この記事のポイント
- 作業療法では、セラピスト自身の「関わり方」が治療の重要な要素です(Therapeutic Use of Self)
- Taylor の IRM(意図的関係性モデル)では、6つの治療的モードが提唱されています
- セラピストは自己覚知を通じて自分の傾向を理解し、クライアントに合わせて関わり方を意図的に調整しています
はじめに── 「何をするか」だけでなく「どう関わるか」
リハビリの効果は、「何をするか」だけでなく、セラピストとの関係性にも大きく影響されます。
「あのセラピストさんだと頑張れる」「話しやすいから本音が言える」── こうした感覚は、実は偶然ではありません。作業療法士は、意図的に関わり方を工夫しています。
この記事では、セラピストがどのようにご本人との関係性を築いているのかを、わかりやすくご紹介します。
IRM(意図的関係性モデル)の4つの要素
作業療法士は、リハビリの場面でご本人との関係性を大切にしています。その関係性は4つの要素で成り立っています。
- ご本人の状態: 気持ちや性格、対人関係の好み
- リハビリ中の出来事: やる気が出ないとき、不安なとき、意見の食い違いなど
- セラピストの関わり方: ご本人に合わせた接し方の工夫
- 活動: リハビリで行う具体的な活動
セラピストは「自分のいつものやり方」で接するのではなく、ご本人に合わせて関わり方を変えています。
6つの治療的モード
作業療法士は、場面に応じて6つの関わり方を使い分けています。
- 代弁する: ご本人の希望を関係者に伝える
- 一緒に考える: 目標やリハビリの方法を対等に相談する
- 気持ちに寄り添う: つらいときに「わかります」と受け止める
- 励ます: できたことを具体的に伝え、次の一歩を後押しする
- 教える: 道具の使い方や自主練習の方法を伝える
- 問題を一緒に解決する: 困りごとの原因を分析し、解決策を考える
1回のリハビリの中でも、場面に応じてこれらを切り替えています。
「もう少しゆっくり説明してほしい」「自分で考える時間がほしい」── こうした希望は遠慮なく伝えてください。セラピストは関わり方を調整するプロです。ご本人に合った関わり方を一緒に見つけることも、大切なリハビリの一部です。
自己覚知── 自分の「癖」を知る
作業療法士は、自分自身の関わり方の「癖」を理解するよう努めています。
たとえば、「つい励ましすぎてしまう」「感情面のケアが苦手」── こうした自分の傾向を知ることで、意識的にバランスを取ることができます。
セラピストも完璧ではありません。だからこそ、自分自身を常に振り返り、成長し続けることを大切にしています。
治療的関係性の構築── 実践のポイント
リハビリがうまくいかないと感じたら
リハビリの中で、「やる気が出ない」「セラピストと合わない気がする」と感じることがあるかもしれません。
それは決して珍しいことではありません。セラピストもそうした変化を感じ取ろうとしています。
- やる気が出ないとき: 無理に頑張らなくて大丈夫です。気持ちを伝えてください
- 不安があるとき: 「これをやって意味があるのか」という疑問も大切な情報です
- 関わり方が合わないと感じたら: 遠慮なく伝えてください。セラピストは関わり方を調整できます
担当セラピストとの相性が合わないと感じた場合、まずは率直に「もう少しこうしてほしい」と伝えてみてください。それでも改善しない場合は、担当の変更を相談することも選択肢の一つです。大切なのは、リハビリの効果が最大になる環境を整えることです。
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。