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IADL(手段的日常生活動作)とは?暮らしを続ける力をやさしく解説

IADL(手段的日常生活動作)とは、料理・買い物・金銭管理・服薬管理など「暮らしを回す力」のこと。ご家族が知っておきたいIADLの意味と、低下のサインの見つけ方をやさしく解説します。

📅 2026年3月23日 更新読了目安 27分

この記事のポイント

IADLとは「手段的日常生活動作(Instrumental Activities of Daily Living)」の略で、料理・買い物・金銭管理・服薬管理・交通機関の利用など、地域で自立した暮らしを送るために必要な、やや複雑な生活動作のことです。食事や入浴といった基本的ADLとは異なり、判断力や計画性が求められるのが特徴です。この記事では、IADLの具体的な内容と評価方法、ご家庭でのサポートについて解説します。

IADLとは何か

IADLは、日本語で「手段的日常生活動作」と訳されます。簡単に言うと、「暮らしを回していくための動作」のことです。

食事や入浴といった基本的なADLが「身体を整える動作」だとすれば、IADLは料理・買い物・お金の管理・薬の管理など、もう少し複雑な動作を指します。

こうした動作には、身体を動かすだけでなく「考える」「判断する」「計画する」という力が必要です。

IADLに含まれる8つの活動

IADLは次の8つの活動で構成されます。「こんなことも含まれるの?」と思われるかもしれませんが、どれも暮らしに欠かせない大切な動作です。

活動どんな力が必要か
電話の使用番号を調べる、用件を伝える。緊急時に助けを呼べるかにも関わります
買い物何が足りないか判断し、店に行き、選んで支払う。複数の力が必要です
食事の準備献立を考え、食材を準備し、火や刃物を安全に扱う。IADLの中でも特に複雑です
家事(掃除など)掃除機がけ、ゴミ出しなど。体力と段取り力の両方が求められます
洗濯仕分け、洗濯機の操作、干す・たたむ・しまう。手順が多い活動です
移動・交通手段バスや電車の利用、乗り換え。移動ができないと買い物や通院にも影響します
服薬管理薬の種類・時間・量を守る。健康に直結する大切な項目です
金銭管理支払い、ATM操作、詐欺への注意。認知症の初期に困難が現れやすい項目です

IADLはなぜ大切なのか

「自分の暮らしを自分で決める」ための力

IADLは「なくても生きていける」と思われがちですが、実は「一人暮らしができるか」「住み慣れた家で暮らし続けられるか」を左右する力です。

買い物や料理、薬の管理ができなくなると、日々の暮らしが立ち行かなくなってしまいます。

認知症の早期発見の手がかり

IADLの低下は、認知症の初期に現れる重要なサインです。食事や入浴は問題なくできていても、次のような変化が見られたら注意してください。

注意が必要なIADL低下のサイン
  • 料理の味付けが極端に変わった
  • 同じ食材ばかり買ってくる
  • 公共料金の支払いを忘れるようになった
  • 薬を飲み忘れたり、二重に飲んだりする
  • バスの乗り方がわからなくなった

こうした変化にご家族が早めに気づくことが、適切な支援につなげる第一歩です。

介護サービスの判断材料

介護保険の要介護認定調査でも、IADLの項目が含まれています。「買い物ができるか」「お金の管理ができるか」といった質問は、どんな介護サービスが必要かを決める判断材料になります。

IADLの評価方法

病院や介護の現場では、IADLを評価するための検査が行われることがあります。

代表的なものに「ロートンのIADL尺度」があり、8つの活動それぞれについて「自分でできる」から「できない」まで段階的に評価します。

大切なのは点数そのものではなく、「どの活動で困っているか」を具体的に把握することです。その結果をもとに、作業療法士がリハビリの目標を立てたり、必要なサービスを提案したりします。

IADLを支える作業療法

作業療法士は、IADLの回復と維持を支援する専門家です。実際の料理や買い物の場面で練習を行い、「訓練室ではわからない課題」を見つけてサポートします。

すべてを元どおりにすることだけが目標ではありません。工夫を取り入れて、できるだけ自分で暮らしを続けることが大切です。

困りごと工夫の例
薬を飲み忘れるお薬カレンダー、アラーム付きケース
買い物が大変ネットスーパー、買い物リストの活用
料理が難しくなった電子レンジ調理、カット済み食材
公共料金の払い忘れ口座引き落とし
外出が不安GPSつきスマホ、同行支援サービス

ご家族ができるサポート

変化に気づく目を持つ

IADLの低下はゆっくり進むため、ご本人も気づきにくいものです。次のような変化がないか、日頃から気にかけてみてください。

IADL低下の気づきポイント
冷蔵庫の中
  • 同じ食品が大量にある、賞味期限切れが増えた
家の中
  • 掃除が行き届かなくなった、ゴミ出しを忘れる
郵便物
  • 未開封の請求書がたまっている
服装
  • 季節に合わない服を着ている、同じ服ばかり着る
  • 残薬が多い、飲み忘れや重複がある

これらは「だらしなくなった」のではなく、IADLの低下というサインかもしれません。気になることがあれば、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談してみてください。

「できること」を大切にする

サポートの基本は、ご本人にできることはご本人に任せることです。

買い物全体は難しくても「商品を選ぶ」ことはできるかもしれません。料理の全工程は難しくても「野菜を洗う」「盛り付ける」なら担当できるかもしれません。

こうした「部分的な参加」が、ご本人の自信と生きがいを守ります。

利用できるサービスを知る

すべてをご家族だけで支える必要はありません。

利用できるサービス
  • 介護保険サービスヘルパーによる家事支援、通所リハビリでのIADL練習
  • 地域のサービス配食サービス、ゴミ出し支援、見守りサービス
  • 民間のサービスネットスーパー、家事代行、服薬支援アプリ

担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談すると、お住まいの地域で使えるサービスを教えてもらえます。

まとめ

ポイント

IADLは「暮らしを回していく力」です。料理、買い物、お金の管理、薬の管理――どれも当たり前に見える動作ですが、判断力・計画力・記憶力が深く関わっています。

「最近ちょっと変わったかな?」という小さな気づきが、適切な支援につなげる大切な第一歩です。気になることがあれば、かかりつけ医や地域包括支援センターに気軽に相談してみてください。

ご家庭でできること
  • 冷蔵庫と郵便受けをチェック: 同じ食品の買いすぎや未開封の請求書がないか、さりげなく確認してみましょう
  • 「部分参加」を意識する: 全部を代わりにやるのではなく、ご本人にできる部分をお任せすることで自信を守れます
  • 相談先を1つ調べておく: お住まいの地域包括支援センターの連絡先を確認しておくと、いざというとき安心です

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