この記事のポイント
- 9月25日は日本作業療法士協会が定めた「作業療法の日」。1966年9月25日に協会が設立された記念日に由来する
- 作業療法の社会的認知はまだ低く、「何をする人かわからない」という声が多い
- 認知を高めるために、OT一人ひとりが「伝える力」を磨くことが大切
「作業療法の日」を知っていますか
9月25日は「作業療法の日」です。1966年(昭和41年)9月25日に日本作業療法士協会が設立されたことに由来し、作業療法士について多くの方に知ってもらうことを目的に制定されました(出典: 日本作業療法士協会)。毎年9月25日前後には、協会と各都道府県士会の共催で全国各地の関連イベントが開かれています。
しかし、正直に言えば「作業療法の日」の認知度は、OT自身の間でも高いとは言えません。さらに一般市民に至っては、作業療法という職業そのものを知らない方が多いのが現状です。
一般市民542名を対象とした街頭調査では、「リハビリテーション」という言葉は認識されつつある一方で、「作業療法」という言葉やその内容についての認識は低いことが報告されています(出典: 澤田ら, 学術誌「作業療法」30巻2号, 2011)。「リハビリの先生」とひとくくりにされ、PTとの違いまで理解されている場面は多くありません。
9月25日は「作業療法の日」です。1966年9月25日に日本作業療法士協会が設立された日を記念して定められました。
作業療法士(OT)は、病院やリハビリ施設、地域で活躍する専門家ですが、「何をする人なのかよく知らない」という方がまだまだ多いのが実情です。
この記事では、OTの仕事内容と、どんなときにOTに頼れるのかをわかりやすくお伝えします。
作業療法とは何か ── あらためて
作業療法の定義について、日本作業療法士協会は「作業に焦点を当てた治療、指導、援助」としています。ここでいう「作業」とは、食事、入浴、仕事、趣味、社会参加など、人が生活の中で行うすべての活動を指します。
作業療法の社会的認知が低い原因の一つは、この「作業」という言葉の曖昧さにあります。一般的に「作業」と聞くと工場の作業を連想する方が多く、OTの本質が伝わりにくいのです。
OTは以下のような場面で専門性を発揮します。
- 身体障害領域: 脳卒中後の生活動作の再獲得、自助具の選定
- 精神障害領域: メンタルヘルスの回復、社会参加の支援
- 発達障害領域: 子どもの感覚統合、学校生活への適応支援
- 老年期障害領域: 認知症ケア、介護予防、住環境整備
- 地域リハビリテーション: 介護予防教室、就労支援
作業療法の「作業」とは、工場の作業のことではありません。食事、入浴、着替え、仕事、趣味、社会参加など、人が日常で行うすべての活動のことです。
OTは、病気やケガ、障害、加齢などで日常生活が難しくなった方を、活動を通じてサポートする専門家です。
- 体の回復: 脳卒中後に着替えや食事ができるよう練習する
- 心の回復: うつ病の方が少しずつ生活リズムを取り戻す支援
- 子どもの発達: 手先が不器用なお子さんの支援
- 高齢者の生活: 認知症の方が安心して暮らせる環境づくり
- 住まいの工夫: 手すりの設置やバリアフリー化のアドバイス
なぜ認知度が低いのか
OTの社会的認知が低い背景には、構造的な要因があります。
「目に見えにくい」専門性
PTは「歩けるようにする人」というわかりやすいイメージがあります。一方、OTの専門性は「その人らしい生活を取り戻す」という包括的なものであり、一言で説明しにくいのです。
医療機関での役割の見えにくさ
入院中のリハビリでは、患者さんから「リハビリの先生」とひとくくりにされることが多く、PTとOTの違いを説明する機会が限られています。
OT自身の発信力不足
多くのOTは臨床に専念し、社会への情報発信を積極的に行ってこなかったという反省もあります。SNSやメディアを通じた発信が、PTに比べて少ないのが現状です。
OTの知名度が低い理由の一つは、仕事の内容が幅広すぎて一言で説明しにくいことにあります。
