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がんと診断されたご本人・ご家族へ ── リハビリでできること

がんと診断されても日常生活を続けるために、作業療法士がどのようなサポートをしてくれるのかをわかりやすく解説します。ADL支援やむくみの予防、仕事復帰のサポートなど。

📅 2026年6月9日 更新読了目安 18分

この記事のポイント

  • がんリハビリテーションには予防的・回復的・維持的・緩和的の4つの時期があり、それぞれに作業療法士の役割があります
  • ADL支援、上肢リンパ浮腫の予防、復職支援、アピアランスケアなど、暮らしに直結する介入を行います
  • がんサバイバーシップの視点から、治療後も「自分らしい暮らし」を続けるためのQOL向上を目指します

がんと向き合いながら「暮らし」を続けるということ

がんと診断されると、治療のことで頭がいっぱいになるのは当然です。しかし、治療の最中も、治療が終わった後も、「暮らし」は続きます

がんの5年生存率は大きく改善しており、がんは「長くつき合う病気」に変わりつつあります。だからこそ、治療と並行して日常生活をどう維持するかが大切になります。

作業療法士(OT)は、がん患者さんの「暮らし」を支える専門家です。食事や着替えなどの日常動作から、仕事への復帰まで、治療の段階に合わせたサポートを行います。

がんリハビリテーションの4つの時期

がんのリハビリは、病気の進行に合わせて4つの時期に分けられます。

1

予防的リハビリテーション

  1. 1がんと診断された直後から開始
  2. 2手術や治療の前に体力を維持する
  3. 3治療後の機能低下を最小限に抑える準備
2

回復的リハビリテーション

  1. 4手術後や治療中に実施
  2. 5失われた機能の回復を目指す
  3. 6日常生活動作の再獲得に取り組む
3

維持的リハビリテーション

  1. 7治療後の生活を安定させる時期
  2. 8獲得した機能を維持する
  3. 9社会復帰に向けた準備を進める
4

緩和的リハビリテーション

  1. 10根治が難しい場合の支援
  2. 11痛みや苦痛の軽減を目指す
  3. 12残された時間のQOLを最大化する

それぞれの時期に受けられるサポート

  • 予防的リハビリ: 手術前から体力を維持するためのトレーニングや、退院後の生活について一緒に考えます
  • 回復的リハビリ: 手術後に食事・着替え・入浴などの動作を取り戻すための練習を行います
  • 維持的リハビリ: 治療が一段落した後、仕事や家事に戻るためのサポートをします
  • 緩和的リハビリ: 根治が難しい場合でも、できるだけ快適に過ごすための工夫を一緒に考えます

ヒント

がんのリハビリは保険が適用されます。主治医に「リハビリを受けたい」と相談してみてください。

OTが行う具体的な介入

ADL支援 ── 「できる」を一つずつ取り戻す

がんの治療によって、これまで普通にできていた動作が難しくなることがあります。OTは「できること」を一つずつ取り戻すサポートをします。

  • 食事: 食べやすい姿勢や道具の工夫
  • 着替え: 肩が動きにくい場合の着替え方法の指導
  • 入浴: 体力に合わせた入浴方法の提案
  • トイレ: 人工肛門のケアに必要な手の動きの練習
ご家庭でできること

着替えが大変な場合は、前開きの服を用意してください。ボタンが難しければマジックテープに付け替える方法もあります。入浴はシャワーチェアを使うと、座ったまま洗えるので体力の消耗を減らせます。

上肢リンパ浮腫の予防と管理

乳がんの手術後に、腕がむくむ(リンパ浮腫)ことがあります。OTはむくみを予防・管理するための方法を一緒に練習します。

  • むくみを流すマッサージ(セルフドレナージ)の方法
  • 専用のサポーター(弾性スリーブ)の使い方
  • 腕に負担をかけない家事の方法

復職支援 ── 「働く」を再び可能にする

がんの治療後に仕事に戻ることは、多くの方にとって大きな目標です。OTは仕事復帰のサポートも行います。

  • 体力に合わせた段階的な仕事復帰の計画を一緒に立てます
  • 職場の環境調整について、会社と相談するお手伝いをします
  • 疲れやすさに対応した仕事のペース配分をアドバイスします
ご家庭でできること

いきなりフルタイムで復帰する必要はありません。まずは主治医に仕事復帰の相談をし、短時間勤務や在宅勤務の可能性を職場と話し合ってみてください。がん相談支援センター(がん診療連携拠点病院に設置)でも就労に関する相談ができます。

アピアランスケア ── 「自分らしさ」を守る

がんの治療では、髪が抜ける、手術のあとが残るなど、見た目の変化が生じることがあります。OTは「自分らしさ」を守るためのケアもサポートします。

  • かつら(ウィッグ)の選び方と着け方の練習
  • メイクの工夫
  • 外見の変化への心理的なサポート

がんサバイバーシップとQOL ── 治療後の「自分らしい暮らし」

がんの治療が終わっても、疲れやすさや体力の低下が続くことがあります。これは「気持ちの問題」ではなく、治療による身体への影響です。

OTは、治療後の生活を整えるサポートも行います。

  • 疲れやすさへの対応: 活動と休息のバランスを一緒に考えます
  • もの忘れへの対応: メモやスマートフォンを活用した工夫を提案します
  • 生活リズムの再構築: 仕事・家事・趣味・休息のバランスを見直します
ご家庭でできること

治療後の疲れやすさは、外からは見えにくいものです。「怠けている」と思わず、ご本人のペースを尊重してください。家事を分担する、休息時間を確保するなど、ご家族のちょっとした配慮が大きな支えになります。


ポイント

免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。

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