この記事のポイント
- 「いつから」に決まった正解はありません。どの入試を受けるかで開始時期が変わるからです
- 入試の仕組み上、総合型選抜は9月1日以降に出願、学校推薦型選抜は11月1日以降に出願、一般選抜の学力検査は2月1日〜3月25日です。令和7年度の大学入学者は53.6%が年内に決まる入試で入学しました(全学部の集計)
- 国公立大学の入学者選抜要項は各大学が7月末までに公表する扱いです。高2の夏に志望校の要項を見ると、自分の開始時期が決まります
- 本記事の「先輩3人の実例」は、複数の経験をもとに再構成した架空の例です
「いつから」に正解がない理由
「受験勉強っていつからやりましたか」。作業療法士(OT: Occupational Therapist)が高校生からよく受ける質問です。正直に答えると、人によってばらばらで、「高2の秋」も「高3の夏」も「高3の秋」も本当にいます。
ばらばらになる理由は、入試が1種類ではないからです。大学の入試は大きく3つに分かれます。
総合型選抜
書類・面接・小論文・プレゼンなどで評価する入試。入学願書の受付は9月1日以降、判定結果の発表は11月1日以降
学校推薦型選抜
高校の推薦をもとに評価する入試。入学願書の受付は11月1日以降、判定結果の発表は12月1日以降(一般選抜の試験期日の10日前まで)
一般選抜
学力検査で評価する入試。教科・科目の試験は2月1日から3月25日の間。大学入学共通テストは1月中旬。合格発表は3月31日まで
作業療法士の養成校には大学・短大・専門学校があり(日本作業療法士協会の一覧では204校210課程)、入試科目は学校ごとに違います。理科を課さない専門学校もあれば、共通テストを使う国公立大学もあります。「いつから」は、「どこを、どの入試で受けるか」を決めた瞬間に決まります。だから、この記事は「いつから勉強するか」ではなく「いつ決めるか」の話から始めます。
作業療法士養成校の入試は、文部科学省「大学入学者選抜実施要項」に定められた3つの選抜区分(総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜)で行われます。開始時期の目安は、選抜区分と志望校の科目が決まって初めて逆算できます。
| 選抜区分 | 出願 | 合否 | 主な評価方法 |
|---|---|---|---|
| 総合型選抜 | 9月1日以降 | 11月1日以降 | 書類・面接・小論文・プレゼンテーション等 |
| 学校推薦型選抜 | 11月1日以降 | 12月1日以降(一般選抜の試験期日10日前まで) | 高校の推薦、書類、面接・小論文等 |
| 一般選抜 | 各大学が定める | 3月31日まで | 学力検査(2月1日〜3月25日)、大学入学共通テスト(1月中旬) |
養成校は大学・短期大学・専門学校を合わせて204校210課程(日本作業療法士協会の一覧)で、入試科目は学校ごとに異なります。
入試は「年内」に半分決まる
数字を1つだけ挙げます。令和7年度に大学に入学した人のうち、総合型選抜が19.5%、学校推薦型選抜が34.1%でした。合わせて53.6%が、年内に合否の出る入試で入学しています(文部科学省の実施状況。全学部の集計で、作業療法学科だけの数字は公表されていません)。
総合型選抜で入学(令和7年度・全大学)
学校推薦型選抜で入学(同)
年内型の合計(同)
この数字が意味するのは、「2月の一般入試が本番」という昔のイメージが半分しか当たっていない、ということです。9月と11月に出願が始まる入試を使うなら、高3の夏休みは「勉強を始める時期」ではなく「出願書類と面接の準備をする時期」になります。逆に一般選抜で受けるなら、高3の冬が本番です。同じ「作業療法士志望」でも、カレンダーがまったく違います。
文部科学省「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」によると、大学入学者に占める割合は総合型選抜19.5%、学校推薦型選抜34.1%で、年内に合否が判明する選抜区分が合計53.6%です。全学部の集計であり、作業療法学科に限定した数値は公表されていません。
年内型入試を利用する場合、高3の夏は出願書類・面接・小論文の準備期間になります。一般選抜の場合は1〜3月が本番です。お子さんがどの選抜区分を想定しているかを確認すると、家庭でのサポートの時期が見えます。
高2の夏に「要項」を見る
逆算の起点は、志望校の入学者選抜要項です。国公立大学は各大学が7月末までに公表する扱いで、文部科学省が毎年7月末時点の内容を集計しています。個別の学力検査の教科・科目は、試験期日の6か月以上前に発表するよう要項で定められています。つまり、高2の夏休みには、翌年の入試科目の骨格が見られるということです。
要項で見るのは3つだけです。
- 選抜区分: 総合型・学校推薦型・一般のうち、どれを実施しているか。募集人員はいくつか
- 科目: 理科は必要か、共通テストは使うか、小論文・面接はあるか
- 日程: 出願と試験がいつか。年内型なら、高3の何月に何を出すか