理学療法士(PT)は「歩けるようにする人」とイメージしやすいのですが、OTは「生活全般をサポートする人」なので、具体的な場面が想像しにくいのです。
しかし、OTは退院後の生活、家事、仕事復帰、趣味の再開など、暮らしに密着した支援を行う、とても身近な専門家です。
認知を高めるためにOTができること
自分の仕事を「わかりやすく」説明する力をつける
「作業療法とは何か」を30秒で説明できますか。エレベーターピッチのように、相手に合わせた簡潔な説明を準備しておくことが大切です。
- 患者さんの家族には: 「退院後の生活がスムーズにできるようサポートする専門家です」
- 一般の方には: 「病気やケガで日常生活が難しくなったとき、その人らしい暮らしを取り戻す手伝いをする人です」
- 他職種には: 「活動と参加を通じて健康と幸福を促進する医療専門職です」
SNSやブログでの情報発信
臨床で得た知見を(個人情報に配慮しつつ)社会に発信することは、OTの存在を知ってもらう有効な手段です。
地域活動への参加
介護予防教室、健康講座、学校での出張授業など、地域で「作業療法士」の名前を使って活動することが認知向上につながります。
「作業療法の日」を活用したイベント
9月25日前後に、施設や地域でOTの仕事を紹介するイベントを企画することも一つの方法です。体験型のワークショップは特に効果的です。
OTの仕事をもっと知ってもらうために、さまざまな取り組みが行われています。
- 地域の健康教室: 介護予防や生活の工夫をOTが教える教室
- 学校での出張授業: 子どもたちに「作業療法士」という職業を知ってもらう
- SNSでの情報発信: OTが専門知識をわかりやすく伝える
もしリハビリを受ける機会があれば、OTの仕事内容に注目してみてください。「暮らし全体を見てくれる」専門家がいることを、周りの方にも教えてあげてください。
OTに相談できること
「作業療法の日」を機に、OTに相談できることを整理しておきます。一般の方に知ってもらいたい、OTの相談領域です。
- 退院後の生活で困っていること
- 介護の負担を減らしたい
- 子どもの発達が気になる
- 仕事に復帰したいが不安がある
- 趣味や楽しみが失われた
- 家の中で転倒が心配
- 認知症の家族への対応に困っている
OTは医療機関だけでなく、地域包括支援センター、児童発達支援事業所、就労支援施設など、さまざまな場所で相談を受けています。
OTはこんなときに相談できます。
- 退院後の生活で困っていること
- 介護の負担を減らしたい
- 子どもの発達が気になる
- 仕事に復帰したいが不安がある
- 趣味や楽しみが減ってしまった
- 家の中での転倒が心配
- 認知症の家族への対応に困っている
お近くの病院、リハビリ施設、地域包括支援センターに問い合わせると、OTに相談できます。
病院やリハビリ施設で「作業療法士に相談したい」と伝えると、対応してもらえます。何をする人かわからなくても大丈夫。「生活で困っていること」を伝えれば、OTが一緒に解決策を考えます。
「作業療法の日」は、私たちOTが自分の専門性と社会的使命をあらためて見つめ直す日です。一人ひとりのOTが「伝える力」を磨き、作業療法の価値を社会に届けていくことが、この記念日の意義を高めることにつながります。
「作業療法の日」に知ってほしいこと
- 9月25日は「作業療法の日」。1966年9月25日の日本作業療法士協会設立を記念した日です
- OTは食事・入浴・仕事・趣味など「暮らし全体」をサポートする専門家です
- 病気やケガだけでなく、子どもの発達や認知症ケアなど幅広い分野で活躍しています
- 退院後の生活の困りごとは、OTに相談してみてください
- OTの仕事をもっと多くの方に知ってもらうことが、より良い社会づくりにつながります
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
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