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脳性麻痺のある子どもの「できる」を広げる ── 暮らしの工夫

脳性麻痺のあるお子さんの毎日の生活を、もっと楽に、もっと楽しく。食事・着替え・遊びの工夫や、使える支援制度をわかりやすく紹介します。

📅 2026年6月8日 更新読了目安 21分

この記事のポイント

  • 脳性麻痺は一人ひとり異なる。型(痙直型・アテトーゼ型・失調型)と程度によって必要な支援が変わる
  • OTは上肢機能・ADL・座位保持・補装具・遊びの視点から、「できること」を広げるサポートを行う
  • 補装具費支給制度、障害児通所支援、特別児童扶養手当など、使える支援制度がある

脳性麻痺とは

脳性麻痺は、赤ちゃんがお腹の中にいるときや生まれてすぐの時期に、脳の一部がダメージを受けることで起こる体の動きの障害です。

脳のダメージ自体は進行しませんが、成長に合わせた継続的なサポートが大切です。

作業療法士(OT)は、お子さんの「できること」を広げ、毎日の生活をもっと楽に、もっと楽しくするための専門家です。

脳性麻痺の主な種類

脳性麻痺にはいくつかのタイプがあり、それぞれ体の動き方に特徴があります。

痙直型(けいちょくがた)── 最も多いタイプ

筋肉がこわばりやすいタイプです。手足が突っ張ったり、動きがぎこちなくなったりします。脳性麻痺のお子さんの約70〜80%がこのタイプです。

アテトーゼ型 ── 動きが不安定になるタイプ

自分の意思とは関係なく手足が動いてしまうことがあります。筋肉の緊張が変わりやすく、動作が不安定になります。

失調型 ── バランスが取りにくいタイプ

バランスを取ることが苦手で、動きがぎこちなくなります。手を目標に伸ばすときに震えが出ることがあります。

お子さんによって症状の出方はさまざまで、一人ひとり違います。同じ「脳性麻痺」でも、必要な支援は異なります

OTの役割 ── 5つの支援領域

1. 上肢機能の向上

手を使う力は、食事・着替え・遊びなど、生活のあらゆる場面に関わります。OTはお子さんの手の機能を伸ばすサポートを行います。

  • 物をつかむ練習: 握りやすいおもちゃから始めて、少しずつ細かい操作に挑戦
  • 手を伸ばす練習: 好きなおもちゃに手を伸ばす遊びの中で
  • 両手を使う練習: 片方の手で押さえて、もう片方で操作する

片側だけ動きにくい場合、動きにくい方の手も「お手伝いの手」として使えるよう練習します。物を押さえたり、支えたりする役割を担えるようになると、できることがぐんと広がります。

2. ADL(日常生活動作)の自立支援

食事・着替え・トイレ・お風呂。毎日の生活動作をできるだけ自分でできるようにサポートするのがOTの仕事です。

OTは一つの動作を細かく分けて、「どこまでが自分でできて、どこから手助けが必要か」を見極めます。

「全部一人で」ではなく、道具を使って一人でできるちょっとだけ手助けがあればできる。お子さんに合った「できる」の形を一緒に見つけていきます。

3. 座位保持と姿勢管理

体がぐらぐらしていると、手をうまく使えません。安定して座れることが、食事や遊びの「できる」の土台になります。

OTは、お子さんに合った椅子やクッションを選んだり調整したりして、体が安定して、手が使いやすい姿勢をつくります。

  • 座位保持装置: お子さんの体に合わせた特別な椅子
  • 車椅子の調整: 骨盤・体幹・足の位置を最適に
  • 学校の椅子の工夫: クッションや姿勢サポートの追加

4. 補装具・自助具の活用

「道具を使えば自分でできる」。そんな経験がお子さんの自信につながります。

  • 食事: 握りやすいスプーン、すくいやすいお皿、滑り止めマット
  • 書く: 太いペン、鉛筆を握りやすくするグリップ
  • 着替え: ボタンの代わりにマジックテープ、引っ張りやすいファスナー
  • 遊び・学習: タブレット用の操作しやすいペン

道具を使うことは恥ずかしいことではありません。「自分でできた!」という体験が、お子さんの自信と意欲を育てます。

5. 遊びの支援

遊びは子どもにとって一番大切な活動です。OTは、お子さんが遊びに参加できる工夫を考えます。

  • おもちゃの工夫: ボタン一つで動くおもちゃ(スイッチトイ)にする
  • 姿勢の工夫: 体が安定して手が使える姿勢をつくる
  • 難しさの調整: お子さんが「できた!」と感じられるレベルに合わせる
  • 一緒に遊ぶ: きょうだいやお友達と一緒に楽しめる方法を考える

楽しい遊びの中で、お子さんは自分から手を伸ばし、体を動かしたくなります。これがリハビリの効果をさらに高めてくれます。

家庭での工夫

ご家庭でできること
  1. 食事: 滑り止めマットでお皿を固定、握りやすいスプーンを使う、足台で姿勢を安定させる
  2. 着替え: 前開きの服やマジックテープの靴を選ぶ。座って着替えられるスペースを確保する
  3. お風呂: バスチェアで安定した姿勢を確保。滑り止めマットを敷く
  4. 遊び: テーブルの高さを調整して手が使いやすい姿勢に。おもちゃの大きさや重さを工夫する
  5. 移動: 家の中の段差を解消、手すりの設置を検討。必要に応じて歩行器の活用も

「手伝いすぎない」ことも大切

お子さんが困っていると、つい全部やってあげたくなりますよね。でも、「できるところは自分で」が大切です。

  • まずやらせてみる
  • 困っているところだけ手伝う
  • できたら「○○ができたね!」と具体的に伝える

時間がかかっても、自分でできた経験がお子さんの自信につながります。OTは「どこまで見守って、どこから手伝うか」のアドバイスもしてくれます。

使える支援制度

脳性麻痺のあるお子さんのご家族が使える支援制度があります。

制度内容
補装具費支給制度車椅子や装具の費用を市区町村が負担してくれます
日常生活用具の給付入浴用の椅子など、生活に必要な道具を支給してもらえます
児童発達支援就学前のお子さんの療育サービス
放課後等デイサービス学校の後に通える療育・居場所
特別児童扶養手当障害のあるお子さんを育てている方への手当
医療費の助成医療費の負担が軽くなる制度

「何が使えるかわからない」ときは、病院のソーシャルワーカーや、市区町村の障害福祉課に相談してみてください。

ヒント

支援制度は申請しないと利用できません。「対象になるかわからない」場合でも、まず窓口に問い合わせてみてください。対象外であっても、別の制度を案内してもらえることがあります。


ポイント

免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。

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