この記事のポイント
- 子ども・若者のおよそ4人に1人が「問題のあるスマートフォン使用」に当てはまるという国際的なメタ分析があります(Sohn ら, 2019年)
- 依存は意志の弱さではなく、人間の脳が持つ報酬系の仕組みによって誰にでも起こりえます
- 「自分は大丈夫」と感じること自体が、依存の構造の一部です
- 怖がる必要はありませんが、仕組みを知っておくことが、自分の生活を守る第一歩になります
はじめに── 前回までの振り返りと、もう一歩先へ
テレビの記事では「活動の良し悪しではなく、姿勢の問題」というお話をしました。動画配信の記事では「やめにくさの仕組み」と「選ぶ・決める・味わう」という付き合い方をご紹介しました。
今回は、もう一歩踏み込みます。
スマートフォンそのものの話です。動画配信だけでなく、SNS、ニュースアプリ、ゲーム、メッセージアプリ、ショッピング── スマートフォンという小さな箱に詰め込まれた無数のサービスが、私たちの生活にどのような影響を与えているのか。
そして、なぜ「依存」という現象は起こるのか。その構造を、できるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。
堅い話になりそうに聞こえるかもしれませんが、どうかリラックスして読んでください。敵を知ることは、敵と上手に付き合う第一歩です。
どれくらいの人が「依存」しているのか
数字で見る現実
児童・青年を対象とした41研究・41,871名の系統的レビューとメタ分析(Sohnら、2019年)では、問題のあるスマートフォン使用(problematic smartphone use)の有病率は中央値23.3%と報告されています。ただし研究間のばらつきは大きく、14.0〜31.2%の幅がありました。同じ解析では、問題のある使用はうつのオッズ比3.17、不安3.05、睡眠の質の低下2.60と関連していました。
また、2022年に報告された24カ国・83標本・33,831名(15〜35歳)のメタ分析(Olsonら、Computers in Human Behavior誌)では、Smartphone Addiction Scale のスコアが世界的に上昇し続けていることが示されています。国別では中国・サウジアラビア・マレーシアが高く、ドイツ・フランスが低いという結果でした。
日本の全国的な有病率については
同じ尺度で日本の成人・子どもの有病率を示した全国調査を、本記事の作成時点では一次資料で確認できませんでした。民間調査の数字が引用されることがありますが、調査手法や設問が研究間で揃っていないため、本記事では扱いません。有病率の数字よりも、次に述べる「なぜ依存が起こるのか」という構造のほうが、ご自身の使い方を見直すうえで役に立ちます。
世界の41の研究(子ども・若者およそ4万2,000人)をまとめた2019年の分析では、およそ4人に1人(23.3%)が「問題のあるスマートフォンの使い方」に当てはまるという結果が出ています。そして、当てはまる方は気分の落ち込みや不安、眠りの質の低下を抱えやすいことも示されました。
24カ国を対象にした別の分析では、この傾向は年を追うごとに強まっていることがわかっています。
なお、日本全体の割合を同じ物差しで測った公的な調査は見つかりませんでした。数字そのものよりも、「なぜやめられなくなるのか」という仕組みを知ることのほうが役に立ちます。
でも「自分は違う」と思いませんでしたか?
