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「食べない」「偏食がひどい」── お子さんの食事で困っているご家族へ

お子さんの偏食や食べないことに悩んでいませんか?感覚の特性や口の機能が関係していることがあります。作業療法士の視点から、家庭でできる工夫をわかりやすくお伝えします。

📅 2026年6月3日 更新読了目安 18分

この記事のポイント

  • 子どもの偏食には「感覚過敏」「口腔機能の未発達」「食経験の不足」など、さまざまな背景がある
  • 作業療法士は食事場面を総合的に評価し、段階的に食の幅を広げるアプローチを行う
  • 無理に食べさせるのは逆効果。家庭での環境調整と小さな成功体験の積み重ねが大切

「好き嫌い」で片づけられない子どもの食事の問題

「野菜をまったく食べない」「白いものしか食べない」「特定のメーカーのものしか受け付けない」。お子さんの食事のことで、毎日悩んでいませんか。

お子さんの偏食は、単なる「わがまま」ではないことがあります。感覚の特性口の機能の発達が関係していることも多いのです。

作業療法士(OT)は、「食べること」を日常生活の大切な活動として捉え、食事場面全体を見ながらサポートする専門家です。

偏食の背景にある3つの要因

1. 感覚過敏・感覚の特性

食事に関わる感覚は、思っている以上にたくさんあります。

  • 食感: ぬるぬる・ざらざら・つぶつぶが苦手で、口に入れると吐き出す
  • におい: 特定のにおいに強く反応し、近づけない
  • : 苦味や酸味を強く感じてしまい、野菜を受け付けない
  • 見た目: 食べ物の色が変わると食べない。混ざった料理が苦手
  • 噛む感覚: 硬いものや弾力のあるものをうまく噛めない

こうした感覚の特性は外からは見えにくいため、周囲から「わがまま」と思われがちです。でも、お子さんは本当につらいのです。

2. 口腔機能の未発達

食べるという動作は、実は舌・あご・唇・頬が連携した複雑な動きです。

  • 舌の動きが未熟で、食べ物をうまく噛む位置に移動させられない
  • 噛む力が弱く、硬いものが食べにくい
  • 口をうまく閉じられず、食べこぼしが多い

これらは成長とともに改善することも多いですが、お子さんの「食べにくさ」の原因になっていることがあります。

3. 食経験の不足

新しい食べ物を受け入れるには、何度も出会う経験が必要です。研究では、10〜15回以上目にしたり触れたりして、ようやく食べてみようと思えるとされています。

感覚が敏感なお子さんは新しいものを拒否しやすく、食べる種類が限られたままになりがちです。「食べない → 経験が増えない → さらに食べない」という悪循環に陥ってしまうのです。

作業療法士による食事の評価

OTはお子さんの食事場面を、さまざまな角度から見ていきます。

  • 感覚の特性: どんな食感・におい・味が苦手かを調べる
  • 口の機能: 噛む力や舌の動き、飲み込みの様子を観察する
  • 姿勢: 食事中の座り方、椅子とテーブルの高さが合っているか
  • 道具の使い方: スプーンやフォーク、箸をうまく使えているか
  • 食事の環境: 食べる場所の雰囲気、テレビの有無、食器の種類

「食べない」の原因は一つではないことが多いので、いろいろな面から確認することが大切です。

段階的な食の広げ方 ── SOS(Sequential Oral Sensory)アプローチ

食べられるものを増やすには、小さなステップを踏むことが大切です。

1

そばにある

  1. 1食卓に新しい食べ物が置いてあるだけでOK
  2. 2食べなくていい。見慣れることが第一歩
2

触ってみる

  1. 3手で触る、スプーンでつつく
  2. 4「どんな感じかな?」と一緒に観察
3

においを嗅ぐ

  1. 5鼻に近づけてみる
  2. 6「どんなにおい?」と会話のきっかけに
4

唇につける

  1. 7ちょんと唇に触れるだけ
  2. 8ここまでできたら大きな進歩
5

なめてみる

  1. 9舌先でちょっとだけ
  2. 10味を確認するだけでOK
6

噛んでみる

  1. 11一口かじる。吐き出してもOK
  2. 12「噛めたね」と認める
7

食べる

  1. 13小さな一口から
  2. 14焦らず、少しずつ

どのステップでも「嫌」と言えることが大切です。無理に食べさせると、食事そのものが嫌いになってしまいます。

注意

「あと一口だけ」「食べないとデザートなし」などの声かけは、食事を「罰と報酬」の場にしてしまいます。食事は本来楽しいもの。お子さんが「食べられた」と感じる体験を積み重ねることが、長い目で見て食の幅を広げます。

家庭でできる工夫

ご家庭でできること
  1. 足底接地: 足がぶらぶらしていると噛む力が出にくくなります。足台を使って足裏がしっかりつく高さに調整しましょう。
  2. 食器選び: 深すぎない皿、すくいやすいスプーン、滑り止めマットがあると食べやすくなります。
  3. 量を少なく: 最初は「これだけ?」と思うくらい少量を盛りましょう。完食できた達成感が大切です。
  4. テレビを消す: 食事に集中できる環境をつくりましょう。感覚が敏感なお子さんは特に刺激を減らすことが助けになります。
  5. 一緒に調理: 食材を洗う、ちぎる、混ぜるなどの「調理への参加」が、食べ物への親しみにつながります。

感覚が敏感なお子さんへの工夫

  • 食感が苦手なら、ゆで加減や切り方を変えてみる
  • においが苦手なら、少し冷ましてから出す(においが弱まります)
  • 混ざった料理が苦手なら、食材を分けて盛りつける
  • 新しい食べ物は、好きなものの隣に少しだけ添える

姿勢のチェックポイント

お子さんの食事中の姿勢を確認してみてください。足がぶらぶらしていませんか? 足が床や足台にしっかりついていると、体が安定して噛む力が出やすくなります。椅子に座ったとき、ひざが90度に曲がる高さが目安です。

専門家への相談のタイミング

以下のような状態が続く場合は、かかりつけの小児科に相談してみてください。

  • 食べられるものが極端に少ない(10種類以下)
  • 体重が増えない、成長曲線から外れている
  • 食事のたびに激しく嫌がる・えずく
  • 同じ食感のものしか食べない状態が何か月も続く

小児科から、OTや言語聴覚士(ST)、管理栄養士につないでもらえることがあります。


ポイント

免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。

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