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路上生活からの再出発 ── 支援の実際と作業療法の役割

ホームレス状態にある方々への支援において、作業療法士がどのような役割を果たしているのかをわかりやすく解説します。住居の確保から日常生活の立て直し、就労準備まで。

📅 2026年8月30日 公開読了目安 17分

この記事のポイント

  • ホームレス状態は「作業剥奪」──住居・仕事・人間関係など、意味ある活動のすべてが奪われた状態です
  • 作業療法士はADLの回復、社会資源への接続、就労準備を通じて「暮らしの再構築」を支援します
  • 英国・豪州など海外ではホームレス支援におけるOTの役割が確立されつつあり、日本での展開が期待されます

「作業」を奪われるということ

ホームレス状態にあるということは、住む場所がないだけではありません。入浴、食事、仕事、趣味、人とのつながり──日常生活のほぼすべてが失われている状態です。

作業療法の世界では、このような状態を「作業剥奪(さぎょうはくだつ)」と呼びます。作業療法士(OT)は、この状態から一つずつ「暮らし」を取り戻すお手伝いをする専門家です。

ホームレスに至る背景を理解する

ホームレス状態になる背景はさまざまです。

  • 仕事を失った: リストラや病気で働けなくなった
  • 住む場所を失った: 保証人がいない、家賃が払えなくなった
  • 家族との関係が断たれた: 頼れる人がいなくなった
  • 心の病気や依存症: 統合失調症やアルコール依存症などが未治療のままだった

これらが重なり合って、「一つの不幸が次の不幸を呼ぶ」悪循環に陥ってしまうのです。ホームレス状態は「自己責任」ではなく、適切な支援があれば回復できます。

OTの介入 ── 暮らしの再構築

OTはホームレス状態にある方の支援を、段階的に行います。

まずは信頼関係から

支援の第一歩は、「この人は信頼できる」と思ってもらうことです。OTは炊き出しや巡回活動に参加して、まずは顔を覚えてもらうところから始めます。

日常生活を取り戻す

住む場所が確保できたら、基本的な生活を立て直していきます。

  • 入浴や洗濯の習慣を取り戻す
  • 食事の準備を練習する
  • 生活リズムを整える
  • お金の管理を練習する

必要な支援につなげる

  • 病気の治療が必要な場合は医療機関につなげます
  • 生活保護障害福祉サービスの手続きをサポートします
  • 地域の居場所やサロンへの参加を促します

働く準備をする

生活が安定してきたら、働くための準備を始めます。時間を守る練習、身だしなみを整えること、人とのコミュニケーションの練習などを行い、就労支援機関と連携して仕事探しをサポートします。

ご家庭でできること

ホームレス状態にある方やそのご家族は、お住まいの地域の福祉事務所や、よりそいホットライン(0120-279-338、24時間無料)に相談できます。

海外の実践例に学ぶ

海外では、ホームレス支援にOTが積極的に関わっています。

  • イギリス: 医療制度の中にホームレス支援チームが組み込まれ、OTが配置されています
  • オーストラリア: OTの専門団体がホームレス支援の役割を公式に認めています
  • アメリカ・カナダ: OTの新しい活動領域として注目されています

日本でもこうした取り組みが広がることが期待されています。

日本における課題と展望

日本では、ホームレス支援にOTが関わる機会はまだ少ないのが現状です。しかし、OTの「日常生活を取り戻す」という専門性は、ホームレス支援にとても役立つものです。

今後は、生活困窮者自立支援法に基づく支援の中でOTが活躍する場面が増えていくことが期待されています。


ポイント

この記事のポイント ── まとめ

  • ホームレス状態は住む場所だけでなく、日常生活のほぼすべてが失われた状態です
  • OTはまず信頼関係を築き、日常生活の立て直しから段階的に支援します
  • 医療機関や福祉サービスなど、必要な支援につなげるお手伝いもします
  • 生活が安定したら、働くための準備も段階的にサポートします
  • 困ったときは福祉事務所やよりそいホットライン(0120-279-338)に相談できます

免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。

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