ここまでの数字を読んで、「へえ、多いんだな。でも自分は大丈夫」と感じた方がいらっしゃるかもしれません。
実は、その「自分は大丈夫」という感覚こそが、依存の構造の核心に触れるものです。このあと詳しく説明します。
依存症とは何か── 3つの特徴
依存症(addiction)という言葉は、アルコールや薬物のイメージが強いかもしれません。しかし、依存症には物質に対するものだけでなく、ギャンブル、ゲーム、SNSなどの行動に対する依存(行動嗜癖)も含まれます。
厚生労働省は依存症を、快感をもたらす物質や行動が「繰り返されるうちに脳がその刺激に慣れてしまい、より強い刺激を求めるようになる」結果として「コントロールできなくなってしまう病気」と説明しています。同省が挙げるのはアルコール・薬物・ギャンブルですが、行動嗜癖にも同じ枠組みが当てはまります。依存症には共通する3つの特徴があります。
特徴1:コントロールの喪失
「5分だけ見よう」と思ってスマホを開いたのに、30分経っていた。「今日は早く寝よう」と決めたのに、布団の中でスマホを見て深夜1時になっていた。
自分で「ここまで」と決めたのに、その通りにできない。これがコントロールの喪失です。たまにそうなるのは誰にでもあることですが、これが日常的に繰り返されるなら、注意が必要です。
特徴2:優先順位の逆転
食事中にスマホが気になる。人と話しているのにスマホを確認する。仕事や勉強よりもスマホの通知が優先される。
本来もっと大切なはずの活動── 睡眠、食事、対面の会話、仕事、リハビリ── よりもスマホが優先されてしまう状態です。
特徴3:問題が起きているのにやめられない
肩こり、眼精疲労、睡眠不足、家族との口論。スマホの使いすぎが原因で問題が起きているとわかっていても、使い方を変えられない。
問題の自覚があっても行動を変えられない── これが依存症の最も本質的な特徴です。
依存症というと、アルコールや薬物を思い浮かべるかもしれません。でも、スマホやゲームなど「行動」に対する依存も同じ仕組みで起こります。
厚生労働省は依存症を、「一度始めると自分の意思ではやめられない」「毎回、やめようと思っているのに、気が付けばやり続けてしまう」状態、つまり「コントロールできなくなってしまう病気」だと説明しています。依存には3つの共通した特徴があります。
1. コントロールが効かない── 「5分だけ」のつもりが30分。「今日は早く寝る」と決めたのに深夜1時。こうしたことが繰り返されます。
2. 大切なことより優先してしまう── 食事中、会話中、仕事中でもスマホが気になる。睡眠や家族の時間よりスマホが優先されてしまいます。
3. 問題が起きてもやめられない── 肩こり、睡眠不足、家族との口論。スマホが原因とわかっていても変えられません。
なぜ「自覚がない」のか── 否認の心理
依存症は「否認の病」
依存症の臨床では、古くから「否認(denial)」という概念が重要視されてきました。否認とは、問題が存在することを認めない心理的な防衛反応です。厚生労働省も依存症を「否認の病気」と表現し、「自ら問題を認めない」ため本人が病気と認識することは困難だと説明しています。
「私はいつでもやめられる」「あの人ほどひどくない」「これくらいは普通でしょう」── こうした言葉は、アルコール依存症の臨床で頻繁に聞かれるものですが、スマートフォンの使い方についてもまったく同じ構造が当てはまります。
依存症の世界では、「否認」という言葉がよく使われます。「自分には問題がない」と感じてしまう心の働きのことです。厚生労働省も、依存症は「否認の病気」とも言われ、本人が病気だと気づくのは難しいと説明しています。
「いつでもやめられる」「あの人ほどひどくない」「これくらい普通でしょう」── アルコール依存の方がよく口にする言葉ですが、スマホの使い方にも同じことが言えます。
なぜ「普通だ」と感じてしまうのか
スマートフォン依存の「否認」が特に強くなる理由があります。周囲の全員が同じことをしているからです。
電車の中を見渡してください。ほぼ全員がスマートフォンを見ています。食事の場面でも、会議の合間でも、信号待ちでも。全員がやっていることを「異常」だと認識するのは、非常に困難です。
災害心理学などでは、異常な事態を「まだ正常の範囲内だ」とみなして過小評価してしまう傾向を「正常性バイアス」と呼びます。周囲の全員が同じ行動をとっている状況では、この働きがいっそう強まります。みんながやっていること=正常なこと、と受け取ってしまうのです。
スマホの場合、「否認」がとくに強くなりやすい理由があります。周りの全員がスマホを見ているからです。
電車でも食事の場でも、みんなスマホを見ています。全員がやっていることを「おかしい」とは感じにくいものです。異常な状態でも「まだ正常の範囲内だ」と受け取ってしまう心の働きは正常性バイアスと呼ばれ、周りと同じことをしている場面ではとくに強くなります。
