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手のスプリント(装具)って何?── つけ方・注意点をやさしく解説

手のスプリント(装具)を処方されたご本人やご家族へ。スプリントの役割、日常生活との両立のコツ、気をつけるべき症状をわかりやすくまとめました。

📅 2026年5月11日 更新読了目安 23分

この記事のポイント

  • 手のスプリントとは、手の関節を固定・保護・矯正するためにOTが個別に作製する装具のこと
  • 静的スプリント・動的スプリント・静的進行性スプリントの3種類があり、目的と時期で使い分ける
  • スプリントは「つけて終わり」ではなく、日常生活との両立を前提に設計・調整することが重要

はじめに── 手のスプリントとは何か

スプリントとは、手のケガや病気のときに作業療法士が手に合わせて作る装具です。

スプリントには3つの役割があります。

  • 守る:ケガや手術後の部分を安全な位置に保つ
  • 治す:固くなった関節を少しずつ動かせるようにする
  • 助ける:弱った筋力を補い、日常の動作をしやすくする

スプリントの3つの種類

スプリントには大きく3つの種類があります。

  • 静的スプリント:関節を固定して守るタイプ。骨折後や関節リウマチの安静時に使います
  • 動的スプリント:ゴムバンドの力で関節を少しずつ動かすタイプ。腱の手術後のリハビリに使います
  • 静的進行性スプリント:固くなった関節を段階的に伸ばしていくタイプ

どのタイプを使うかは、ケガの種類や回復の段階によって作業療法士が判断します。

主な対象疾患

スプリントが使われる主な場面です。

  • 骨折:手術後やギプスの代わりに手を固定・保護します
  • 腱の手術後:修復した腱を守りながらリハビリを進めるために使います
  • 関節リウマチ:炎症を抑え、変形の進行を防ぎます
  • 神経の損傷:動かなくなった部分の機能を補います

作業療法士によるスプリント作製の流れ

スプリントは既製品ではなく、作業療法士がご本人の手に合わせて一つひとつ作ります

特殊なプラスチック素材をお湯で温めると柔らかくなり、手に当てて形を整えます。冷めると固くなり、ぴったりフィットしたスプリントができあがります。

回復が進むにつれて手の状態が変わるので、定期的に調整や作り直しが必要です。

スプリント使用上の注意点

スプリントを正しく使うために、以下の点に気をつけてください。

  • 装着時間を守る:長すぎても短すぎてもよくありません。指示された時間を守りましょう
  • 清潔に保つ:ぬるま湯と中性洗剤で洗ってください。熱湯は使わないでください(変形します)
  • 自分で改造しない:ストラップの位置を変えたり削ったりすると逆効果になります
  • 皮膚をチェック:外したときに赤くなっている場所やしびれがないか確認してください
  • 異変があればすぐ連絡:強い痛み、しびれ、水疱ができたらスプリントを外して病院に連絡してください

スプリントと日常生活の両立

「スプリントをつけたまま生活できるの?」という不安はよくあります。作業療法士は、ご本人の生活に合わせてスプリントを設計します。

  • パソコンを使う方にはキーボード操作を妨げない形に
  • 料理をする方には水に強い素材で
  • 回復に合わせて、装着する時間やタイミングを段階的に変えていきます

生活に合わないスプリントは使われなくなります。困っていることがあれば、遠慮なく作業療法士に伝えてください。

まとめ

ポイント
  • スプリントはケガや病気の種類に合わせて、作業療法士が一人ひとりの手に合わせて作る装具です
  • 指示された装着時間を守り、皮膚の状態をチェックすることが大切です
  • 生活で困ることがあれば作業療法士に伝えてください。生活に合わせた調整をしてもらえます
  • 熱湯で洗わない、自分で改造しないことを忘れずに
ご家庭でできること
  • スプリントの装着時間と外す時間のスケジュールを紙に書いて貼っておくと、忘れにくいです
  • 外したときに皮膚が赤くなっていないか、毎回確認する習慣をつけましょう
  • 洗うときはぬるま湯と中性洗剤で。熱湯は絶対に使わないでください
参考文献
  • Skirven TM, Osterman AL, Fedorczyk JM, Amadio PC. Rehabilitation of the Hand and Upper Extremity. 6th ed. Elsevier; 2011.
  • Fess EE, Gettle KS, Philips CA, Janson JR. Hand and Upper Extremity Splinting: Principles and Methods. 3rd ed. Mosby; 2005.
  • Glasgow C, Tooth LR, Fleming J. Mobilizing the stiff hand: combining theory and evidence to improve clinical outcomes. J Hand Ther. 2010;23(4):392-401.
  • Egan M, Brosseau L, Farmer M, et al. Splints/orthoses in the treatment of rheumatoid arthritis. Cochrane Database Syst Rev. 2003;(1):CD004018.
  • Schultz-Johnson K. Static progressive splinting. J Hand Ther. 2002;15(2):163-178.
  • Jacobs MA, Austin NM. Orthotic Intervention for the Hand and Upper Extremity: Splinting Principles and Process. Lippincott Williams & Wilkins; 2003.
  • Hannah SD, Hudak PL. Splinting and radial nerve palsy: a single-subject experiment. J Hand Ther. 2001;14(3):195-201.

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