この記事のポイント
- 誤嚥性肺炎は高齢者の死因の上位を占め、口腔内の細菌が肺に入ることで発症します
- 毎日の口腔ケアで口の中の細菌を減らすことが、最も効果的な予防法です
- 作業療法士は食事時の姿勢管理や食事環境の調整で、誤嚥のリスクを減らす支援を行います
誤嚥性肺炎とは
誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液が誤って気管(肺につながる管)に入ることで起こる肺炎です。
高齢者の方に特に多く、日本人の主な死因の一つになっています。
怖いのは「むせない誤嚥」
- 食事中にむせるのはわかりやすい誤嚥のサインです
- しかし、寝ている間に唾液が気管に入る「むせない誤嚥」も多いのです
- むせないので気づきにくく、知らないうちに肺炎になっていることがあります
注意
「むせないから大丈夫」とは限りません。繰り返す微熱、食欲の低下、なんとなく元気がないなどの変化があれば、誤嚥性肺炎の可能性を考えて医師に相談してください。
口腔ケアが肺炎を防ぐ理由
口の中をきれいにすることがなぜ大切か
口の中には何百億個もの細菌がいます。もし口の中が汚れたまま誤嚥が起きると、大量の細菌が肺に入ってしまいます。
逆に、口の中がきれいであれば、たとえ少量の誤嚥が起きても肺炎になりにくいのです。
研究でも、口腔ケアをきちんと行うことで肺炎の発症率が約40%減少することが示されています。
つまり、毎日の歯磨きが命を守るのです。
口腔ケアの基本手順
基本の手順
- 姿勢を整える: できるだけ座った姿勢で行う。ベッド上なら背もたれを30度以上起こす
- 口の中を湿らせる: 乾いている場合は、水で湿らせたスポンジブラシで口の中を潤す
- 歯を磨く: 歯と歯茎の境目を中心に、やさしく小さく動かす
- 舌を磨く: 舌ブラシで奥から手前に軽く撫でる(3〜5回でOK)
- うがいまたは拭き取り: うがいができない方は、スポンジブラシで拭き取る
- 入れ歯の手入れ: 外して水で洗い、ブラシでこする
介助のポイント
- 1日2回以上(朝と寝る前)が理想です
- 無理に口を開けさせない: 頬の内側を軽くマッサージすると開きやすくなります
- 一度に完璧を求めない: 少しずつでも毎日続けることが大切です
歯ブラシが使えないときは、スポンジブラシ(棒の先にスポンジがついたもの)で口の中を拭くだけでも効果があります。ドラッグストアや介護用品店で手に入ります。
食事時の姿勢と環境の工夫
食事中の姿勢
- しっかり座る: 背もたれに寄りかからず、体を起こす
- あごを軽く引く: あごを上げると食べ物が気管に入りやすくなります
- 足を床につける: 足が浮いていると体が不安定になります
- テーブルの高さ: ひじが楽に曲がる高さに調整する
食事環境の工夫
- テレビを消す: 食事に集中できる環境をつくりましょう
- 急がせない: ゆっくり食べることが安全につながります
- 一口を少なめに: スプーンの半分くらいの量にしましょう
食事の後にやること
- 食後30分は座ったままでいてください。すぐに横になると、胃の内容物が逆流して誤嚥することがあります
- 食後の歯磨きも忘れずに
食事のとき、あごが上がっていませんか?あごを軽く引くだけで、食べ物が気管に入りにくくなります。「おへそを見るように」と声をかけると、自然にあごが引けます。
誤嚥性肺炎予防で大切なポイント
- 誤嚥性肺炎は口の中の細菌が肺に入ることで起こります。毎日の口腔ケアが最も効果的な予防法です
- 口腔ケアは1日2回以上。歯と歯茎の境目、舌の清掃を忘れずに
- 食事中は「座る・あごを引く・足を床につける」の3点を意識しましょう
- 食後30分は座位を保持。すぐに横にならないでください
- 作業療法士は食事姿勢の調整や口腔ケアの自立支援を通じて、誤嚥予防を支援します
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士(OTR)
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
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