依存の本質的な構造
ここが重要なポイントです。
依存の構造を整理すると、こうなります。
①ある行動が快感をもたらす → ②繰り返す → ③やめにくくなる → ④問題が生じる → ⑤しかし「自分は大丈夫」と感じる → ⑥さらに続ける⑤の「自分は大丈夫」は、意志が強いから大丈夫なのではありません。依存の構造そのものが「大丈夫だと感じさせる」ように働いているのです。これが、依存が依存として認識されにくい最大の理由です。
脳の中で何が起きているのか── 報酬系の仕組み
ドーパミンという「もっと」の信号
依存のメカニズムを理解するために、脳の報酬系(reward system)について少しだけ説明させてください。
私たちが美味しいものを食べたとき、褒められたとき、目標を達成したとき、脳の中でドーパミンという神経伝達物質が放出されます。ドーパミンは「快感」そのものというよりも、「もっとほしい」「またやりたい」という動機づけの信号です。
この仕組みは、人間が生存するために必要な行動(食べる、交流する、学ぶ)を繰り返させるために進化してきたものです。つまり、報酬系は本来、生きるために不可欠なシステムなのです。
依存を理解するカギとなるのが、脳の報酬系という仕組みです。
美味しいものを食べたり、褒められたりしたとき、脳からドーパミンという物質が出ます。これは「気持ちいい」というよりも、「もっとほしい」「またやりたい」と感じさせる信号です。
この仕組みは、食べる・人と関わるなど、生きるために必要な行動を繰り返させるために備わったものです。
スマホは報酬系を「ハック」する
問題は、スマートフォンのアプリやサービスが、この報酬系を非常に効率的に刺激するように設計されていることです。
SNSで「いいね」がつく。メッセージの通知が鳴る。ニュースアプリで興味深い記事が表示される。ゲームでレアアイテムが手に入る。これらはすべて、脳の報酬系にドーパミンを放出させるトリガーになっています。
しかも、ここに巧妙な仕組みがあります。
問題は、スマホのアプリがこの報酬系をとても効率よく刺激するように作られていることです。
「いいね」がつく、通知が鳴る、面白い記事が出てくる、ゲームで当たりが出る── すべてが脳に「もっと」と感じさせるきっかけになっています。
「いつ来るかわからない」が一番やめられない
心理学には「変動比率強化スケジュール(variable ratio reinforcement schedule)」という概念があります。報酬が「いつ来るかわからない」パターンで与えられると、その行動は最も持続しやすくなる、という原理です。
最もわかりやすい例はスロットマシンです。いつ当たるかわからないからこそ、「次こそは」と回し続けてしまいます。
SNSの通知はまさにこの構造です。スマホを開いたとき、「いいね」が10件ついているかもしれないし、ゼロかもしれない。友人からメッセージが来ているかもしれないし、何もないかもしれない。この「来るかもしれない」という期待そのものが、スマホを何度も確認させる原動力になっています。
ClarkとZackのレビュー(Addictive Behaviors, 2023年)は、ギャンブルだけでなくゲーム・買い物・SNS・オンライン動画といったデジタル製品にも同じ「報酬のばらつき」が組み込まれていることを指摘し、報酬の変動性と、それに触れる頻度が、行動嗜癖の前提条件になりうると論じています。無限スクロールやパーソナライズされたレコメンドは、この「ばらつき」を新しい形で作り出す仕組みです。
さらに巧妙な仕組みがあります。「いつもらえるかわからない」ご褒美がいちばんやめにくいのです。
スロットマシンを思い浮かべてください。いつ当たるかわからないから、「次こそは」とやめられません。SNSの通知もまったく同じです。スマホを開いたら「いいね」がたくさんあるかもしれないし、何もないかもしれない。この「来るかもしれない」という期待が、何度もスマホを確認させるのです。
誰の脳にも起こること
ここで強調しておきたいことがあります。
報酬系はすべての人間の脳に備わっている基本的なシステムです。特別に「依存しやすい性格」の人だけが持っているわけではありません。
Volkowら(PNAS, 2011年)は、依存症を「ドーパミンによる報酬・条件づけの回路」と「実行機能(感情のコントロールや意思決定)を担う回路」のバランスの崩れとして説明しています。前頭前野(眼窩前頭皮質・前部帯状回)の活動低下が、衝動性や強迫的な使用につながるという整理です。そしてこれらの回路は、程度の差こそあれ、すべての人間に存在するものです。
つまり、スマートフォン依存は「意志が弱い人の問題」ではなく「人間の脳の設計と、それを利用するサービスの設計の問題」なのです。
