この記事のポイント
- AAC(補助代替コミュニケーション)とは、言葉だけでは伝えるのが難しい方のためのコミュニケーション支援の総称です
- 文字盤や絵カードなどの「ローテクAAC」と、タブレットや視線入力などの「ハイテクAAC」があります
- 作業療法士は、その方の身体機能・認知機能・生活場面に合ったAACの選定と導入を支援します
AACとは何か
AAC(補助代替コミュニケーション)とは、言葉だけでは伝えるのが難しい方のためのコミュニケーション手段の総称です。
以下のような方がAACを活用しています。
- 脳卒中の後に話すのが難しくなった方
- ALSや筋ジストロフィーで声が出しにくくなった方
- 言葉の発達に遅れのあるお子さん
- 認知症が進んで言葉が出にくくなった方
話せなくても、気持ちや考えを伝える方法はたくさんあります。
ローテクAAC ── 電気を使わないシンプルな手段
電気を使わない、シンプルなコミュニケーション手段です。
道具を使わない方法
- 指差し・身振り: 欲しいものを指差す、うなずきで「はい」
- 表情: 笑顔で「うれしい」、困り顔で「困っている」
- まばたき: 1回で「はい」、2回で「いいえ」
道具を使う方法
- 透明文字盤: 透明なボードに文字が書いてあり、目の動きで文字を伝えます
- 絵カード: 「お水がほしい」「トイレに行きたい」などの絵カードを見せて伝えます
- コミュニケーションボード: よく使う言葉や絵が並んだボードを指差して使います
ローテクAACの良いところ
- いつでもどこでも使える(電池切れの心配なし)
- お金がかからない(手作りもできます)
- すぐに始められる
コミュニケーションの第一歩は「Yes/No」を確認できることです。うなずき、まばたき、手の動きなど、ご本人が楽にできる方法で「はい」「いいえ」を決めておきましょう。これだけで、日常のやりとりがぐっと楽になります。
ハイテクAAC ── テクノロジーを活用した手段
テクノロジーを使った、より高度なコミュニケーション手段です。
音声を出してくれる機器(VOCA)
- ボタン式: ボタンを押すと「お水をください」などの録音済みの声が流れます
- タブレットアプリ: iPadなどに入れたアプリで、絵を選ぶと音声で話してくれます
視線で操作する機器
- 画面上の文字や絵を目で見つめるだけで選択できます
- メールやSNS、インターネットの閲覧も可能です
- 手が動かなくなった方にとって、世界とつながる窓になります
スイッチで操作する機器
- 手の指、足の指、頬、息など、わずかな動きで操作できるスイッチがあります
- スイッチで文字を選んでいく方式で、文章を作成できます
ヒント
ハイテクAACの多くは、障害者総合支援法の「日常生活用具」や「補装具」として給付の対象になります。自己負担は原則1割です。お住まいの市区町村に相談してください。
AACの選び方
何を基準に選べばいいの?
- 体のどこが動かせるか: 手が動けばタッチスクリーン、目だけなら視線入力
- 文字が読めるか: 読めるなら文字盤、読めなければ絵カードやシンボル
- 誰と、どこで使うか: 家族とだけ?病院でも?外出先でも?
- 病気が進行するか: 今後の変化を見越して選ぶことが大切です
選び方のコツ
- 一つだけに頼らない: 場面に応じていくつかの方法を使い分けましょう
- まずは簡単なものから: 絵カードやYes/Noから始めて、必要に応じて機器を追加
- お試し期間を設ける: 実際の生活で使ってみてから決めましょう
- 家族も一緒に練習する: ご本人だけでなく、受け取る側の練習も大切です
道具や機器を使うことよりも大切なのは、「伝えたい」「わかりたい」という気持ちです。うまく伝わらなくても、諦めずに向き合う姿勢が、ご本人にとって最大の支えになります。
AACについてのまとめ
- 話すのが難しくなっても、気持ちや考えを伝える方法はたくさんあります
- まずはYes/Noの確認、絵カード、文字盤など、シンプルな方法から始めましょう
- タブレットアプリや視線入力装置など、テクノロジーの進歩で選択肢が広がっています
- 場面に応じて複数の手段を使い分けることが効果的です
- 作業療法士が、その方に合ったコミュニケーション手段の選定と導入をサポートします
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士(OTR)
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
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