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長く続く痛みとうまくつき合うために ── 自分でできる工夫

慢性的な痛みを抱える方へ。痛みの悪循環から抜け出す方法、活動の工夫、リラクセーションなど、自分でできるペインマネジメントをわかりやすく紹介します。

📅 2026年6月13日 更新読了目安 16分

この記事のポイント

  • 慢性疼痛は急性痛と異なり、「痛み→恐怖→活動回避→悪化」の悪循環に陥りやすい状態です
  • 作業療法士は活動ペーシング、段階的暴露、リラクセーションで「痛みがあっても動ける」を支援します
  • 自分でできるペインマネジメントを身につけることで、痛みとうまくつき合いながら暮らせるようになります

慢性疼痛とは ── 急性痛との違い

痛みには2つの種類があります。

  • 急性の痛み: ケガや手術の後の痛み。体が「ここが傷ついているよ」と教えてくれるサインです。傷が治れば痛みも消えます
  • 慢性の痛み: 3か月以上続く痛み。傷は治っているのに、痛みだけが残り続ける状態です

慢性の痛みは、脳や神経が「痛みに敏感になりすぎている」状態で起こります。「気のせい」ではなく、実際に痛みを感じているのです。

痛みの悪循環 ── 恐怖-回避モデル

慢性の痛みには、多くの方が陥りやすい「悪循環」があります。

1

痛みの体験

  1. 1痛みを感じる
  2. 2「この動きをすると痛い」と記憶する
2

恐怖の形成

  1. 3「また痛くなるのではないか」と不安になる
  2. 4痛みに対する恐怖が強まる
3

活動の回避

  1. 5痛みを避けるために動かなくなる
  2. 6外出、家事、仕事を避けるようになる
4

身体機能の低下

  1. 7動かないことで筋力・体力が低下する
  2. 8関節が硬くなる
5

痛みの増悪

  1. 9身体機能の低下により、少しの動きでも痛みが出る
  2. 10痛みに対する恐怖がさらに強まる(悪循環の完成)

この悪循環のポイントは、痛みそのものよりも「痛みへの恐怖」が生活を制限するということです。「痛いかもしれない」と思って動かなくなると、体力が落ちて、もっと痛くなるのです。

ヒント

慢性の痛みの治療では、「痛みをゼロにする」ことではなく、「痛みがあっても自分のやりたいことができるようになる」ことを目指します。

OTのアプローチ

活動ペーシング ── 「ちょうどよく動く」技術

慢性の痛みがある方は、「調子が良い日に頑張りすぎて、翌日動けなくなる」ことが多いです。OTは「ちょうどよく動く」方法を一緒に考えます。

活動ペーシングのコツ

  • 時間を決めて休む: 痛くなってから休むのではなく、「15分動いたら5分休む」とあらかじめ決める
  • 調子が良い日も動きすぎない: これが一番大切なポイントです
  • 少しずつ増やす: できる量が安定してきたら、少しずつ活動を増やす
ご家庭でできること

家事をするときは、スマートフォンのタイマーを15分にセットしてみてください。タイマーが鳴ったら、たとえまだ元気でも座って休みます。これを繰り返すことで、「頑張りすぎ→翌日ダウン」のパターンを防げます。

段階的暴露 ── 「怖い」を少しずつ乗り越える

「この動きをすると痛くなる」という恐怖から、できることまで避けてしまうことがあります。OTは「怖い」と感じる動作に、少しずつチャレンジするお手伝いをします。

  • まず一番不安が少ない動作から始めます
  • 「できた」という経験を積み重ねます
  • 少しずつ、難しい動作にチャレンジしていきます

「痛い=身体が壊れている」ではないということを、体験を通じて実感していくプロセスです。

リラクセーション ── 痛みのスイッチをオフにする

痛みが続くと、身体に力が入り、さらに痛みが強くなることがあります。意識的に身体の力を抜く方法を覚えましょう。

筋肉をゆるめる方法

  1. 手をギュッと5秒間握る
  2. パッと力を抜く
  3. 力が抜けた感じを味わう

これを足、肩、顔など、全身の部位で順番に行います。「力を入れてから抜く」ことで、力の抜き方がわかるようになります。

呼吸でリラックス

お腹に手を当てて、ゆっくりと鼻から息を吸い、口からゆっくり吐きます。吐く時間を長くすると、身体がリラックスモードに切り替わります。

ご家庭でできること

1日に10分だけ、リラックスのための時間をつくってみてください。好きな音楽を聴く、温かいお茶を飲む、ゆっくり呼吸する──何でも構いません。大切なのは「毎日同じ時間に行う」ことです。身体がその時間を覚えて、自然にリラックスできるようになります。

自分でできるペインマネジメント

痛みとうまくつき合うために、自分でできることをまとめました。

痛みの記録をつける

「いつ」「どのくらい痛かったか」「何をしていたか」を記録すると、痛みのパターンが見えてきます。痛みが楽になる条件も見つかることがあります。

好きなことに集中する

痛みのことばかり考えていると、痛みはより強く感じられます。手芸、読書、料理など、没頭できる活動を見つけましょう。

睡眠を整える

痛みがあると眠りにくく、眠れないと痛みが強くなるという悪循環があります。

  • 毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる
  • 寝室の温度、明るさ、音を整える
  • 寝る前にスマートフォンを見ない

人とのつながりを保つ

痛みがあると外出がおっくうになりますが、人と話したり、どこかに出かけたりすることは痛みの軽減に効果があります。短時間でも、無理のない範囲で人と会う機会をつくりましょう。


ポイント

免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。

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