この記事のポイント
- デイケアは「リハビリ」が目的、デイサービスは「日常生活の支援と交流」が目的
- 作業療法士が配置されているのは主にデイケア(通所リハビリテーション)
- ご本人の状態と目的に合わせて選ぶことが大切。併用も可能
「デイケア」と「デイサービス」── 何が違うの?
通所系サービスの中でも、デイケア(通所リハビリテーション)とデイサービス(通所介護)は名称が似ているため、利用者や家族から「何が違うのですか?」と質問されることが多いサービスです。
両者の最大の違いは「目的」にあります。
| 項目 | デイケア(通所リハビリ) | デイサービス(通所介護) |
|---|---|---|
| 正式名称 | 通所リハビリテーション | 通所介護 |
| 目的 | 心身の機能回復・維持 | 日常生活の支援と社会交流 |
| 根拠法 | 介護保険法 | 介護保険法 |
| 医師の指示 | 必要 | 不要 |
| 運営母体 | 病院・診療所・老健 | 社会福祉法人・民間企業等 |
「デイケアとデイサービス、どっちがいいの?」と迷う方はとても多いです。名前が似ていますが、目的がまったく違います。
- デイケア = リハビリをしに行く場所
- デイサービス = 日常生活の支援と交流をしに行く場所
簡単に言えば、「体の機能を回復・維持したい」ならデイケア、「楽しく過ごしたい・交流したい」ならデイサービスです。
スタッフの違い ── 作業療法士がいるのはどっち?
デイケアの人員配置基準
- 医師: 常勤1名以上(必須)
- 理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST): 利用者100人に対し1名以上(必須)
- 看護職員: 配置基準あり
- 介護職員: 配置基準あり
デイサービスの人員配置基準
- 管理者
- 生活相談員
- 看護職員
- 介護職員
- 機能訓練指導員: 1名以上(PT・OT・ST・看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師等)
デイサービスの機能訓練指導員にOTが配置されているケースもありますが、看護師や柔道整復師が兼務していることが多いのが実情です。リハビリ専門職が確実に配置されているのはデイケアです。
デイケアには
- お医者さんがいます(必須)
- リハビリの専門家(作業療法士・理学療法士など)がいます(必須)
- 看護師・介護スタッフもいます
デイサービスには
- 介護スタッフが中心です
- 機能訓練指導員がいますが、看護師が兼任していることも多いです
- 作業療法士がいるデイサービスもありますが、必ずいるとは限りません
「リハビリをしっかりやりたい」なら、作業療法士がいるデイケアがおすすめです。
プログラムの違い
デイケアの典型的なプログラム
- 個別リハビリ: OT・PTによる1対1のリハビリ(20分〜40分/回)
- 集団リハビリ: 体操、レクリエーション的活動を通じた機能訓練
- リハビリテーション計画: 医師の指示のもと、個別のリハビリ計画を作成
- 日常生活動作訓練: 入浴・食事・排泄などの動作訓練
- 短時間型: 1〜2時間のリハビリ特化型も増えている
デイサービスの典型的なプログラム
- 入浴支援: 自宅での入浴が困難な方への入浴サービス
- 食事の提供: 栄養バランスのとれた昼食
- レクリエーション: ゲーム、カラオケ、手工芸、外出行事など
- 体操・軽運動: 機能訓練指導員による集団体操
- 社会交流: 利用者同士のコミュニケーション
デイケアでは
- 個別リハビリ: 専門家が1対1で体の機能回復を支援します
- 日常動作の練習: お風呂・トイレ・着替えなどの練習もできます
- 短時間型: 1〜2時間のリハビリだけの利用もできます
デイサービスでは
- お風呂: 自宅で入浴が難しい方に入浴サービスを提供します
- 食事: 栄養バランスのとれた昼食が出ます
- レクリエーション: ゲーム、カラオケ、手工芸など楽しい活動があります
