この記事のポイント
- ヤングケアラーとは、家族のケアを日常的に担う18歳未満の子どものことです
- 中学生の約17人に1人がヤングケアラーに該当するという調査結果があります
- OTは「作業バランス」の視点から、子どもが年齢相応の生活を取り戻す支援を行います
- 学校・福祉・医療の連携が早期発見と継続支援のカギです
ヤングケアラーとは何か
「ヤングケアラー」とは、家族のケアを日常的に担っている18歳未満の子どものことです。中学生の約17人に1人がヤングケアラーに該当するという調査結果があります。
ケアの内容は、家事・きょうだいの世話・入浴やトイレの介助・家族の話し相手など多岐にわたります。多くの子どもが自分がヤングケアラーだという自覚を持たないまま、ケアの責任を背負い続けています。
ケアが子どもに及ぼす影響
ケアを担い続けることで、子どもの生活にはさまざまな影響が出ます。
- 学業 — 疲れて授業中に寝てしまう、宿題の時間がとれない、進学の選択肢が狭まる
- 友人関係 — 部活や遊びに参加できず、孤立感を感じやすくなる
- 心身の健康 — 慢性的な疲労やストレスが蓄積し、不安や抑うつにつながることがある
「しっかりした子」の裏に
ヤングケアラーは「しっかりした子」と見なされやすく、本人が支援を求めることは稀です。周囲の大人が「もしかして」と気づくことが大切です。
作業療法士が「作業バランス」の視点で関わる意義
作業療法士は、子どもの生活を「活動のバランス」という視点で見ます。勉強・遊び・休息・ケアのバランスが崩れていないかを確認し、子どもが年齢相応の生活を取り戻すお手伝いをします。
- 生活の見える化 — 子どもの1日の過ごし方を一緒に整理し、どこに無理があるかを客観的に確認します
- ケアの負担を減らす工夫 — 介護のやり方の工夫や福祉サービスの活用で、ケアにかかる時間と労力を減らします
- 自分の時間を取り戻す — 学校生活や遊び、休息の時間を確保できるよう、段階的に環境を整えます
学校・福祉・医療の連携が不可欠な理由
ヤングケアラーの問題は、学校・福祉・医療が連携して対応することが大切です。
- まず学校で気づく — 教員やスクールカウンセラーが子どもの変化に気づき、家庭状況を聞き取ります
- 福祉サービスにつなぐ — 子ども家庭センターなどが調整役となり、利用できる福祉サービスを検討します
- チームで継続支援 — 訪問介護の導入やヘルパーの活用で、家族全体のケア負担を分散します
具体的な支援方法
周りの大人ができること
同じ境遇の仲間とつながる
ヤングケアラー同士が体験を共有できるグループが各地にあります。「自分だけじゃない」と感じられる場は、子どもにとって大きな支えになります。お住まいの自治体やNPOに問い合わせてみてください。
支援を届けるために必要なこと
子ども自身が「助けて」と言うことは稀です。周囲の大人が気づいて手を差し伸べることが何よりも大切です。
まとめ
- ヤングケアラーは「しっかりした子」の裏に隠れています。周囲の大人が気づくことが大切です
- 子どもが勉強・遊び・休息の時間を取り戻せるよう、外部サービスの活用やケアの分担を検討しましょう
- ケアをゼロにするのではなく、子どもが「自分の時間」を持てる余白をつくることが目標です
- 「大丈夫?」「手伝えることはある?」と声をかけることから始めましょう
- 福祉サービスの活用で、子どものケア負担を減らせないか検討してみてください
- 子どもが好きなことをする時間を、週に1回でも確保できるよう環境を整えましょう
- 三菱UFJリサーチ&コンサルティング「ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書」(令和2年度 厚生労働省委託事業)
- 厚生労働省「ヤングケアラー支援体制強化事業実施要綱」(2022年)
- Becker, S. (2007). Global Perspectives on Children's Unpaid Caregiving in the Family. Global Social Policy, 7(1), 23-50.
- 日本作業療法士協会「作業バランスと健康に関するポジションステートメント」
- Joseph, S. et al. (2020). Young Carers in the UK: Experiences, Needs and Services. Child: Care, Health and Development, 46(2), 155-164.
- Leu, A. & Becker, S. (2017). A Cross-National and Comparative Classification of In-Country Awareness and Policy Responses to Young Carers. Journal of Youth Studies, 20(6), 750-762.