この記事のポイント
- 遠距離介護は「近くにいなくてもできること」を整理し、地域の専門家や制度を活用することが鍵です
- 帰省時は「生活環境のチェック」と「地域のキーパーソンへの挨拶」を優先しましょう
- 見守りカメラ・GPS・介護帰省割引・介護休暇など、遠距離介護を支える仕組みがあります
「近くにいないと介護はできない」は本当か
「親のそばにいないのに、介護なんてできるのだろうか」。そんな不安を抱えていませんか。
親と離れて暮らしながら介護をしている方は、実はたくさんいます。「近くにいなくてもできること」は、意外と多いのです。
大切なのは、以下の3つです。
- 自分がやることと人に任せることを分ける
- 親の住んでいる地域に頼れる人をつくる
- テクノロジーを活用して見守る
すべてを一人で背負う必要はありません。
帰省時にチェックすべきこと
帰省したときは、「元気?」と聞くだけでなく、生活の中の小さな変化に注目してみてください。
家の中でチェックしたいこと
- 冷蔵庫: 賞味期限切れの食品が増えていませんか?
- 郵便受け: 未開封の手紙がたまっていませんか?
- 部屋の様子: 以前より散らかっていませんか?
- 薬: 飲み残しが増えていませんか?
- 体重: 急に痩せたり太ったりしていませんか?
- つまずきやすい場所: 段差やコードなど、危険な場所はありませんか?
体や様子でチェックしたいこと
- 歩き方が不安定になっていないか
- ペットボトルのふたを開けられるか
- 笑顔が減っていないか、話がかみ合わないことが増えていないか
上のチェック項目をスマホのメモに保存しておき、帰省のたびに確認しましょう。前回との変化がわかりやすくなります。写真を撮っておくと、次回との比較もしやすいです。
ICTを活用した見守り
離れていても親の様子を確認できるツールが増えています。
見守りカメラ
スマホで親の部屋の様子を見ることができます。動きを検知して通知が届く製品もあります。ただし、必ずご本人の同意を得てから設置してください。
見守りセンサー
ドアの開け閉めや家電の使用を検知して、異常があるとスマホに通知が届きます。カメラに抵抗がある方に向いています。
GPS端末
GPS端末を持ち歩いてもらうことで、外出時の居場所がわかります。靴に入れるタイプやキーホルダータイプもあります。自治体が貸し出している場合もあります。
ビデオ通話
スマートスピーカーを使えば、「○○に電話して」と話しかけるだけでビデオ通話ができます。機械が苦手な親御さんにも使いやすいです。
「監視」ではなく「安心」のために
見守りのツールを導入するときは、「あなたの安全が心配だから」「何かあったときにすぐ助けたいから」と、目的を丁寧に伝えてください。無断で設置すると信頼関係を壊してしまいます。
地域のキーパーソンづくり
離れて暮らしている場合、親の住んでいる地域に頼れる人をつくることがとても大切です。
頼れる人の候補
- ケアマネジャー: 最も重要な存在です。定期的に電話やメールで連絡を取りましょう
- 地域包括支援センター: 介護認定を受ける前でも相談できます
- 民生委員: 地域で見守り活動をしている方です
- ご近所の方: 日常的に様子を見てくれる存在です
帰省時にやっておくこと
帰省したら、必ず挨拶に行きましょう。顔を合わせておくと、その後の電話やメールのやり取りがスムーズになります。
帰省のたびに、ケアマネジャー、近所の方、民生委員への挨拶を予定に入れましょう。お菓子を一つ持っていくだけで、関係づくりがぐっと進みます。自分の連絡先を書いたメモを渡しておくと安心です。
使える制度
遠距離介護をしている方が使える制度をまとめます。
仕事を休むための制度
- 介護休業: 家族の介護のために、最大93日間仕事を休めます。お給料の67%が支給されます
- 介護休暇: 年に5日(家族が2人以上なら10日)、時間単位でも取れます
交通費を抑える方法
- 航空会社の介護帰省割引: JALやANAなどが、介護のための帰省用割引運賃を用意しています。事前に登録が必要です
- 各航空会社のウェブサイトで「介護割引」と検索してみてください
お住まいの自治体の支援
- 緊急通報システム: ボタン一つで助けを呼べる端末を貸してもらえる場合があります
- 配食サービス: 食事を届けてもらいながら、安否確認もしてもらえます
- 自治体によっては交通費の助成がある場合もあります
お住まいの自治体や親御さんの地域の地域包括支援センターに問い合わせてみてください。
OTの視点で考える遠距離介護
OT(作業療法士)は、遠距離介護のサポートもできます。
- 帰省時のチェックポイントのアドバイス: 何を見ればよいか教えてくれます
- 家の環境改善の提案: 手すりの設置や段差の解消など、帰省時にできる改善を提案してくれます
- 遠隔での助言: ビデオ通話や写真を使って、離れた場所からもアドバイスをもらえる場合があります
- 地域の専門家との連携: ケアマネジャーと一緒に親御さんの生活を見守ってくれます
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。