本文へスキップ
作業療法.net
家族支援#家族支援#作業療法#日常生活

移乗介助のコツ ── ベッドから車椅子への安全な移り方

ベッドから車椅子への移乗介助の手順をわかりやすく解説。片麻痺の方の場合のポイント、スライディングボードの使い方も紹介します。

📅 2026年10月6日 公開⏱ 読了目安 6分

この記事のポイント

  • 移乗介助は正しい手順を知れば、介助者の腰の負担を大幅に減らせる
  • 片麻痺の方の移乗は「健側(動くほう)を軸にする」が基本原則
  • スライディングボードなどの福祉用具を活用すれば、より安全で楽な移乗ができる

移乗介助で最も大切なこと

ベッドから車椅子への移乗介助は、毎日何度も行う動作です。正しい方法を知らないまま続けると、介助するご家族の腰を痛めてしまいます。

正しい手順を覚えれば、ご家族の体の負担を減らしながら、ご本人も安全に移動できます。

移乗介助の基本手順

準備すること

  1. 車椅子をベッドの横に斜めに置き、ブレーキをかける
  2. 車椅子のフットレスト(足置き)を上げる
  3. ご本人にベッドの端に座ってもらう(足が床につく高さ)

移乗の手順

  1. ご本人の足を肩幅に開き、足の裏をしっかり床につける
  2. 介助者はご本人の正面に立ち、膝と膝を合わせる
  3. ご本人に「前にお辞儀するように体を倒してください」と声をかける
  4. お尻が浮いたら、車椅子のほうに体を回す
  5. ゆっくり車椅子に座らせる
  6. 深く座り直し、姿勢を整える

注意

絶対にやってはいけないこと: ご本人の腕を引っ張って立たせること。肩の脱臼や骨折の原因になります。

ご家庭でできること

「1、2の3で立ちますよ」と声をかけてからタイミングを合わせましょう。ご本人にも力を入れてもらうことで、介助の負担が軽くなります。「お辞儀をするように前に倒れてください」の声かけも大切です。

片麻痺の方の移乗

片麻痺(体の片側が動きにくい)の方の移乗では、動くほうの手足を活かすのがポイントです。

基本ルール: 車椅子は「動くほう」の側に置く

  • 右半身が動く場合 → 車椅子はご本人の右側に
  • 左半身が動く場合 → 車椅子はご本人の左側に

こうすることで、ご本人が動くほうの手で車椅子のアームレストをつかみ、動くほうの足を軸にして立ち上がれます。

ヒント

麻痺した側の腕は、移乗のときにぶらんと垂れ下がりやすいです。肩を痛めないよう、腕を体の前で支えてあげてください。

スライディングボードの活用

立ち上がることが難しい場合、スライディングボードという板を使うと、座ったまま移乗できます。

使い方

  1. ベッドと車椅子の座面の間にボードを渡す
  2. ご本人のお尻をボードの上に載せる
  3. ボードの上を滑らせて車椅子に移動する

介助者が持ち上げる必要がないので、腰への負担が大幅に減ります。

ご家庭でできること

介護保険のレンタル対象になっている場合があります。ケアマネジャーに相談してみてください。使い方はOTに教えてもらうのが安心です。最初は必ず専門家の指導のもとで練習しましょう。

移乗介助で腰を守るためのポイント

移乗介助で自分の腰を守ることも大切です。

  • 腰を曲げない: 膝を曲げて腰を落とす
  • 持ち上げない: 回転させる動きを意識する
  • 体を密着させる: ご本人との距離を近くすると力が入りやすい
  • 足を開く: 安定した姿勢で介助する

詳しくは介護で腰を痛めないためのボディメカニクスも参考にしてください。


ポイント

まとめ ── 安全な移乗介助のポイント

  • 車椅子はベッドの横に斜めに置き、ブレーキを必ずかけてから移乗します
  • 「持ち上げる」のではなく「回転させる」意識が大切です
  • 片麻痺の方は動くほうの側に車椅子を配置するのが原則です
  • 立ち上がれない場合はスライディングボードの活用を検討しましょう
  • 介助者の腰を守るために、正しいボディメカニクスを身につけてください

免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。

関連記事