本文へスキップ
作業療法.net
OT入門#作業療法#キャリア

新卒は病院から? ── 作業療法士の最初の職場の選び方を制度と統計で整理

作業療法士の最初の職場は病院が最多で、臨床実習の3分の2以上を医療提供施設で行う規定や、認定作業療法士に通算5年以上の臨床実践経験を求める制度もその前提です。発達支援に最初から進む場合の条件(教育体制・在籍人数)と、見学で確認する項目を整理します。

📅 2026年9月9日 公開読了目安 19分

この記事のポイント

  • 作業療法士のキャリアに「正しい順番」は一つではありません。ただし病院から始める人が最も多く、制度もその前提で作られています
  • 制度上の証拠は3つ。勤務先が分かる会員の69.0%が病院、臨床実習は3分の2以上を医療提供施設で行う規定、認定作業療法士は免許取得後の臨床実践経験が通算5年以上必要
  • 発達支援に最初から進む道もありますが、医療機関の発達障害領域は1施設平均2.4人(2021年)と少人数で、新人の隣に先輩がいるとは限りません。「新卒で発達に進んだ割合」の全国データはありません
  • 選ぶ基準は順番ではなく教育体制です。作業療法士の人数、新人教育、複数領域の経験、の3点で見てください

「病院に勤めてから」は正しい順番?

「新卒は病院から」という通説について、制度と統計で確認します。結論として、病院から始める経路が最多であり制度もそれを前提にしていますが、唯一の正解ではありません。発達支援など他領域から始める場合の条件と、最初の職場を選ぶ際の確認項目を整理します。

制度が「病院から」を前提にしている3つの証拠

根拠内容出典
勤務先の分布勤務先が判明している会員の69.0%が病院日本作業療法士協会 2024年度会員統計資料(2025年3月31日現在)
臨床実習の規定実習時間の3分の2以上を医療提供施設で、そのうち2分の1以上を病院または診療所で行う理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則 別表第二 備考
認定制度認定作業療法士の申請資格は免許取得後の臨床実践経験が通算5年以上日本作業療法士協会 認定作業療法士制度 解説書

いずれも「病院でなければならない」ではなく、教育と専門性の階段が病院での経験を前提に設計されていることを示しています。

それでも「最初から発達支援」が成り立つ条件

新卒で発達支援領域に就職した割合を示す全国データは存在しません。参考値として、『作業療法白書2021』では医療機関の発達障害領域に従事する作業療法士は467施設・1,134人、1施設平均2.4人(身体障害領域は8.4人)です。児童発達支援・放課後等デイサービスには配置義務がなく、作業療法士が単独または不在の事業所も一般的です。

最初から発達支援に進む場合は、複数の作業療法士が在籍し新人教育の体制がある施設を選ぶことが条件になります。該当する施設が見つからない場合、病院で評価・記録の基礎を身につけてから領域を移る経路が現実的です。

3つの道筋(架空の例)

架空の3例(複数の経験を合成)を示します。A: 回復期病院で3年→発達支援(最多型)、B: 作業療法士が複数在籍する児童発達支援センターに新卒で入職(教育体制がある場合に成立)、C: 介護施設→訪問→精神科(病院を経ない型)。共通点は、最初の職場に指導者がいたことです。

選ぶ基準は「順番」ではなく「教育体制」

最初の職場を選ぶ基準は、①作業療法士の在籍人数、②新人教育プログラムの有無(同席期間・症例検討・研修支援)、③複数領域・病棟を経験できるか、の3点です。見学時に「1年目の1週間の予定」を尋ねると、教育体制の実態がわかります。

転職の現実

免許は分野共通で、領域変更は制度上可能です。転職率の公的統計はありません。希望領域の求人量によって転職の難易度は変わるため、病院での経験を土台として計画に組み込む考え方が一般的です。

よくある質問

見学で確認したいことは

作業療法士の在籍人数、新人教育プログラムの具体(1年目の週間予定)、複数領域の経験可否、の3点です。「病院か否か」より、この3点が最初の職場の質を決めます。

発達支援を希望する場合の現実的な経路は

複数の作業療法士が在籍する発達支援施設を探し、見つからなければ病院で基礎を身につけてから移る経路です。医療機関の発達障害領域は1施設平均2.4人(2021年)と少人数であることを前提に検討してください。

