この記事のポイント
- 介護施設は種類によって目的・費用・入所条件が大きく異なる
- 作業療法士の視点では「リハビリ体制」「活動プログラム」「生活環境」が良い施設の基準
- 見学時のチェックリストを活用し、必ず複数の施設を比較することが大切
施設選びの前に ── 「施設に入れる」ことへの罪悪感
「親を施設に入れるなんて」と、ご自身を責めていませんか。
施設に入所することは、「見捨てる」ことではありません。ご本人にとって最も安全で、必要な支援を受けられる「最適な環境を選ぶ」ことです。
在宅で24時間介護を続けることで、ご家族が倒れてしまっては元も子もありません。ご本人のためにも、ご自身のためにも、施設という選択肢を前向きに検討してください。
介護施設の種類と特徴
介護施設にはいくつかの種類があります。主な4つを紹介します。
特別養護老人ホーム(特養)
- どんな施設?: 長く住み続けられる施設です
- 入れる人: 要介護3以上
- 費用: 月5〜15万円程度(比較的安い)
- 注意点: 人気が高く、待機期間が長い(数か月〜数年)
介護老人保健施設(老健)
- どんな施設?: リハビリをして家に帰ることを目指す施設です
- 入れる人: 要介護1以上
- 費用: 月8〜15万円程度
- 特徴: 作業療法士が必ずいます。入所期間は3〜6か月が目安です
有料老人ホーム(介護付き)
- どんな施設?: 介護サービス付きの住まいです
- 入れる人: 自立〜要介護5まで幅広く
- 費用: 月15〜30万円以上(施設により大きく異なる)
- 特徴: 施設ごとにサービスの内容や質に差があります
グループホーム
- どんな施設?: 認知症の方が少人数で共同生活する施設です
- 入れる人: 要支援2以上で認知症の診断がある方
- 費用: 月12〜20万円程度
- 特徴: 9人以下の少人数制で、家庭的な雰囲気です
作業療法士が見る「良い施設」のポイント
施設を選ぶとき、OTなら以下の3つを必ずチェックします。
リハビリをしてくれるか
- 個別のリハビリはあるか(専門スタッフが1対1で対応してくれるか)
- 週に何回リハビリがあるか
- 日常の中で「できることは自分でやる」を大切にしてくれるか
やることがあるか
- 一日中テレビを見ているだけになっていないか
- レクリエーションや活動の種類は豊富か
- 外出の機会(散歩や買い物など)はあるか
暮らしやすい環境か
- 明るさ: 自然光が入り、明るい雰囲気か
- 清潔さ: きれいに掃除されているか
- 安全性: 手すりがあり、段差がないか
- 個室かどうか: プライバシーが守られるか
見学時のチェックリスト
施設の雰囲気
- 1入居者の表情は穏やかか(笑顔が見られるか)
- 2スタッフの入居者への声かけは丁寧か
- 3施設内の臭い(排泄臭がこもっていないか)
- 4共有スペースに入居者がいるか(居室に閉じこもっていないか)
ケアの質
- 5入居者の服装は清潔で季節に合っているか
- 6食事の内容(メニュー・量・刻み食の対応など)
- 7入浴の頻度と方法
- 8夜間の見守り体制
リハビリ・活動
- 9リハビリ専門職の配置(OT・PTがいるか)
- 10個別リハビリの回数と内容
- 11日中の活動プログラムの種類
- 12外出プログラムの有無
制度・費用
- 13月額費用の内訳(基本料金+介護サービス費+食費+日用品費など)
- 14入居一時金の有無と金額
- 15退去条件(医療的ケアが必要になった場合など)
- 16面会の制度(時間・頻度の制限)
1回の見学だけでは施設の実態はわかりません。できれば(1)平日の午前中 (2)食事の時間帯 (3)レクリエーションの時間帯 の3回は見学しましょう。特に食事の時間帯は、スタッフの対応の質が見えやすいタイミングです。「突然の見学」に対応してくれる施設のほうが、日常のケアに自信を持っている傾向があります。
施設選びで注意したいこと
見た目だけで判断しない
きれいな建物でも、中のケアが良いとは限りません。スタッフの対応と入居者の表情をよく見てください。
最期まで過ごせるか確認する
- 看取り対応があるか(最期までその施設にいられるか)
- 体調が悪くなったとき、どこまで対応してもらえるか
通いやすさも大切
- 自宅から面会に通いやすい距離かどうか
- 面会時間に制限があるか
他の入居者との相性
- ご本人と同じくらいの状態の方がいるかどうか
- あまりにも状態が違うと、居心地が悪くなることがあります
ヒント
施設選びに迷ったら、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談してください。地域の施設の評判や空き状況を教えてもらえます。また、各都道府県の「介護サービス情報公表システム」でも施設の情報を確認できます。
介護施設の選び方 ― まとめ
- 施設入所は「見捨てる」ことではなく、最適な環境を選ぶことです
- 特養・老健・有料老人ホーム・グループホームは目的・費用・入所条件が異なります
- 良い施設の基準は「リハビリ体制」「活動プログラム」「生活環境」の3つです
- 見学は複数回、異なる時間帯に。スタッフの対応と入居者の表情を確認しましょう
- 迷ったら地域包括支援センターやケアマネジャーに相談してください
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
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