- 交流: 他の利用者やスタッフとの会話が楽しめます
費用の違い
両サービスとも介護保険の対象であり、自己負担は1〜3割です。
一般的に、デイケアのほうがやや高額です。これは医師の配置やリハビリ専門職の人件費が反映されているためです。
ただし、利用時間や加算の有無によって費用は大きく変わるため、具体的な金額はケアマネジャーに確認することをお勧めします。
主な費用に影響する要素
- 要介護度: 要介護度が高いほど基本報酬が高い
- 利用時間: 長時間利用ほど高くなる
- 加算: 個別リハビリ加算、入浴加算、栄養改善加算など
どちらも介護保険で利用でき、自己負担は1〜3割です。
- デイケアのほうがやや高め: お医者さんやリハビリ専門家がいるため
- デイサービスのほうがやや安め: 一般的な利用ではデイケアより費用が抑えられます
具体的な金額は、要介護度や利用時間によって変わります。ケアマネジャーに「月にいくらくらいかかりますか?」と聞いてみてください。
どちらを選ぶ? ── 選び方のポイント
デイケアが適しているケース
- 退院直後で、身体機能の回復・維持が必要な場合
- 脳卒中後の麻痺や高次脳機能障害に対するリハビリが必要な場合
- 骨折後の歩行訓練や日常生活動作の再獲得が必要な場合
- 認知症の進行予防・BPSD対応のためのリハビリが必要な場合
- 在宅復帰後のリハビリ継続が主目的の場合
デイサービスが適しているケース
- 自宅での入浴が困難で、入浴サービスを利用したい場合
- 社会的孤立の防止が主目的の場合
- 家族の介護負担軽減(レスパイト)が主目的の場合
- 日中の見守りが必要な場合
- 身体機能は比較的安定しており、維持・交流が中心の場合
併用という選択肢
デイケアとデイサービスは併用が可能です。例えば、週2回デイケアでリハビリ、週1回デイサービスで入浴と交流、という組み合わせができます。
デイケアがおすすめの方
- 退院したばかりで、リハビリを続けたい
- 体の機能を回復・維持したい(歩く力、手の動きなど)
- 専門家にしっかり見てもらいたい
デイサービスがおすすめの方
- 自宅でお風呂に入るのが大変
- 人と交流したい、外に出る機会がほしい
- 日中、一人にしておくのが心配
両方使うこともできます
デイケアとデイサービスは一緒に使えます。たとえば、週2回デイケアでリハビリ、週1回デイサービスでお風呂と交流、という使い方もできます。ケアマネジャーに相談してみてください。
パンフレットだけではわからないことが、見学するとよくわかります。見学のときにチェックしたいポイントは、(1)スタッフの利用者への接し方 (2)利用者の表情(楽しそうか) (3)施設の清潔さ (4)リハビリの内容と時間 (5)送迎の範囲。「見学したい」とケアマネジャーに伝えれば、手配してもらえます。
ヒント
「リハビリを受けたいけど、デイケアは遠くて通えない」という場合は、訪問リハビリテーションという選択肢もあります。作業療法士や理学療法士がご自宅に来てリハビリを行うサービスです。ケアマネジャーに相談してみてください。
デイケアとデイサービスの違いを正確に説明できることは、OTとして基本的な知識です。クライエントと家族がそれぞれの特徴を理解し、目的に合ったサービスを選択できるよう支援することが、在宅生活の質を高めることにつながります。
デイケアとデイサービスの選び方 ― まとめ
- デイケアは「リハビリ」が目的、デイサービスは「生活支援と交流」が目的です
- 作業療法士が確実に配置されているのはデイケア(通所リハビリ)です
- 退院後のリハビリ継続にはデイケア、入浴や交流にはデイサービスが向いています
- 両方を併用することもできます。ケアマネジャーに相談してみましょう
- 迷ったら見学に行くのが一番。スタッフの対応や利用者の表情を確認してください
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
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