ここで大切なことがあります。報酬系はすべての人の脳に備わっている仕組みです。「依存しやすい性格」の人だけの問題ではありません。
つまり、スマホ依存は「意志が弱い人の問題」ではなく、「脳の仕組みと、それを利用するアプリの設計の問題」です。
スマートフォンが「最強の依存対象」である理由
ここまでの知識を踏まえて、スマートフォンがなぜこれほど依存を生みやすいのかを整理します。
24時間アクセス可能:アルコールは買いに行く必要があり、ギャンブルは店に行く必要がありますが、スマホは枕元にあります。報酬へのアクセスに障壁がほとんどありません。
無数の報酬源が集約されている:SNS、動画、ゲーム、ショッピング、ニュース── 一つの端末に、あらゆる種類の報酬が詰まっています。ひとつに飽きても、別の報酬が待っています。
社会的に「必需品」とされている:仕事の連絡、家族との通話、支払い、地図、交通機関の利用。スマホなしでは社会生活が成り立たないため、「使わない」という選択肢がそもそもありません。
使用が「普通」とみなされている:先ほどの正常性バイアスです。全員が使っているため、問題が見えにくくなっています。
設計者が人間心理を研究している:テクノロジー企業は、行動心理学や神経科学の知見を活用して、ユーザーがより長く、より頻繁にアプリを使うようにサービスを設計しています。
このすべてが組み合わさった結果、スマートフォンは人類史上もっとも身近で、もっとも巧妙で、もっとも見えにくい依存対象になっています。
「怖い話」ではなく「仕組みの話」として
ここまで読んで、不安になった方もいらっしゃるかもしれません。でも、安心してください。
この記事の目的は「スマホは危険だからやめましょう」と怖がらせることではありません。仕組みを知ることで、自分の行動を客観的に見る目を持ちましょう、ということです。
依存の構造は、知っているだけで対処力が上がります。「あ、今、変動比率強化の罠にはまっているな」と気づけるだけで、スマホを置くきっかけになります。敵の正体がわかれば、必要以上に怖がらなくて済みます。
作業療法士の視点から── 「作業バランス」で考える
作業療法では、生活を「作業」の集合体として捉えます。食事、入浴、仕事、趣味、休息、人との交流── すべてが「作業」です。
健康な生活には、これらの作業のバランスが大切です。特定の作業だけに時間が偏ると、生活全体の質が下がります。これを「作業バランス」と呼びます。
スマートフォンの使用を考えるときも、この枠組みが役立ちます。
チェックしてみてください
以下の問いに、正直に答えてみてください。
スマホを使っている時間は、1日の中でどれくらいですか? 多くのスマートフォンには、スクリーンタイムを確認する機能があります。実際の数字を見たことがない方は、一度確認してみてください。想像より長いかもしれません。
スマホのせいで減っている活動はありますか? 睡眠時間、家族との会話、散歩、読書、ぼんやりする時間。以前はしていたのに最近しなくなった活動があれば、その時間はどこに行ったのか考えてみてください。
スマホを触っていないとき、落ち着かない感じがしますか? スマホが手元にないだけでそわそわする。通知が気になって他のことに集中できない。この感覚が頻繁にあるなら、依存の初期段階の可能性があります。
スマホの使用をめぐって、人間関係に摩擦が生じていますか? 家族から「スマホばかり見ている」と指摘される。子どもとの遊びの最中にスマホを見てしまう。食事中のスマホで配偶者と口論になる。
これらの問いは、診断ではありません。ただ、自分の生活のバランスを客観的に見つめるためのきっかけです。
作業療法では、暮らしを構成するすべての活動を「作業」と呼びます。食事、入浴、仕事、趣味、休息、人との交流── そのバランスが大切です。
スマホの使い方も、この「作業バランス」の視点で振り返ることができます。
スクリーンタイムを確認したことはありますか? スマホの設定から見られます。想像より長いかもしれません。
スマホのせいで減った活動はありますか? 睡眠、家族との会話、散歩、読書など。
スマホがないとそわそわしますか? 手元にないだけで落ち着かないなら、注意が必要です。
スマホのことで家族ともめたことはありますか? 「スマホばかり見ている」と言われたことがあるなら、振り返ってみてください。
これは診断ではなく、暮らしのバランスを見つめ直すきっかけです。
ご家族へ── 「取り上げる」より「気づきを促す」
ご家族がスマートフォンに没頭しすぎていると感じたとき、端末を取り上げたり、Wi-Fiを切ったりしたくなるかもしれません。
しかし、依存の構造を考えると、強制的な排除は逆効果になることが多いのです。なぜなら、本人が「自分の行動に問題がある」と自覚していない段階では、外部からの強制は「不当な介入」としか感じられないからです。
より効果的なのは、本人が自分の状態に気づくきっかけを作ることです。
