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お子さんが志望理由に「家族のこと」を書こうとしたら ── 保護者が知っておきたいこと

きょうだいや祖父母の障害・介護の経験を作業療法士の志望理由に書くことは正当ですが、家族の診断名や特徴を本人の同意なく書かない作法があります。ヤングケアラーの実態調査の数字、家族として同意をどう扱うか、きょうだい当事者団体と公的相談窓口を整理します。

📅 2026年9月9日 公開読了目安 22分

この記事のポイント

  • 家族に障害のある人がいることを志望理由に書くのは、ずるくありません。それは借り物ではない、あなた自身の経験です
  • 作法は2つ。主語を自分に戻す(「家族のため」ではなく「その経験から何に気づいたか」)こと、家族の診断名や特徴を書かないことです
  • 面接で家族の詳細を話す義務はありません。話す範囲は自分で決めていいし、書かない選択も正解です
  • 令和2年度の調査では、高校2年生の4.1%に世話をしている家族がいて、その44.3%がきょうだいでした。あなただけではありません
  • 例文はすべて複数の経験をもとに再構成した架空のものです

「ずるくない?」への答え

きょうだいや祖父母の障害・介護の経験を、お子さんが作業療法士の志望理由に書こうとすることがあります。「家族を志望理由に使っていいのか」と本人が後ろめたさを感じているケースは少なくありません。

家族を支えた経験は本人自身の経験であり、志望理由として正当です。一方で、家族の情報の扱いには作法があり、本人の意思と家族の同意の両方を尊重する必要があります。本記事では、書き方の作法、家族として同意をどう扱うか、公的な相談窓口と当事者団体を整理します。

「きょうだい児」は当事者・支援者コミュニティ発の呼称で、行政統計では「きょうだい」と表記されます。

書いていい理由 ── 動機は借り物ではない

志望理由として家族の経験を書くこと自体は正当です。評価する側が見るのは、経験の重さではなく、その経験から本人が何に気づき、何を学びたいかを自分の言葉で書けているかです。

書き方の型 ── 事実、気づき、学びたいこと

書き方の基本は「事実(短く・一般的な言葉で)→ 気づき(本人が見たこと)→ 学びたいこと(養成課程の内容に接続)」の3段です。家族の情報は1段目の1行に収め、残りを本人の言葉にすることで、家族のプライバシーを守りつつ志望理由として成立します。

書いてはいけないこと ── 家族を特定させない

家族の診断名・年齢・地域・施設名・特徴的な行動の組み合わせは、個人を特定できる情報です。志望理由書・面接・SNSのいずれにも、一般的な表現(「発達に特性のある弟」など)にとどめるよう本人と確認してください。

同時に、家族として「志望理由に書くこと」への同意をどう扱うかも考えておくと安心です。本人が事前に相談してきたときは、書く範囲を一緒に決めてください。書くこと自体を止める必要はありませんが、家族の詳細を伏せる作法は共有してください。

例文 ── すべて架空・合成です

例文は複数の経験を合成した架空のものです。いずれも家族の情報は冒頭の1行に一般的な表現でとどめ、本文は本人の気づきと学びたいことで構成されています。この構成であれば、家族のプライバシーを守りながら志望理由として成立します。

面接で聞かれたら ── 話す範囲は自分で決めていい

面接で家族の詳細を尋ねられても、本人には答える義務がありません。「家族のことは詳しくお話しできませんが」と前置きして自分の気づきに戻す答え方を、本人と事前に確認しておくと安心です。

書かない選択も正解

書かない選択も本人の正当な判断です。「家族のために」という期待を本人に向けないこと、家族を支えた経験が進路になってもならなくてもよいと伝えることが、保護者として本人の選択を支えることになります。

あなただけではない ── 数字と相談先

令和2年度の厚生労働省・文部科学省「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」では、世話をしている家族が「いる」と答えた高校2年生は4.1%、中学2年生は5.7%で、世話の相手は高2できょうだい44.3%、中2で61.8%でした。ヤングケアラーと自覚している子どもは約2%にとどまり、多くは家族の世話を「普通の生活」と捉えています。2024年6月に子ども・若者育成支援推進法が改正され、ヤングケアラーが支援対象として明記されました。

