本文へスキップ
作業療法.net
暮らしの工夫#作業療法#日常生活#リハビリ

脳卒中後にもう一度料理をする ── 片手でもできる調理の工夫

片麻痺があっても料理を楽しむための工夫を紹介。便利な調理器具、台所の環境調整、段階的な練習方法をわかりやすく解説します。

📅 2026年10月4日 公開⏱ 読了目安 6分

この記事のポイント

  • 片麻痺があっても環境調整と自助具の活用で料理を再開できる
  • 安全な台所環境の整備が最優先。OTが個別の状況に合わせて提案する
  • 「お湯を沸かす」から段階的に始め、少しずつできる調理を増やしていく

「料理がしたい」は大切な気持ち

料理は、ただ食事を作るだけの作業ではありません。「家族のために料理をする」「自分で食べるものを自分で作る」ということは、生きがいや自信につながる大切な活動です。

脳卒中のあと、「もう料理はできない」と思い込んでしまう方は少なくありません。しかし、道具や環境を工夫すれば、片手でもできる調理はたくさんあります。

台所の安全チェック ── まず環境を整える

料理を再開する前に、台所の安全を確認しましょう。

  • 火の安全: ガスコンロは自動で火が消えるタイプに交換するか、IHクッキングヒーターへの変更を検討する
  • 床: 水や油で滑らないよう、滑り止めマットを敷く
  • よく使うもの: 調味料や鍋を、手の届きやすい場所に移動する
  • 通路: 台所の中をスムーズに移動できるよう、不要なものを片付ける
ご家庭でできること

ガスコンロからIHに変えると、火を使わないので安全性が大幅に向上します。介護保険の住宅改修では対象外ですが、自治体によっては補助金が出る場合があります。市区町村の福祉窓口に確認してみてください。

片手調理を可能にする自助具・調理器具

片手で料理をするための便利な道具があります。

  • 釘付きまな板: まな板に小さな釘がついていて、食材を固定できます。片手で包丁を使えます
  • 滑り止めシート: お皿やボウルの下に敷くと動かなくなります
  • ワンハンドオープナー: 瓶やペットボトルの蓋を片手で開けられます
  • 電動缶切り: ボタンひとつで缶詰を開けられます
  • 吸盤付きピーラー: テーブルに固定して、片手で野菜の皮をむけます
ご家庭でできること

自助具はたくさんの種類がありますが、手の状態によって合うものが違います。購入前にOTに相談すると、無駄な出費を避けられます。お試しで貸し出してくれる病院や施設もあります。

段階的な調理訓練の進め方

最初から難しい料理に挑戦する必要はありません。簡単なことから始めて、少しずつステップアップしていきましょう。

1

ステップ1

  1. 1お湯を沸かす
  2. 2電子レンジで温める
  3. 3パンにバターを塗る
2

ステップ2

  1. 4インスタント食品をつくる
  2. 5サラダを準備する
  3. 6目玉焼きを焼く
3

ステップ3

  1. 7味噌汁をつくる
  2. 8焼きそばをつくる
  3. 9複数の工程がある料理に挑戦
4

ステップ4

  1. 10おかずを2品同時につくる
  2. 11家族の食事を一人でつくる

大切なのは、各ステップで「できた!」という成功体験を積むことです。失敗しても、次の工夫を考えればよいのです。

高次脳機能障害がある場合の工夫

脳卒中のあと、手順がわからなくなったり、火の消し忘れが心配になることがあります。

  • 火の消し忘れ → タイマーを必ずセットする。IHクッキングヒーターなら自動で切れるので安心
  • 手順がわからなくなる → レシピを大きな文字で印刷し、台所の壁に貼る
  • 段取りが混乱する → 一つの作業が終わってから次に進む。同時に複数のことをしない

ヒント

最初のうちはご家族が一緒に台所に立ち、安全を見守ってください。慣れてきたら徐々に見守りの頻度を減らしていきます。


ポイント

まとめ ── 脳卒中後の料理再開のポイント

  • まず台所の安全を確認。ガスコンロの安全対策と床の滑り止めが最優先です
  • 釘付きまな板や滑り止めシートなど、片手調理を助ける道具を活用しましょう
  • お湯を沸かすところから始めて、段階的にできる料理を増やしていきます
  • 火の消し忘れが心配な場合は、IHクッキングヒーターへの変更を検討してください
  • 自助具の選び方や訓練の進め方は、OTに相談するのが一番です

免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。

関連記事