この3つが分かれば、「いつから何をするか」は自動的に決まります。高2の夏に見ておけば、高3で慌てません。養成校の一覧と学校の選び方は作業療法士の養成校の選び方と作業療法士になるにはにまとめています。
国公立大学の入学者選抜要項は各大学が7月末までに公表する扱いで(文部科学省が毎年7月末時点で集計・公表)、個別学力検査の教科・科目は試験期日の6か月以上前に発表することが実施要項に定められています。高2の夏休みに志望校の要項で「選抜区分・科目・日程」の3点を確認すると、以降のスケジュールを逆算できます。
なお、大学(学士)・4年制専門学校(高度専門士)・2〜3年制専門学校(専門士)で取得できる学位・称号が異なります。国家試験の受験資格は学校種によらず「指定校・養成施設で3年以上」で共通です。
先輩3人の実例(架空の例)
ここからは、複数の作業療法士の経験をもとに再構成した架空の3人の話です。特定の誰かではありません。
Aさん: 高2の秋に決めて、総合型選抜
高2の夏のオープンキャンパスで作業療法士を知り、秋に志望を固めた。高3の春から小論文と面接の練習を始め、夏休みは志望理由書を何度も書き直した。9月に出願し、11月に合否が出た。勉強の中心は「自分の言葉で書く」練習で、教科の勉強は学校の定期テストが土台だった
Bさん: 高3の春から、一般選抜
進路を決めたのが高3の4月。志望校は共通テストを使う大学で、理科(生物基礎)を一から勉強し直した。夏休みは基礎固め、秋から過去問。1月の共通テスト、2月の個別試験という一般的なカレンダーで、高3の冬が本番だった
Cさん: 高3の秋に決めて、専門学校
高3の秋まで別の進路を考えていたが、職場体験をきっかけに作業療法士へ。志望した専門学校の入試は小論文と面接で、年明けの出願にも間に合った。入学後に解剖学と生理学を全員と同じスタートラインで学び始めた
3人に共通しているのは、「志望校の入試の形」を見てから勉強の中身を決めたことです。総合型なら書く・話す練習、一般選抜なら教科、専門学校の小論文・面接型なら文章と対話。「受験勉強」の中身そのものが、入試の形で変わります。
もう1つ、3人とも「いつから」より「なぜ作業療法士か」を先に持っていました。ここが空だと、総合型の面接でも一般選抜の長い冬でも、続きません。作業療法士がどんな仕事かは作業療法士と介護職は何が違う?や病院だけじゃない ── OTが働く場所から読めます。
複数の経験をもとに再構成した架空の3例です。
| 例 | 志望決定 | 選抜区分 | 準備の中心 |
|---|---|---|---|
| A | 高2の秋 | 総合型選抜(9月出願・11月合否) | 志望理由書・小論文・面接。教科は定期テストが土台 |
| B | 高3の春 | 一般選抜(共通テスト利用の大学) | 理科の基礎固め(夏)→過去問(秋)→1〜2月が本番 |
| C | 高3の秋 | 専門学校(小論文・面接) | 文章と対話の練習。年明けの出願に対応 |
準備の中身は選抜区分で決まります。志望校の要項を確認する前に「勉強を始めさせる」と、方向がずれることがあります。
学年別 ── 今日からできること
高1
作業療法士という仕事を知る段階。「介護と何が違うか」「病院以外のどこで働くか」が言えるようになれば十分。発達支援に興味があるなら、発達障害の子どもに作業療法士が何をするかを読んでみてください
高2
夏休みに志望校のオープンキャンパスと要項。選抜区分・科目・日程の3点を確認し、自分のカレンダーを作る。理科が必要なら、高2のうちに基礎科目を丁寧に
高3
選抜区分を決めて逆算。総合型なら春から書く・話す練習、学校推薦型なら学校の成績と推薦の条件、一般選抜なら教科の計画。どの区分でも「なぜ作業療法士か」を自分の言葉で言えるように
発達支援の現場に興味がある人は、発達障害の子どもに作業療法士ができることと作業療法士の1日 ── 発達支援の現場からを読んでおくと、志望理由が具体的になります。
「もう高3だし」の「もう」は、まだ早いことが多い
焦らせる大人の言うことは、いったん脇に置いてください。総合型・学校推薦型の出願は9月・11月、一般選抜は2月以降、専門学校には年明け以降も募集する学校があります。「間に合う」と保証はできませんが、「今日から始められる」のは事実です。まず志望校の要項を1校分、見てください。
- 高1: 職業理解の段階です。作業療法士の仕事内容と働く場所を本人が説明できることが目安になります
- 高2: 夏休みのオープンキャンパスと要項の確認。選抜区分・科目・日程を本人と一緒に見て、年間スケジュールを作ります
- 高3: 選抜区分を決めて逆算します。年内型なら夏が書類・面接の準備期間、一般選抜なら冬が本番です
「もう高3だから遅い」と本人を焦らせる必要はありません。出願の時期は選抜区分ごとに9月・11月・2月以降と分かれており、専門学校では年明け以降の募集もあります。保証はできませんが、始められる事実を共有してください。
よくある質問
高3の夏から始めても間に合いますか
