この記事のポイント
- 認知症予防には「楽しくて」「人と関わり」「体も動かす」活動が最も効果的です
- 楽器演奏、ダンス、ボードゲーム、社会活動にはエビデンスの裏付けがあります
- 単純な「脳トレ」だけでは日常生活への般化効果は限定的です
「脳トレ」だけでは足りない
「認知症予防には脳トレ」と聞くことが多いかもしれません。しかし、計算ドリルやパズルだけでは認知症予防の効果は限定的であることがわかっています。
本当に効果が期待できるのは、楽しくて、人と関わりがあり、体も動かす活動です。つまり、「義務」ではなく「楽しみ」として続けられる活動こそが、最も効果的な予防法なのです。
エビデンスのある活動
楽器演奏
楽器を演奏することは、認知症予防に最も効果が期待できる活動の一つです。
- 楽譜を読む、指を動かす、リズムを取る、音楽を表現する ── 脳の多くの部分が同時に働きます
- 週1〜2回の楽器演奏で、認知機能低下のリスクが約36%減少するという研究結果があります
「楽器なんて触ったことがない」という方でも大丈夫です。むしろ新しいことを始めることが脳に良い刺激を与えます。ハーモニカ、ウクレレ、鍵盤ハーモニカなど、手軽に始められる楽器がおすすめです。地域の音楽教室やシニア向けグループレッスンを探してみてください。
ダンス
ダンスは、体を動かしながら頭も使う、認知症予防に理想的な活動です。
- 音楽に合わせてステップを踏む ── 体と頭が同時に働きます
- 他の人と一緒に踊る ── 人との交流が生まれます
- ある研究では、定期的なダンスが認知症リスクを最大76%低下させると報告されています
盆踊り、社交ダンス、フォークダンス、体操ダンスなど、種類は問いません。楽しく体を動かせるものを選んでください。
ボードゲーム・カードゲーム
将棋、囲碁、麻雀、トランプなどのボードゲームやカードゲームも効果的です。
- 先を読む、戦略を立てる ── 頭をフル回転させます
- 仲間と一緒に楽しむ ── 会話と交流が生まれます
- 定期的に楽しむことで、認知機能低下リスクが約15〜20%低下
ヒント
できれば人と対面で楽しんでください。スマートフォンやパソコンで一人で遊ぶよりも、人と一緒にプレイするほうが社会的な刺激があり、効果が高まります。
社会活動・グループ活動
ボランティア活動やサークル活動など、人と関わる活動も認知症予防に効果があります。
- 社会的つながりが豊かな方は、孤立している方と比べて認知症リスクが約26%低い
- 会話をする、予定を管理する、人と協力する ── さまざまな脳の機能が使われます
ボランティア活動の始め方も参考にしてみてください。
効果が限定的なもの
逆に、効果が期待ほど大きくないものもあります。
- 計算ドリル・脳トレアプリ: 計算が速くなっても、日常生活の認知機能が良くなるとは限りません
- 長時間のテレビ視聴: 受け身で見ているだけでは脳への良い刺激にはなりにくいです
- 一人での単純な散歩: 体には良いですが、認知症予防には「人と話しながら」「考え事をしながら」歩くほうが効果的です
注意
「脳トレが効かない」ということではありません。脳トレだけに頼るのではなく、楽しくて人と関わる活動と組み合わせることが大切です。
効果的な活動の共通点
効果的な活動に共通するのは、次の3つの特徴です。
- 頭を使う: 考えたり、判断したりする要素がある
- 人と関わる: 誰かと一緒に行う
- 体を動かす: 何らかの身体活動を伴う
この3つを同時に満たす活動が最も効果的です。たとえば、仲間と一緒にダンスをする、園芸サークルに参加する、といった活動です。
続けるコツ
どんなに良い活動でも、続けられなければ意味がありません。続けるためのコツをお伝えします。
- 楽しいことを選ぶ: 「やらなきゃ」ではなく「やりたい」と思えるものを
- 仲間を見つける: 一緒に楽しむ仲間がいると、グッと続けやすくなります
- 曜日と時間を決める: 「毎週水曜の午後」のように生活に組み込む
- いくつかの活動を持つ: 1つに飽きても、別の楽しみがある状態にしておく
認知症予防のために嫌々やる活動は、ストレスホルモンを増やしてかえって逆効果になりかねません。活動が終わったあとに「楽しかった」「また行きたい」と思えるかどうかが、最も大切な判断基準です。
認知症予防に効果的な活動のポイント
- 単純な脳トレだけでは認知症予防の効果は限定的です
- 楽器演奏、ダンス、ボードゲーム、社会活動にはエビデンスの裏付けがあります
- 「頭を使う」「人と関わる」「体を動かす」の3要素を同時に満たす活動が最も効果的です
- 何より大切なのは「楽しんで続けられる」こと
- 作業療法士に相談すれば、ご自身に合った活動を一緒に探してもらえます
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
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