お子さんの世話の負担が進路の選択肢(通学範囲・進学先)を狭めていないかを、一度言葉にして確認することをおすすめします。相談先は、こども家庭庁のヤングケアラーのページ、お住まいの市区町村の「こども家庭センター」、きょうだい当事者団体(全国きょうだいの会、Sibkoto、NPO法人しぶたね)です。

お子さんや家族の発達について気になることがある場合は、市区町村の「こども家庭センター」(子育てと児童福祉の相談機関)、かかりつけの小児科、または都道府県・政令指定都市の「発達障害者支援センター」にご相談ください。診断に関する判断ができるのは医師のみです。当サイトでは診断に関するご質問にはお答えできません。

よくある質問

本人が家族のことを書きたいと言ったら、どう対応すればよいですか

書くこと自体は正当です。家族の診断名や特徴を伏せる作法を共有し、書く範囲を一緒に決めてください。「家族のために」という期待を本人に向けないことが大切です。

本人が家族のことを誰にも話していないようです

無理に話させる必要はありません。学校の先生やスクールカウンセラーに「進路の相談」として話せる場があることを、選択肢として伝えてください。

まとめ

ポイント
  • 家族の経験を志望理由に書くことは正当です。家族の情報は一般的な表現で1行にとどめ、本文は本人の気づきと学びたいことで構成するのが作法です
  • 面接で家族の詳細を話す義務はなく、書かない選択も本人の正当な判断です。「家族のために」という期待を本人に向けないでください
  • 令和2年度調査では高2の4.1%に世話をする家族がいて、自覚は約2%です。負担が進路の選択肢を狭めていないか、言葉にして確認してください
ご家庭でできること
  • 書く範囲を一緒に決める: 本人が相談してきたら、家族の詳細を伏せる作法を共有し、書くこと自体は止めないでください
  • 「家族のために」と言わない: その時間が進路になってもならなくても、どちらも正解だと伝えてください
  • 相談先を知っておく: こども家庭庁のヤングケアラーのページ、市区町村のこども家庭センター、きょうだい当事者団体。本人が使わなくても、保護者が知っているだけで選択肢になります

登場する例文と答え方の例は、プライバシー保護のため複数の経験をもとに再構成したフィクションです。


免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、合格や進路の保証、医療上の助言や診断を構成するものではありません。登場する例文と答え方の例は複数の経験をもとに再構成したフィクションです。当事者団体の掲載は情報提供であり、各団体との提携関係はありません。

よくある質問

家族に障害のある人がいることを、作業療法士の志望理由に書いてもいいですか?
書いていいです。ずるくありません。家族を支えた時間や、担当の作業療法士を間近で見た経験は、あなた自身の経験です。ただし「家族のため」ではなく「その経験から自分は何に気づき、何を学びたいか」に主語を戻して書くこと、家族の診断名や特徴を詳しく書かないことが作法です。
志望理由書に、家族の診断名や病名を書く必要はありますか?
ありません。「発達に特性のある弟」「介護が必要な祖母」といった一般的な言い方で十分です。診断名・年齢・地域・特徴的な行動の組み合わせは家族を特定できる情報になるため、書かないのが基本です。書く前に家族に一言伝えておくと安心です。
面接で家族のことを詳しく聞かれたら、答えなければいけませんか?
話す範囲は自分で決めていいです。「家族のことは詳しくお話しできませんが、その経験から気づいたことは」と、自分の気づきに話を戻す答え方があります。家族の詳細を話す義務はありません。
家族のことを志望理由に書かない選択はありますか?
あります。書かない選択も正解です。動機に家族がいることと、それを志望理由に書くことは別の話で、書くかどうかを決める権利はあなたにあります。書かなくても、作業療法士の仕事への関心を自分の言葉で書ければ志望理由は成り立ちます。

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