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リハビリのやる気が出ないときにできること

ご家族がリハビリのやる気を失っているとき、どう接すればいいか。動機づけの背景と、家族にできる具体的な声かけの工夫を紹介します。

📅 2026年9月26日 公開⏱ 読了目安 14分

この記事のポイント

  • リハビリの「やる気が出ない」には、身体的・心理的・環境的な複数の原因があります
  • 「頑張って」という声かけは逆効果になることがあります。具体的な声かけに変えましょう
  • 本人にとって「意味のある目標」を見つけることが、最も効果的な動機づけになります

「やる気がない」のではなく「やる気が出ない」

入院中のリハビリで「やりたくない」「もういい」と言うご家族を見ると、「なぜ頑張れないの?」と歯がゆく感じるかもしれません。

でも、ご本人は「やる気がない」のではなく「やる気が出ない」のです。そこには必ず理由があります。

やる気が出ない5つの原因

1. 痛みや疲労

痛みや疲れがあれば、リハビリをしたくないのは当然です。「痛いのに頑張れ」は酷な要求です。痛みがある場合は、リハビリスタッフに伝えてください。痛みの管理とリハビリの強度を調整してもらえます。

2. うつ状態

病気やけがの後にうつ状態になることは珍しくありません。特に脳卒中の後は、世界の研究をまとめた2014年の報告で、およそ3人に1人(31%)がうつ状態になるとされています。うつ状態では意欲が湧かなくなるため、リハビリにも取り組めなくなります。「気の持ちよう」ではなく、治療が必要な状態です。

3. 目標が見えない

「何のためにリハビリをしているのかわからない」──この状態では、やる気は出ません。

具体的な目標があると、リハビリの意味が見えてきます。

  • 「歩けるようになる」→ 「トイレまで自分で歩く」
  • 「手が動くようになる」→ 「自分でお箸を持ってご飯を食べる」
  • 「元に戻る」→ 「孫の運動会を見に行く」

漠然とした目標ではなく、「あなたがしたいこと」を目標にすると、やる気が湧きやすくなります。

4. 自己効力感の低下

「どうせやっても変わらない」「こんなこともできなくなった」──こうした気持ちが強いと、リハビリに向かえなくなります。

大切なのは、小さな「できた」を積み重ねることです。昨日より指が1本多く動いた、10秒長く立てた──小さな進歩でも、それを実感できるとやる気につながります。

5. 環境や人間関係

  • リハビリの先生との相性が合わない
  • 周りの患者さんと比べてしまう
  • 病院の環境がストレス
  • 家族の「頑張って」がプレッシャーになっている

最後の点は、ご家族にとって意外かもしれません。次のセクションで詳しく説明します。

「頑張って」に代わる声かけ

「頑張って」という言葉は、実は逆効果になることがあります。

  • すでに頑張っている人には「まだ足りない」と聞こえます
  • 頑張れない自分を責めてしまいます

代わりに試してほしい声かけ

  • 「昨日よりここが上手になったね」: 具体的な進歩を伝える
  • 「リハビリの先生が順調だって言ってたよ」: 専門家の評価を伝える
  • 「退院したら一緒に〇〇しようね」: 楽しみな目標を共有する
  • 「今日はゆっくり休もう」: 休んでいい許可を出す
  • 「あなたのペースでいいよ」: 急かさない
ご家庭でできること

リハビリの進歩は、日々の中では気づきにくいものです。「今日できたこと」を毎日1つだけメモしてみてください。1週間分を振り返ると、確実に前に進んでいることがわかります。ご本人と一緒に見返すと、自信と意欲の回復につながります。

作業療法士の動機づけアプローチ

OTは「やる気を出させる」のではなく、「やりたくなる環境と活動」をつくるアプローチを取ります。

  • 本人が「したいこと」を見つける: 「何ができるようになりたいですか」と丁寧に聞き取ります
  • 小さな成功を積み重ねる: 少しずつ難易度を上げて、「できた」を実感できるようにします
  • 訓練ではなく「暮らし」の練習: 筋トレではなく、料理や趣味の中で体を動かします
  • 環境を整える: 「やりたいけどできない」を「やりたくてできる」に変えます

家族が陥りやすい落とし穴

注意

ご家族の気持ちは十分に理解できますが、以下の関わり方は逆効果になることがあります。

  • 他の患者と比較する: 「隣のベッドの人はもう歩いてるよ」
  • 脅す: 「リハビリしないと寝たきりになるよ」
  • 責める: 「家族のために頑張ってよ」
  • 代わりにやってしまう: 本人ができることまで手を出す
  • 毎日「リハビリした?」と聞く: 監視されている感覚を与える

ポイント

ご家族の方へ ── 大切なポイントのまとめ

  • 「やる気がない」のではなく「やる気が出ない原因がある」と理解してください
  • 痛み・疲労・うつ状態がないか、リハビリスタッフに確認しましょう
  • 「頑張って」の代わりに、具体的な進歩を認める声かけをしてみてください
  • 「退院したら何がしたい?」と、ご本人の目標を一緒に考えましょう
  • 比較・脅し・責めは逆効果です。ご本人のペースを尊重してください

免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。

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