この記事のポイント
- 思春期は脳の発達途上にあり、感情のコントロールや判断力が未完成な時期です
- SNSの影響、睡眠の問題、自己同一性の揺れなど、10代特有のメンタルヘルスの課題があります
- 作業療法士は「作業バランス」の視点から、学業・余暇・休息・社交のバランスを一緒に見直します
思春期 ── 脳がまだ「工事中」の時期
思春期のお子さんの脳は、まだ「工事中」の状態です。
- 感情を感じる部分は先に発達するため、喜びや怒りが大きくなりやすい
- 感情をコントロールする部分はまだ発達途中のため、衝動的になりやすい
つまり、「アクセルは全開なのに、ブレーキがまだ弱い」状態です。これはお子さんの性格の問題ではなく、脳の発達段階によるものです。
思春期特有のメンタルヘルスの課題
自己同一性の揺れ
10代は「自分はどんな人間なのか」を模索する時期です。
- 親から離れたい気持ちと、まだ頼りたい気持ちの間で揺れます
- 友達の中での自分の立ち位置が気になります
- 容姿や成績を他の人と比べて悩みます
これはすべて正常な発達の過程です。ただし、この揺れが大きすぎると、不安やうつの引き金になることがあります。
SNSとメンタルヘルス
SNSは10代のメンタルヘルスに大きな影響を与えています。
- 比べてしまう: 友達の楽しそうな投稿を見て、自分だけ取り残されている気持ちになる
- やめられない: 「何か見逃しているかも」と常に気になってチェックしてしまう
- ネットいじめ: 学校の外でもいじめが続く可能性がある
- 睡眠の妨げ: 夜遅くまでSNSを見て、眠れなくなる
ヒント
SNSを「禁止」するのは逆効果になることがあります。「なぜ使いすぎると困るのか」を一緒に考え、使い方のルールをお子さんと一緒に決めるのが効果的です。
睡眠の問題
10代は体の仕組みとして夜型になりやすい時期です。これは怠けではなく、体内時計の変化です。
しかし、学校は朝から始まるため、慢性的な睡眠不足になりやすくなります。
- 10代に必要な睡眠時間は8〜10時間ですが、実際には7時間以下の子が多い
- 睡眠不足は集中力の低下、イライラ、学業成績の低下につながります
- 夜のスマートフォン使用が、眠りをさらに妨げています
就寝時間にスマートフォンを寝室に持ち込まないルールを、お子さんと一緒に決めてみてください。リビングに「スマホの寝床」(充電場所)を作り、寝る前にスマホも「寝かせる」習慣にすると、抵抗なく受け入れやすくなります。親御さんも一緒に実践するのがポイントです。
作業療法士の作業バランス支援
OTは、お子さんの1日・1週間の時間の使い方を一緒に見直します。
- 勉強ばかりで疲れていないか
- ゲームやSNSばかりになっていないか
- 友達と過ごす時間はあるか
- 体を動かす時間はあるか
- 本当の休息(何もしないでボーッとする時間)はあるか
バランスが崩れているところを見つけて、本人と一緒に調整していきます。
学校との連携
学校と連携することで、お子さんの支援がより効果的になります。
- スクールカウンセラーに相談して、学校での対応を一緒に考える
- 必要に応じて、別室での試験、席の変更などの配慮を相談する
- お子さんが学校の中で「安心できる場所」(保健室、図書室など)を見つけられるようにする
ご家族の方へ
思春期のお子さんとの関わりは、難しいと感じることが多いと思います。
- 「話を聴く」姿勢: アドバイスより、まず聴いてあげてください
- プライバシーの尊重: 部屋に入るときはノックを。日記やスマホを無断で見ないで
- 一貫した態度: ルールはぶれないように、でも罰で脅さないように
- 「いつでも味方だよ」: 反抗されても、この姿勢は崩さないでください
注意
以下のサインが見られたら、早めに専門家に相談してください。自傷行為、「死にたい」という言葉、急激な体重の変化、2週間以上続く気分の落ち込み、登校できない状態。
思春期のメンタルヘルス支援 ― まとめ
- 思春期の脳はまだ発達途中。感情の揺れは正常な発達の過程です
- SNS、睡眠、自己同一性の揺れなど、10代特有のメンタルヘルスの課題があります
- OTは時間の使い方(作業バランス)の視点から、学業・余暇・休息のバランスを見直します
- SNSの「禁止」ではなく、使い方のルールをお子さんと一緒に決めましょう
- 自傷行為や「死にたい」という言葉が出たら、早めに専門家に相談してください
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
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