まとめ

ポイント
  • 病院から始める経路が最多で、臨床実習の規定(3分の2以上を医療提供施設)と認定作業療法士制度(免許取得後通算5年以上の臨床実践経験)もその前提です
  • 発達支援から始める場合は、複数の作業療法士が在籍し新人教育のある施設が条件です。医療機関の発達障害領域は1施設平均2.4人(作業療法白書2021)
  • 最初の職場は「順番」ではなく「教育体制」で選び、見学で在籍人数・新人教育・領域経験の3点を確認してください
ご家庭でできること
  • 「病院に行くべき?」を「教えてくれる人はいる?」に言い換える: 本人が職場を見るときの基準が変わります
  • 見学の質問を一緒に用意する: 作業療法士の人数、1年目の週間予定、複数領域の経験。この3つを聞けば実態が見えます
  • 発達支援志望なら少人数の現実を共有する: 1施設平均2.4人。先輩がいる施設を探すこと、見つからなければ病院で土台をつくる道があることを伝えてください

免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、就職・進路の保証を構成するものではありません。3つの道筋は複数の経験をもとに再構成したフィクションです。制度・統計は更新されることがあります。最新の情報は各機関の公式サイトでご確認ください。

よくある質問

作業療法士は、まず病院で経験を積むべきですか?
正しい順番は一つではありません。ただし病院から始める人が最も多く、臨床実習の3分の2以上を医療提供施設で行う規定や、認定作業療法士に免許取得後通算5年以上の臨床実践経験を求める制度も病院での経験を前提にしています。発達支援など他の領域に最初から進む道もありますが、その場合は教育体制(先輩の作業療法士がいるか)で職場を選ぶことが条件になります。
新卒で発達支援の現場に就職した人はどれくらいいますか?
全国的なデータは存在しません。参考になる数字として、2021年の作業療法白書では医療機関の発達障害領域は1施設あたり平均2.4人の作業療法士で、新人の隣に先輩が1人いるかどうかという規模です。児童発達支援や放課後等デイサービスには配置義務がなく、求人も限られます。
病院で何年働けば、他の領域に移れますか?
決まった年数はありません。目安の一つとして、日本作業療法士協会の認定作業療法士は免許取得後の臨床実践経験が通算5年以上であることが申請資格です。ただし認定は移る条件ではなく、免許は1つでどの領域にも通用します。
最初の職場はどう選べばいいですか?
順番ではなく教育体制で選んでください。作業療法士が何人いるか、新人教育のプログラムがあるか、複数の領域や病棟を経験できるかの3点を見学で確認すると、最初の職場としての条件がわかります。

関連記事

作業療法について知りたい方へ

OT入門

お子さんの「作業療法士に向いているか」を性格で判断しないために

作業療法士の適性は性格診断では測れません。1日の業務を6項目に分けて本人の行動に照らす方法と、養成課程(法定101単位・臨床実習22単位)で育つ力、進路相談で「向いていない」と決めつけないための考え方を、法令と協会統計をもとに整理します。

作業療法キャリア

読んでみる →

作業療法について知りたい方へ

OT入門

発達支援の現場で作業療法士は何をしているのか ── 保護者が見学で見るポイント

児童発達支援や放課後等デイサービスで働く作業療法士の1日を時間順に示し、遊びが評価と練習である理由、この領域の会員数1,330人と配置義務の有無、感覚統合療法の評価が割れている現状を、協会統計と法令、ガイドラインをもとに整理します。

作業療法キャリア

読んでみる →

作業療法について知りたい方へ

OT入門

作業療法士志望の受験スケジュール ── 保護者が知っておきたい入試の仕組みと時期

作業療法士養成校の入試は、総合型選抜(9月出願)・学校推薦型選抜(11月出願)・一般選抜(2月以降)に分かれ、令和7年度の大学入学者は53.6%が年内型でした。文部科学省の実施要項と実施状況をもとに、逆算のための年間スケジュールを整理します。

作業療法キャリア

読んでみる →