この記事のポイント
- ボランティア活動に参加する高齢者は、健康状態などを調整したうえでも死亡リスクが約22〜24%低いというメタアナリシスがあります(Okun ら, 2013年)
- 「誰かの役に立っている」という実感が、心身の健康と生きがいにつながります
- 体力に合った活動を選び、無理のないペースで続けることが大切です
「役に立つ」は最良の健康法
「年をとったら無理をしないで、おとなしく過ごすのが一番」。そう思っていませんか。
これまでの研究をまとめた分析では、ボランティア活動に参加している高齢者は、参加していない方に比べて長生きし、気分の落ち込みも少ない傾向が報告されています(Jenkinson et al., 2013年ほか)。ただし、これらは「参加した人としなかった人を後から比べた」研究がほとんどで、もともと元気な人ほど参加しやすいという面も否定できません。それでも、「誰かの役に立っている」という実感が心身によい影響を与えることは、多くの研究が一致して示しています。
ボランティアと健康のエビデンス
ボランティア活動が健康に良いことは、研究でも確かめられています。
- 長生きにつながる: ボランティアをしている高齢者は、していない方と比べて亡くなるリスクが約2割低いと報告されています
- 気分が安定する: うつ症状が減り、幸福感が高まる
- 孤立を防ぐ: 人とのつながりができ、孤独感が減る
- 体を動かす機会が増える: 外出する理由ができ、身体活動量が増える
- 頭を使う機会が増える: 新しい環境での活動が脳への刺激になる
ヒント
もちろん、無理をして体調を崩しては本末転倒です。体力に合った活動を、楽しみながら続けることが大切です。
始め方 ── 最初の一歩
ボランティアを始めるには、まず情報を集めることから始めましょう。
- 社会福祉協議会: お住まいの市区町村にあります。ボランティアの紹介やマッチングをしてくれます
- 地域包括支援センター: 高齢者向けの活動情報が豊富です
- 市区町村の広報誌: ボランティア募集情報が載っています
- 知り合いからの紹介: 既にボランティアをしている友人・知人に誘ってもらうのも良い方法です
いきなり申し込むのではなく、「見学させてください」と気軽に訪問してみましょう。雰囲気が合うかどうかを確認してから始めると、長続きしやすくなります。
体力に合った活動の選び方
体力に合った活動を選ぶことが、無理なく続けるコツです。
座ったままできる活動:
- 電話での相談員
- 高齢者の話し相手(傾聴ボランティア)
- 手紙の代筆
少し動ける方向け:
- 図書館の整理
- 登下校時の子どもの見守り
- 施設の受付
元気に動ける方向け:
- 公園や道路の清掃
- お弁当の配達
- イベントのお手伝い
ヒント
通いやすさも大切です。自宅から近い場所、バスや電車で行きやすい場所を選びましょう。遠い場所だと、天候や体調によって行けなくなることがあります。
社会的処方という考え方
イギリスでは、お医者さんが薬の代わりに「地域の活動への参加」を処方する取り組みが広がっています。これを「社会的処方」と呼びます。
孤立している方に「地域のサロンに行ってみませんか」、運動不足の方に「公園のウォーキンググループに参加してみませんか」と勧めるのです。日本でもこの考え方が少しずつ広まっています。
作業療法士は、その方に合った活動を一緒に見つけるお手伝いができます。
ボランティアを続けるコツ
ボランティアを長く楽しく続けるためのコツをお伝えします。
- 義務にしない: 「行かなければ」ではなく「行きたいから行く」の気持ちを大切に
- 休んでもいい: 体調が悪いとき、気分が乗らないときは休んでOK
- 合わなければ変えていい: 雰囲気や人間関係が合わなければ、別の場所を探しましょう
- 家族に話す: 活動で経験したことを家族に話すと、やりがいが増します
ボランティアの最大のご褒美は、「ありがとう」と言ってもらえることです。人とのあたたかい関わりが心身によい影響を与えることは知られていますが、「感謝されるとオキシトシンが出て健康になる」といった仕組みまでは、まだはっきり解明されていません。難しく考えず、うれしいと感じられることを続けるのがいちばんです。
ボランティア活動を始めるためのポイント
- ボランティア活動をしている高齢者は、そうでない方より長生きで気分の落ち込みも少ない傾向が報告されています
- 「誰かの役に立つ」実感が、生きがいと自己効力感を高めます
- 体力に合った活動を選び、無理のないペースで続けましょう
- 社会福祉協議会や地域包括支援センターで、活動の情報を得られます
- 楽しめることが最も大切。義務感を感じたら、ペースや活動内容を見直しましょう
- Okun MA, Yeung EW, Brown S. Volunteering by older adults and risk of mortality: a meta-analysis. Psychology and Aging 28(2), 564-577(2013年)
- Jenkinson CE, et al. Is volunteering a public health intervention? A systematic review and meta-analysis of the health and survival of volunteers. BMC Public Health 13, 773(2013年)
- Sneed RS, Cohen S. A prospective study of volunteerism and hypertension risk in older adults. Psychology and Aging 28(2), 578-586(2013年)
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
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