本文へスキップ
作業療法.net
家族支援#家族支援#作業療法#日常生活

トイレトレーニングがうまくいかないとき ── ご家族へのヒント

トイレトレーニングが進まないと焦りますよね。発達がゆっくりなお子さんには、身体・感覚・認知の準備が必要です。作業療法士の視点から、無理のない進め方をお伝えします。

📅 2026年6月4日 更新読了目安 17分

この記事のポイント

  • トイレトレーニングには「身体」「認知」「感覚」の3つの準備が必要。発達がゆっくりな子には時間がかかって当然
  • 感覚の特性(便座の冷たさ、水の音、トイレの空間への不安)が大きな壁になっていることがある
  • 補助便座・足台・手順の視覚化などの環境調整で、お子さんが安心してトイレに向かえるようになる

「うちの子だけまだ…」と焦っていませんか

「周りの子はもうオムツが外れているのに…」。そんな焦りを感じていませんか。

排泄の自立は一般的に2〜3歳頃とされますが、これはあくまで目安です。発達がゆっくりなお子さんの場合、4〜5歳以降に完了することも珍しくありません。

作業療法士(OT)は、トイレトレーニングがうまくいかない原因を、身体・感覚・認知などいろいろな面から考える専門家です。

トイトレの前提条件 ── 3つの「準備」

1. 身体の準備

トイレが使えるようになるには、体の面でいくつかの準備が必要です。

  • おしっこをためられる: 2時間くらいオムツが濡れない
  • 便座に安定して座れる: ぐらぐらしない体の力がある
  • トイレまで歩ける
  • ズボンやパンツの上げ下げができる

意外と大事なのが、便座の上で安定して座れることです。体がぐらぐらしていると、排泄に集中できません。

2. 認知の準備

体の準備に加えて、「わかる力」の準備も必要です。

  • 「おしっこが出そう」とわかる: 体の信号に気づける
  • トイレの流れがわかる: 「トイレに行く → する → すっきり」の関係がわかる
  • 「トイレに行こう」が伝わる: 簡単な指示が理解できる

発達がゆっくりなお子さんの中には、「おしっこが出そう」という感覚に気づきにくい子もいます。これは怠けているのではなく、体の信号をキャッチする力がまだ育っていないのです。

3. 感覚の準備

トイレは、実は感覚的な刺激がとても多い場所です。

  • 便座の冷たさ・硬さがイヤ
  • 水を流す音が怖い
  • 狭い空間が不安
  • 足がぶらぶらすると不安定で怖い
  • トイレのにおいが苦手

お子さんが「トイレ、イヤ!」と言うとき、その背景には感覚的なつらさがあるのかもしれません。「わがまま」ではなく、お子さんなりの理由があるのです。

ヒント

3つの準備がすべて整っていなくても、環境調整で補えることがたくさんあります。「準備が整うまで待つ」だけでなく、「環境を整えて挑戦しやすくする」のがOTの視点です。

感覚面の課題への対応

感覚が敏感なお子さんには、こんな工夫が役立ちます。

  • 便座が冷たい・硬い → 便座カバーやクッション付き補助便座を使う
  • 水の音が怖い → お子さんがトイレから出てから流す
  • 空間が不安 → ドアを開けたままにする。好きなキャラクターのポスターを貼る
  • 足がぶらぶら足台を置いて足がつくようにする
  • 「力の入れ方」がわからない → 風船を膨らませる遊びで練習

段階的なトイトレアプローチ

焦らず、小さなステップで進めましょう。

1

トイレに慣れる

  1. 1服を着たまま、トイレの部屋に入ってみる
  2. 2トイレの絵本を読んだり、探検ごっこをしたり
2

座ってみる

  1. 3服を着たまま、補助便座に座る練習
  2. 410秒座れたら「座れたね!」と認める
3

オムツなしで座る

  1. 5オムツを外して座ってみる
  2. 6出なくてもOK。座れたことが大事
4

タイミングを合わせる

  1. 7起きた後、ご飯の後など出やすい時間に誘う
  2. 8出たら「出たね!」と一緒に喜ぶ
5

自分で教える

  1. 9「出た」と教えてくれるようになる
  2. 10「出そう」と事前に言えるようになるのはさらに先
6

一人でできる

  1. 11トイレの手順を覚えて一人でできる
  2. 12手順表を貼っておくと助けになります

それぞれのステップに1〜2週間以上かけて大丈夫です。後戻りすることもありますが、それは普通のことです。

環境調整 ── 補助便座と足台の選び方

ご家庭でできること
  1. 補助便座: お子さんのお尻のサイズに合ったものを選びましょう。ハンドル(取っ手)付きだと安心感があります。クッション付きなら触覚の敏感さにも対応できます。
  2. 足台: 膝が股関節より少し高くなる高さが理想です。足裏全体がしっかりつくことで、体が安定し、いきむ力も出やすくなります。
  3. 手順表: トイレの手順をイラストや写真で示したカードを壁に貼りましょう。「ズボンを下ろす → 座る → する → 拭く → 流す → 手を洗う」のように。
  4. タイマー: 座っている時間の目安として、砂時計やタイマーを使うと「いつまで座ればいいか」が見えて安心します。

なぜ足台が大切なの?

足がぶらぶらしていると、体が不安定で力が入りにくくなります。足台を使うと、以下のようなメリットがあります。

  • 体が安定して安心して座れる
  • お腹に力を入れやすくなる
  • トイレットペーパーを使う余裕が生まれる

100円ショップの踏み台や、牛乳パックで手作りした台でも十分です。お子さんの足裏がしっかりつく高さに調整してみてください。

後戻りしたときの対応

うまくいっていたのに、急にオムツに戻ることがあります。これは珍しいことではありません。

  • 保育園に入った
  • 引っ越した
  • きょうだいが生まれた
  • 体調を崩した

こうした変化があると、一時的に戻ることがあります。叱らないでください。「できなくなった」のではなく、「今は余裕がない」だけです。一つ前のステップに戻って、安心感を取り戻しましょう。


ポイント

免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。

関連記事