この記事のポイント
- 退院は突然言われることが多いが、病院のソーシャルワーカーに相談すれば段取りがわかる
- 介護保険の申請・ケアマネジャー選び・住宅改修・福祉用具の手配が主な準備項目
- 退院前カンファレンスに参加し、退院後の生活の不安を具体的に伝えることが大切
「退院です」── その瞬間から始まること
「退院です」と言われて、嬉しい反面、不安でいっぱいになっていませんか。
「家に帰ってきて大丈夫なの?」「何を準備すればいいの?」「介護保険って何?」── やることがたくさんあって混乱するのは当然です。
でも大丈夫です。一つずつ順番に進めていけば、必ず準備は整います。そして、あなた一人で全部やる必要はありません。病院にも地域にも、助けてくれる人がいます。
まず相談すべき人 ── ソーシャルワーカー
最初に相談すべきは、病院のソーシャルワーカー(相談員)です。
ソーシャルワーカーは、退院に関するあらゆることを相談できる頼れる存在です。
- 介護保険の申請のこと
- ケアマネジャーの紹介
- 退院後に使えるサービスの情報
- お金のこと(医療費の減額制度など)
「何から始めればいいかわかりません」と正直に伝えれば、一緒に段取りを考えてくれます。
退院準備やることリスト
入院中にすぐ始めること
- 1ソーシャルワーカーに相談する
- 2介護保険の申請をする(まだの場合)
- 3ケアマネジャーを選ぶ
- 4退院後の生活についてリハビリスタッフに質問する
退院1〜2週間前
- 5退院前カンファレンスに参加する
- 6自宅の環境を確認する(段差・手すり・トイレ)
- 7必要な福祉用具を手配する
- 8退院後のサービス(デイケア・訪問リハビリなど)を申し込む
退院数日前
- 9退院日の迎えの段取りを決める
- 10自宅の受け入れ準備(ベッド、手すりなどの設置)
- 11退院後の服薬スケジュールを確認する
- 12通院の予定を確認する
退院当日
- 13入院費の精算
- 14薬・診断書・紹介状を受け取る
- 15退院後の注意点を再確認する
- 16自宅での生活を開始する
介護保険の申請
介護保険って何?
介護保険は、介護が必要になったとき、サービスを1〜3割の自己負担で利用できる制度です。
申請はどうするの?
- 市区町村の窓口に申請書を出します(ソーシャルワーカーが手伝ってくれます)
- 調査員が来て、ご本人の状態を確認します(入院中でも病院で受けられます)
- 申請から約1か月で結果が届きます
- 結果が出る前でも、仮のプランでサービスを使い始められます
申請は早ければ早いほどよいです。退院が決まったら、すぐにソーシャルワーカーに相談しましょう。
ケアマネジャーの選び方
ケアマネジャーは、退院後の介護の「相談窓口」になる大切な存在です。
選ぶときのポイント
- 自宅の近くにある事業所: 何かあったときにすぐ対応してもらえます
- 話しやすい人: 相性は大事です。「この人には相談しにくい」と感じたら変更もできます
- 連絡がとりやすい: 困ったときにすぐ連絡がつくかどうか
ソーシャルワーカーに「ケアマネジャーを紹介してほしい」と言えば、候補を教えてもらえます。
住宅改修と福祉用具
退院後に安全に暮らすために、家の中を整えることが大切です。
手すりや段差の解消
介護保険を使って、最大20万円分(自己負担1〜3割)の工事ができます。
- 手すりの取り付け: トイレ、お風呂、玄関、廊下など
- 段差の解消: つまずきやすい場所をなくす
- 滑り止め: 床材を滑りにくいものに変える
介護ベッドや車いすのレンタル
- 介護ベッド: 月額数百円〜のレンタルが可能
- 車いす: 外出用・室内用をレンタルできます
- シャワーチェア: お風呂用の椅子(購入補助あり)
退院前に、リハビリの担当者(OT)に「家のどこを直せばいいですか?」と聞いてみてください。具体的にアドバイスしてもらえます。
退院前に、以下の場所を写真に撮っておくと、リハビリスタッフに相談しやすくなります。(1)玄関の上がり框(段差) (2)トイレ(広さ、便器の形) (3)お風呂(浴槽の高さ、脱衣所の広さ) (4)寝室からトイレまでの動線 (5)廊下の幅。スマホで撮影して見せるだけでOKです。
退院前カンファレンス
退院前に、病院のスタッフと退院後のサービス担当者が集まる「退院前カンファレンス」があります。
ここで伝えてほしいこと
- 退院後の生活の不安: 「トイレ介助が不安です」「一人で留守番させて大丈夫ですか」
- 家の状況: 「2階に寝室があります」「お風呂に手すりがありません」
- 家族の介護力: 「日中は仕事で不在です」「腰痛があって介助が難しいです」
ここで聞いておきたいこと
- 「退院後、気をつけることは何ですか?」
- 「どのくらい動いていいですか?」
- 「こんなときはどうすればいいですか?」(転んだとき、熱が出たとき等)
- 「次の外来はいつですか?」
ヒント
退院後に困ったことがあれば、まずケアマネジャーに連絡してください。「こんなことで電話していいのかな」と遠慮する必要はありません。ケアマネジャーは、あなたとご本人の生活を支えるための存在です。
退院準備のポイント ― まとめ
- 退院が決まったら、まず病院のソーシャルワーカーに相談しましょう
- 介護保険の申請は早めに。結果が出る前でもサービスを使い始められます
- ケアマネジャーは退院後の生活の相談窓口。話しやすい人を選びましょう
- 住宅改修(手すり・段差解消)と福祉用具(介護ベッド等)の準備を忘れずに
- 退院前カンファレンスでは、不安なことを具体的に伝えてください
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
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