「間に合う」と保証はできません。ただ、総合型選抜は9月出願、学校推薦型は11月出願、一般選抜は2月以降で、専門学校には年明け以降も募集する学校があります。夏に志望校の要項を見て、選抜区分を決めれば、今日から始められます。
理科は必要ですか
学校によります。理科を課さない専門学校もあれば、共通テストで理科を使う大学もあります。受験資格そのものは高校の文系・理系で制限されません。ただし入学後は全員が解剖学・生理学・運動学を学ぶので、高2のうちに生物の基礎を丁寧にやっておくと楽です。詳しくは作業療法士になるにはへ。
推薦なら楽ですか
楽ではありません。学校推薦型選抜には高校の成績や推薦の条件があり、面接や小論文で「なぜ作業療法士か」を自分の言葉で説明する必要があります。教科の試験がない代わりに、書く・話す準備が要ります。
専門学校と大学で、決まる時期は違いますか
学校によります。大学の年内型は9月・11月に出願が始まります。専門学校は学校ごとに日程が異なり、年明け以降も募集する学校があります。志望校の要項で確認してください。学位・称号(学士・高度専門士・専門士)の違いは作業療法士の養成校の選び方にまとめています。
家庭でできる準備は
高2の夏に本人と一緒に志望校の要項を読むこと、オープンキャンパスの日程を確保することの2点です。教科の勉強を先に始めさせるより、選抜区分と科目の確認が先です。
学校推薦型選抜の条件は
各高校の推薦基準(成績など)と、大学側の出願要件があります。高校の進路指導と早めに相談してください。
まとめ
- 「いつから」に正解はありません。どの入試を受けるかで決まります。総合型は9月出願・11月合否、学校推薦型は11月出願・12月合否、一般選抜は2月〜3月です
- 令和7年度の大学入学者の53.6%は年内型の入試で入学しました。「2月が本番」は半分しか当たっていません
- 起点は高2の夏に志望校の要項を見ること。選抜区分・科目・日程の3点が分かれば、勉強の中身と開始時期は自動的に決まります
次は、志望校を探す段階です。作業療法士の養成校の選び方で、大学・専門学校の違いと見分け方を確認してください。
先輩3人の実例は、プライバシー保護のため複数の経験をもとに再構成したフィクションです。
- 入試は総合型(9月出願)・学校推薦型(11月出願)・一般(2月以降)の3区分で、令和7年度の大学入学者は53.6%が年内型でした(全学部集計)
- 国公立大学の選抜要項は7月末までに公表される扱いで、個別学力検査の科目は試験の6か月以上前に発表されます。高2の夏が逆算の起点です
- 準備の中身は選抜区分で決まります。要項の確認より先に教科の勉強を始めさせると、方向がずれることがあります
- 高2の夏に要項を一緒に読む: 選抜区分・科目・日程の3点。本人のカレンダーがここで決まります
- 焦らせない: 出願時期は9月・11月・2月以降と分かれています。「もう遅い」より「どの区分か」を聞いてください
- 「なぜ作業療法士か」を聞いておく: どの選抜区分でも問われます。本人の言葉が育っているかが、準備の進み具合の目安です
先輩3人の実例は、プライバシー保護のため複数の経験をもとに再構成したフィクションです。
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、合格や進路の保証を構成するものではありません。入試の日程・科目は年度と学校により異なります。必ず志望校の最新の要項をご確認ください。先輩3人の実例は複数の経験をもとに再構成したフィクションです。
よくある質問
- 作業療法士になるための受験勉強はいつから始めればいいですか?
- 決まった正解はありません。どの入試を受けるかで開始時期が変わります。総合型選抜は9月1日以降に出願が始まり、学校推薦型選抜は11月1日以降、一般選抜の学力検査は2月1日から3月25日の間です。高2の夏に志望校の入学者選抜要項を確認すると、自分の場合の開始時期が決まります。
- 大学入試は年内に決まることが多いのですか?
- 令和7年度の大学入学者のうち、総合型選抜が19.5%、学校推薦型選抜が34.1%で、合計53.6%が年内に合否が出る入試で入学しています。ただし全学部の集計で、作業療法学科に限った数字は公表されていません。
- 志望校の入試科目はいつ分かりますか?
- 国公立大学は各大学が7月末までに入学者選抜要項を公表する扱いで、文部科学省が毎年7月末時点の内容を集計しています。個別学力検査の教科・科目は試験期日の6か月以上前に発表するよう定められています。高2の夏休みに志望校のサイトを見るのが最初の一歩です。
- 高3の夏から作業療法士の受験勉強を始めても間に合いますか?
- 間に合うと保証することはできませんが、始められる事実はあります。総合型・学校推薦型の出願は9月・11月、一般選抜は2月以降で、専門学校には年明け以降も募集する学校があります。まず志望校の要項で選抜区分と科目を確認してください。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
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