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暮らしの工夫#作業療法#日常生活#リハビリ

「集中できない」ご家族の暮らしを整える工夫

注意障害のあるご家族の暮らしを支える工夫を紹介。環境の整え方、作業の分け方、声かけのコツをわかりやすく解説します。

📅 2026年6月1日 更新読了目安 19分

この記事のポイント

  • 注意には「持続性」「選択性」「転換性」「分配性」の4つの機能があり、どれが障害されているかで困りごとが変わります
  • 環境から余計な刺激を減らし、作業を小さなステップに分けることで、注意の負担を軽くできます
  • 家族の声かけは「短く・具体的に・一つずつ」が基本です

「集中できない」にはいくつもの原因があります

「集中できない」「すぐ気が散る」「ぼんやりしている」。ご家族にこうした様子が見られると、「やる気がないのでは」と思ってしまうかもしれません。

しかし、これは脳の「注意」という機能の問題であり、本人の意思や努力不足ではありません。

作業療法士(OT)は、注意の問題が暮らしにどう影響しているかを分析し、環境の整え方や活動の工夫を一緒に考えてくれる専門家です。

注意の4つの機能を知る

「注意」には4つの種類があります。どれが苦手になっているかで、困りごとの内容が変わります。

  • 持続性注意: 一つのことに集中し続ける力。障害されると「途中で集中が切れる」
  • 選択性注意: 必要な情報だけに注意を向ける力。障害されると「テレビがついていると会話に集中できない」
  • 転換性注意: 注意を切り替える力。障害されると「途中で別のことを頼まれると混乱する」
  • 分配性注意: 2つのことに同時に注意を向ける力。障害されると「料理しながら話を聞けない」

ご家族がどの注意が苦手なのかを知ると、サポートの仕方が具体的に見えてきます

注意障害が日常生活に与える影響

注意障害があると、日常のさまざまな場面で困りごとが生じます。

  • 食事: 食べこぼしが増える、食事に時間がかかる
  • 入浴・着替え: 手順を飛ばしてしまう、洗い残しがある
  • 調理: 火をかけたまま忘れる、同時に複数のことを進められない
  • 外出: 信号の変化に気づかない、人混みでひどく疲れる
  • 服薬: 他のことに気をとられて飲み忘れる

火の取り扱いにご注意ください

注意障害がある方が調理をする場合、火の消し忘れによる事故のリスクがあります。タイマー付きコンロやIHヒーターの導入を検討してください。

環境調整 ── 余計な刺激を減らす

注意障害のある方にとって、周囲のさまざまな刺激が集中の妨げになります。余計な刺激を減らすことが、暮らしを整える第一歩です。

目に入る情報を減らす

  • 作業する机の上には今使うものだけを置く
  • テーブルや壁の周りをすっきりさせる

耳に入る情報を減らす

  • 作業中はテレビや音楽を消す
  • 静かな部屋で作業する
  • 必要に応じて耳栓を使う

時間の使い方を工夫する

  • 「今は○○の時間」と決めて、他の用事を入れない
  • タイマーを使って集中と休憩のリズムをつくる
ご家庭でできること

長時間の集中が難しい場合、タイマーで「15分集中→5分休憩」のリズムをつくってみてください。キッチンタイマーやスマホのタイマーで十分です。15分が難しければ10分、5分から始めても構いません。少しずつ集中できる時間を延ばしていきましょう。

作業の構造化 ── 複雑な作業を「シンプル」にする

手順の多い作業は、注意障害のある方にとって大きな負担です。作業を小さなステップに分けることで、ぐっとやりやすくなります。

作業を小分けにする

たとえば「洗濯をする」を以下のように分けます。

  1. 洗濯物を集める
  2. 洗濯機に入れる
  3. 洗剤を入れる
  4. スタートボタンを押す
  5. 終了アラームが鳴ったら取り出す
  6. 干す

一つずつ確認しながら進めることで、手順を飛ばしにくくなります。

チェックリストを貼っておく

手順を書いたチェックリストを作業場所に貼り、一つ終わるごとにチェックを入れましょう。「どこまでやったか」がひと目でわかります。

「ながら作業」は避ける

2つのことを同時にするのが難しい場合は、一つの作業が終わってから次に取りかかるルールにしましょう。

活動の段階づけ ── 「ちょうどよい難しさ」で取り組む

いきなり難しいことに挑戦するのではなく、「ちょうどよい難しさ」から始めることが大切です。

たとえば調理なら、以下のように段階的に取り組みます。

  • まず: トーストを焼く、お茶を入れるなど簡単なことから
  • 次に: 卵焼きやサラダなど、3〜4手順の料理へ
  • 慣れたら: ご飯を炊きながらおかずを作るなど、同時進行へ

「できた」という体験を積み重ねることが、自信の回復につながります。

ご家庭でできること

注意を集中させること自体が脳の疲労を引き起こします。午前中のほうが集中しやすい方が多いので、大切な用事や作業は午前中に行うとうまくいきやすいです。午後や夕方に疲れが出やすいことも覚えておいてください。

家族の声かけの工夫

ご家族の声かけの仕方を少し工夫するだけで、ご本人の混乱を減らせます。

「短く・具体的に・一つずつ」

  • ×「あれやって、それからこれも」
  • 「テーブルの上のコップを台所に持っていってね」

一つの指示が終わってから、次の指示を出しましょう。一度にたくさん言われると混乱してしまいます。

注意を引いてから話す

  • まず名前を呼んで、こちらを向いてから話し始めましょう
  • テレビがついているときは消してから話しかけましょう

「できたね」を伝える

注意障害のある方は失敗体験を重ねやすく、自信を失いがちです。小さなことでも「できたね」「ありがとう」と伝えることが、ご本人の意欲を支えます。

「怠けている」のではありません

集中できない、すぐ気が散る、ぼんやりしているのは、本人の意思や努力の問題ではなく、脳の注意機能の問題です。ご本人も困っています。叱るのではなく、一緒に工夫を考えていきましょう。

作業療法士に相談してみませんか

OTは注意障害のある方の暮らしを総合的にサポートできます。

  • 注意機能の評価: どの注意が苦手かを詳しく調べます
  • 環境調整: ご自宅の環境を「集中しやすい」ように整えるお手伝いをします
  • 活動の段階づけ: ご本人に合った「ちょうどよい難しさ」の作業を提案します
  • 声かけのアドバイス: ご家族の関わり方について具体的なコツをお伝えします

「集中できない」ことで困っていたら、お近くのリハビリテーション施設や地域包括支援センターに相談してみてください。


ポイント

免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。

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