグネット式ボタンやボタンエイド(ボタンを留める道具)が便利です
- 靴:マジックテープ式やスリッポンが楽です
- ファスナー:リングプルを付けるとつまむ力がなくても操作できます
入浴
- シャワーチェアで座って入浴
- 浴室に手すりを設置(介護保険で補助が出ます)
- 蛇口をレバー式に変更
- ポンプ式シャンプーに切り替え
炎症が強い時期は長風呂を避け、短めのシャワーにしましょう。
自助具の紹介 ── 関節を守る「道具の力」
自助具は「あきらめの道具」ではなく、関節を守りながら生活を続けるための道具です。
- 太い柄のスプーン・フォーク:握る力が少なくて済みます
- リーチャー(マジックハンド):かがまずに物を拾えます
- ジャーオープナー:瓶のフタが楽に開けられます
- キーターナー:わずかな力で鍵を回せます
作業療法士に相談すると、ご本人に合った道具を選んでもらえます。
スプリントの役割
スプリントは、関節を守るために作業療法士が手に合わせて作る装具です。
- 夜間用:寝ている間の痛みを和らげ、変形を防ぎます
- 日中用:家事や仕事中に関節を支え、動作を楽にします
合わないスプリントはかえって良くないので、定期的に作業療法士に調整してもらうことが大切です。
作業療法士のリハビリテーション計画
エビデンスに基づいた関節保護プログラムの効果
- 日常の動作を少し変えるだけで、関節への負担は大きく減らせます
- 自助具やスプリントは「あきらめ」ではなく、関節を守るための積極的な選択です
- 作業療法士に相談すると、ご本人の生活に合った具体的な工夫を教えてもらえます
- 家事は一気にやらず、朝・昼・夕に分けて行うと関節への負担が減ります
- 蛇口をレバー式に変える、ポンプ式シャンプーに切り替えるなど、小さな変更から始めてみてください
- 作業療法士に「日常で困っていること」を具体的に伝えると、その場面に合った道具や工夫を提案してもらえます
参考文献
- Hammond A, Freeman K. One-year outcomes of a randomized controlled trial of an educational-behavioural joint protection programme for people with rheumatoid arthritis. Rheumatology. 2001;40(9):1044-1051.
- Hammond A, Young A, Kidao R. A randomised controlled trial of occupational therapy for people with early rheumatoid arthritis. Ann Rheum Dis. 2004;63(1):23-30.
- Lamb SE, Williamson EM, Heine PJ, et al. Exercises to improve function of the rheumatoid hand (SARAH): a randomised controlled trial. Lancet. 2015;385(9966):421-429.
- Zangi HA, et al. EULAR recommendations for patient education for people with inflammatory arthritis. Ann Rheum Dis. 2015;74(6):954-962.
- Cordery JC, Rocchi M. Joint protection and fatigue management. In: Melvin JL, Jensen GM, eds. Rheumatologic Rehabilitation Series, Vol 1. AOTA; 1998.
- 日本リウマチ学会「関節リウマチ診療ガイドライン 2024」
- 日本作業療法士協会「作業療法ガイドライン 実践指針 2024」
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士(OTR)
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
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