この記事のポイント
- 疲労には中枢性と末梢性の2種類があり、疾患によって特性が異なります
- エネルギー保存の4P(Prioritize, Plan, Pace, Position)を活用して、限られたエネルギーを効率的に使えます
- 活動日誌で自分の疲労パターンを把握し、rest-activity balanceを整えることが管理の基本です
「疲れやすい」は怠けではない
「すぐ疲れてしまう」「午後になると何もできない」。そんな悩みを抱えていませんか。
「疲れやすい」のは怠けではありません。病気や治療の影響で、身体のエネルギーが少なくなっている状態です。しかし、エネルギーの使い方を工夫することで、疲れやすさをコントロールすることはできます。
作業療法士(OT)は、エネルギーの管理方法を一緒に考える専門家です。
疲労の種類 ── 中枢性と末梢性
疲労には2つの種類があります。
- 筋肉の疲れ(末梢性疲労): 体を動かした後に筋肉が疲れる、いわゆる「普通の疲れ」。休むと回復しやすい
- 脳の疲れ(中枢性疲労): 身体全体のだるさ、やる気の低下、頭がぼんやりする。休んでも回復しにくいのが特徴
病気によっては、休んでも取れない疲れが続くことがあります。これは「気持ちの問題」ではなく、脳や神経の働きに原因があります。
エネルギー保存の4P
エネルギーを上手に使うための4つのPをご紹介します。
1. Prioritize(優先順位をつける)
限られたエネルギーを、本当に大切なことに使いましょう。
- 「やらなければならないこと」と「やりたいこと」を書き出す
- 「やらなくてもいいこと」「人に頼めること」を見つける
- 「やりたいこと」にエネルギーを残すことが大切です
2. Plan(計画する)
活動を1日の中で分散させましょう。
- 大変な活動と楽な活動を交互に入れる
- 元気な時間帯に大切な用事を入れる
- 予定を詰め込みすぎない
3. Pace(ペースを守る)
「疲れる前に休む」が基本です。
- 15〜20分動いたら、5〜10分休む
- 急がず、ゆっくり行う
- 調子が良い日も動きすぎない
4. Position(姿勢を工夫する)
身体への負担を減らす工夫です。
- 座ってできることは座って行う
- 重いものは持ち上げず、滑らせて移動する
- 長い柄の掃除道具など、便利グッズを活用する
「優先順位・計画・ペース・姿勢」の4つを紙に書いて、冷蔵庫など目につく場所に貼ってみてください。疲れて判断力が落ちたときでも、目に入ると「あ、休憩しよう」と思い出せます。
活動日誌の使い方
自分の疲労パターンを知るために、活動日誌をつけてみましょう。
書き方
1〜2時間ごとに、以下をメモします。
- 何をしていたか
- 疲れ具合(0〜10点で)
- いつ休んだか
1〜2週間つけると見えてくること
- 疲れやすい時間帯がわかる(午後に疲れやすい?朝から?)
- 疲れる原因の活動が見つかる
- 休憩のタイミングを計画しやすくなる
最初から細かく書く必要はありません。スマートフォンのメモ機能で「10時 洗濯 疲れ3」「12時 昼食 疲れ5」のように簡単に記録するだけでも十分です。1〜2週間続けると、自分のパターンが見えてきます。
Rest-Activity Balance ── 活動と休息のバランス
よくある3つのパターン
- 動きすぎパターン: 調子が良い日に頑張りすぎて、翌日ぐったり
- 動かなすぎパターン: 疲れが怖くて何もしない → 体力が落ちてもっと疲れやすくなる
- ちょうどいいパターン: 活動と休息のリズムが安定している
「休憩」の質も大切
休憩中にスマートフォンを見ていると、身体は休んでいても脳は疲れたままです。
- 目を閉じて静かに過ごす
- 音楽を聴く(ゆったりしたもの)
- 窓の外を眺める
5分でも「何もしない休憩」を入れると、疲労の回復が違います。
ヒント
「動きすぎ→翌日ダウン」を繰り返している方は、調子が良い日でも「いつもと同じペース」を心がけてみてください。これが活動と休息のバランスを整える第一歩です。
疾患別の疲労特性
疲れやすさの特徴は、病気によって異なります。
- 脳卒中の後の疲労: 考えごとでも疲れやすく、翌日にどっと疲れが出ることがあります
- がん治療後の疲労: 治療が終わっても長く続くことがあります。適度に動くことが効果的です
- パーキンソン病の疲労: 薬が効いている時間帯に大切な活動を行うと効率的です
- 慢性疲労症候群: 頑張って動くとかえって悪化します。活動の上限を守ることが最も大切です
注意
「疲れやすい」と感じたら、まず主治医に相談してください。疲労の原因によって対処法が異なるため、原因を正しく把握することが大切です。
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。