「スクリーンタイム、一緒に確認してみない?」と提案するのもひとつの方法です。数字を見て驚くことが、自覚の第一歩になることがあります。
また、スマホ以外の活動を「一緒に」するのも効果的です。散歩に誘う、一緒に料理をする、カードゲームをする。スマホを「やめさせる」のではなく、スマホより楽しい時間を「つくる」という発想です。
- スクリーンタイムを一緒に確認してみてください。数字を見ることが、気づきの第一歩になります
- スマホの代わりになる時間を一緒に作ってみましょう。散歩、料理、カードゲームなど、「取り上げる」より「楽しい時間で置き換える」が効果的です
- 「やめなさい」ではなく「一緒に考えよう」という姿勢を大切にしてください。仕組みを知れば、責める必要がないとわかります
おわりに── 知ることが、自由への第一歩
依存の構造を知ることは、自分を責めるためではありません。
「なぜやめられないのか」がわかれば、「どうすれば付き合えるのか」が見えてきます。
あなたの脳の報酬系は、正常に機能しています。スマートフォンに惹かれるのは、脳が設計通りに働いている証拠です。ただ、その「設計通り」を利用して、あなたの時間と注意を引きつけようとするサービスが存在しているだけです。
作業療法が大切にしているのは、「自分の生活を自分で選ぶ力」です。スマートフォンを使う時間も、使わない時間も、自分で選べている── そう感じられるなら、あなたの生活は「あなたのもの」です。
もし「選べていない」と感じるなら、それに気づいたこと自体が大きな一歩です。仕組みを知り、自分の状態に気づき、少しずつ生活のバランスを整えていく。急ぐ必要はありません。
今日、スマホを置いて、窓の外を眺める時間を5分だけ作ってみてください。その5分は、あなたが自分で選んだ時間です。
スマートフォン依存は「意志の弱さ」ではなく、脳の報酬系という、すべての人に備わった仕組みによって起こります。変動比率強化や否認の心理など、依存には「自覚しにくい」構造が組み込まれています。
仕組みを知ることが対処の第一歩です。作業療法の視点では、スマホの使い方を「作業バランス」の枠組みで捉え、生活全体の中での位置づけを見直すことが有効です。
スマホに惹かれるのは、脳が正常に働いている証拠です。「意志が弱いから」ではありません。
ご家族がスマホに没頭しているとき、取り上げるよりも「一緒に仕組みを知ること」が効果的です。スクリーンタイムの確認、スマホ以外の楽しい時間づくりなど、小さな一歩から始めてみてください。
知ることが、自分の暮らしを自分で選ぶ力になります。- Sohn SY, Rees P, Wildridge B, Kalk NJ, Carter B. Prevalence of problematic smartphone usage and associated mental health outcomes amongst children and young people: a systematic review, meta-analysis and GRADE of the evidence. BMC Psychiatry. 2019;19(1):356.(有病率の中央値23.3%、うつ・不安・睡眠との関連)
- Olson JA, Sandra DA, Colucci ÉS, et al. Smartphone addiction is increasing across the world: A meta-analysis of 24 countries. Computers in Human Behavior. 2022;129:107138.(24カ国・83標本・33,831名。全文はプレプリント版)
- 厚生労働省「依存症対策」(依存症の定義、脳内のドーパミンの役割、「否認の病気」の説明)
- Volkow ND, Wang GJ, Fowler JS, Tomasi D, Telang F. Addiction: beyond dopamine reward circuitry. Proceedings of the National Academy of Sciences. 2011;108(37):15037-15042.
- Clark L, Zack M. Engineered highs: Reward variability and frequency as potential prerequisites of behavioural addiction. Addictive Behaviors. 2023;140:107626.
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
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