この記事のポイント
- きょうだい児は「寂しさ」「罪悪感」「将来へのプレッシャー」を抱えやすいが、自分から言い出せないことが多い
- 年齢によって反応が異なるため、発達段階に合わせた配慮が必要です
- 「きょうだいだけの時間」を意識的に作ることが、最も効果的な支援の一つです
見落とされがちな「きょうだい」の存在
障害のあるお子さんの兄弟姉妹のことを、「きょうだい児」と呼びます。
障害のあるお子さんのケアに時間とエネルギーを注いでいるうちに、きょうだいの気持ちに気づけなくなってしまうことがあります。きょうだい児は「忘れられた家族」と呼ばれることもあるほど、支援の手が届きにくい存在です。
でも、気づいた今からでも遅くありません。この記事では、きょうだい児が抱えやすい気持ちと、親御さんができる配慮についてお伝えします。
きょうだい児が抱えやすい感情
きょうだい児が心の中に抱えやすい気持ちを知っておきましょう。お子さん自身も、これらの気持ちをうまく言葉にできないことが多いです。
- 寂しさ: 「お母さん(お父さん)はいつもあの子のところにいる」「自分は後回し」と感じている
- 罪悪感: 「自分は元気なのに申し訳ない」「きょうだいの障害は自分のせいかも」と思ってしまう
- プレッシャー: 「自分はしっかりしないと」「迷惑をかけちゃいけない」と「良い子」を演じてしまう
- 怒り: きょうだいへの怒りを感じ、そう思う自分を責めてしまう
- 孤立感: 「同じ状況の子が周りにいない」「友達に話せない」と感じている
これらの感情は自然なものです
きょうだい児がこうした感情を持つことは、決して悪いことではありません。誰でもこのような状況に置かれれば同じように感じます。大切なのは、その気持ちを「話してもいい」と感じられる環境を作ることです。
年齢別にみるきょうだい児の反応
きょうだい児の反応は、年齢によって異なります。
幼児期(3〜6歳ごろ)
- 障害のことがわからず、「自分が何かしたから?」と思うことがある
- 赤ちゃん返りをしたり、わざと困ることをして注目を引こうとする
小学生(7〜12歳ごろ)
- 少しずつ障害のことを理解するが、友達にどう説明するか悩む
- 親に心配をかけまいと「いい子」になろうとする
- 学校行事に親が来られないと寂しく感じる
中学生・高校生(13〜18歳ごろ)
- きょうだいのことを友達に言いたくない気持ちと、そう思う自分への罪悪感
- 「将来、自分がきょうだいの面倒を見なきゃいけないの?」という不安
- 進路選択への影響(「遠くの大学には行けない」など)
親ができる配慮 ── 5つのポイント
ポイント1: きょうだいだけの時間を作る
最も効果的なのは、きょうだいと親が2人だけで過ごす時間を作ることです。
- 週に1回、30分でもかまいません
- 特別なことをしなくても大丈夫です(一緒に散歩する、おやつを食べるなど)
- 「今日はあなたとの時間だよ」と伝えてあげてください
「余裕ができたら」と思っていると、なかなか時間は作れません。カレンダーに「きょうだいタイム」と書き込んで、予定として確保しましょう。短い時間でも、定期的であることが大切です。
ポイント2: 感情を否定しない
きょうだい児が怒りや寂しさを口にしたとき、その気持ちを否定しないでください。
- ×「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから我慢して」
- ×「そんなこと言わないの」
- ○「寂しかったんだね」
- ○「怒りたくなる気持ち、わかるよ」
気持ちを受け止めてもらえた経験が、お子さんの心を守ります。
ポイント3: 障害について正直に説明する
きょうだい児の年齢に合わせて、障害のことを正直に、わかりやすく伝えてください。
- 小さい子には: 「○○ちゃんは体の△△が動きにくいから、お手伝いが必要なんだよ」
- 小学生には: 障害の名前や特徴をやさしく説明する
- 中高生には: 将来の見通し(使える制度やサポートなど)も含めて話す
わからないことが不安を大きくします。「何でも聞いていいよ」と伝えてあげてください。
ポイント4: 過度な役割を担わせない
きょうだい児に介護やお世話の役割を背負わせすぎないよう気をつけましょう。
- お手伝いは年齢に合った範囲で
- 「やらなきゃダメ」ではなく「やってくれたらうれしいな」と伝える
- きょうだい自身の予定(友達との遊び、部活など)を優先してよいと伝える
ヤングケアラーに注意
きょうだいのケアを日常的に担っている子どもは「ヤングケアラー」に該当する場合があります。お子さんが自分の時間を持てているか、学校生活に支障が出ていないか、定期的に確認してください。
ポイント5: きょうだい支援の場につなぐ
同じ立場の子どもたちと出会える場があります。
- しぶたね(NPO法人しぶたね): 全国できょうだい児向けのイベントや活動を行っています
- きょうだい会: 大人になったきょうだい児のためのグループもあります
「同じ気持ちの子がいるんだ」と知るだけで、お子さんの心が軽くなることがあります。お住まいの地域で活動があるか、調べてみてください。
OTの視点からのきょうだい児支援
OT(作業療法士)は、きょうだい児の支援にも関わることができます。
- 家族全体のバランスを見る: きょうだい児が遊びや休息の時間を持てているか確認します
- きょうだいで一緒にできる活動の提案: 療育の場面にきょうだいが参加できる機会を作ります
- 家庭環境の調整: きょうだい児が「自分のスペース」を持てるよう提案します
- 親御さんへのサポート: 親御さん自身に余裕を持ってもらうための工夫を一緒に考えます
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。